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婚活はたった一人の誰かにたどり着く旅

勝手な想像なのだけど、婚活をべつの言葉で置き換えた場合、「旅」と「旅行」であればどっちがしっくり来る?と聞かれたら、ほとんどの皆さんが「旅」と回答するんじゃないかなと思う。

10キロ以上の重さのあるバックパックを後ろに背負って空港内でのチェックインも現地の移動手段のチケットも(事前のネット予約も可能な場合は多いものの)慣れない英語や現地語で冷や汗をかきながら相手と意思の疎通をして、長い時間と日数をかけて精神的にもタフになって自分自身が成長していく営みみたいな語感が「旅」にはあって、それがどこかしら婚活に共鳴するところがあるのが理由の一つである。

婚活で言えば、「独身/恋人なし」の重荷(?)を肩に担いで婚活サイトや相談所に自分で登録、慣れないプロフィール自己紹介文を書いて「この人とご縁がありますように」といいねボタンを押したり実際にメッセージを送って、対面で会えば会ったで休日の過ごし方を聞いたり共通の趣味の話題を何とか広げようとしてみたり。

初回のデート終了後に「脈アリだといいな」と専用ページを開くと【交際終了】の表示がアクティブになってて落ち込んだり(ときに人間不審になったり)今回はごめんなさい、のメッセージを受け取って「んー、前を向こう」と自分を無理やり励ましたり、もう「旅」と呼んでいいですよね。たくさんの疲弊と自己嫌悪と将来への悲観と、そのなかで最後には見出さなくてはならないのは小さな光か金脈か、とにかく早く終わってほしい終わりなき旅。

でもここでもっとも大事なことは、その旅の目的はたった一つ、たった一人の誰かに出会い、成婚すること。本当にたった一人です、たった一人。裏を返せば、なにも万人に受けなくとはかまわないっていうこと。

だいぶ前にネット記事で目にした話だけど、とある医療機器関係の会社が営業スタッフを募集する際にかなり具体的に求める人材の条件を求人サイトに掲載したんですね。「理系4大卒以上でドイツ語が堪能で医療機器メーカーの営業経験3年以上必須」みたいに。当時の採用担当の間ではもう少し間口を広げるのに条件を緩くしたほうが人が集まるんじゃないかって杞憂したようなんですが、でも蓋を開けてみたらなんと条件通りの人がすぐに採用されて。この結果には担当した人材紹介会社の人もとにかく具体的に条件を記したからマッチングしたんじゃないかと話していて。

婚活をやっていると自己紹介文を自分で考えて書く機会があると思いますが、プロフィールって言葉は「横顔」が語源だから、皆さんの人となりをできるだけはっきりと、その輪郭から伝わるように書かないとお相手にはなかなか伝わらないってことをまず認識する必要があると思う。

仮に本当だとしても「趣味は読書と映画鑑賞です」だけではほとんど相手の気持ちに訴えかけない。「カラックス監督の映画『ポンヌフの恋人』が好きで撮影現場にもなったパリにあるヌフ橋に行って写真を撮ってきた」(←学生時代の私だ!笑)みたいに、少しはカラフルに書かないと話題のきっかけにさえならないと思うんですね。「そんな単純な動機でフランスまで行くなんて、わたしとは合わないわ」という反応を恐れてはいけません。むしろそういうお相手をふるいにかける作用もあるのだから。だって本命になるお相手はたった一人なのだから。

とはいえやり過ぎるとそれもまた、むべなるかな。磨くべきはそんなバランス感覚だったり人間性だったり。どんな言葉を選んでどんな言葉を削除するか。一番大切なことは飾らない素の自分を見せることなんだけど、皆さんもご存じのようにそれがまたむずかしい。

そして「わたしはこういう人」の話題で"発信"だけしていても、それもまたお互いの理解につながらないしバランス良く"受信"もしていかないと婚活はなかなかうまく行かない。次回はそうした「受信」に関するお話もできたらと思います。それではまた。

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