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デザイン事務所のお客様(2)~デザインラフをFAXで編~

こんにちは。田舎のデザイン事務所で働くたまです。

前回は結構な金額を踏み倒されたお話でしたが、あれはムカついたもののわりと他人事でした。というのも、打ち合わせに行ったのも、デザインしたのも、私ではなかったから。
衝撃の出来事ではありましたが実害はなかったわけです。

今回は私が見事に実害を被ったお話。

私が事務所で働き始めて3年目くらいの出来事です。
ある日代表に言われた言葉がこれ。

「ホームページを1万円で作ってほしいという依頼が来た」

は?
ホームページを1万円で???

規模にもよりますが、普通ホームページは数十万円の世界です。数万円で作ってくれる業者さんなんていません。しかも1万円て。
代表に詳しく話を聞いてみると、知人のカメラマンOさんに「ホームページの修正するとしたらいくらくらいかかる?」と聞かれて「内容によるけど1ページ1万円くらいかなあ」と答えたらしいのです。

そうするとそのカメラマンOさんが、そのまた知り合いに「ホームページ1ページ1万円でできるらしいよ」と伝えたらしい。
え、何その伝言ゲーム。

私「そんなん勝手な勘違いじゃないですか。断りましょう」
代表「そうねえ」
と言ってたのに数日後。
代表「あの仕事引き受けることになった」
なんでやねん。

代表「ものっすごく簡単なホームページでいいらしいから!」
私「ものっすごく簡単なホームページでも1万円じゃ作れません!」

でもまあ結局代表に押し切られて作ることになりました。まあね、しょせん私は雇われの身だし、ただのパートだし。
とはいえうちの事務所のホームページ担当は私……。仕方なく打ち合わせに行くことになりました。

車で片道30分。約束の時間に相手の事務所に行ったのですが。
なんと相手は出かけていて不在。従業員さんに連絡してもらうと「ちょっと遅れるから待ってて」とのこと。

30分後、ようやくその事務所の代表Tさんが現れました。遅れたことに関しては「ごめんねー」みたいな軽い謝罪があったきり。なんとなく相手の人間性がわかってきたぞ……。
打ち合わせが始まり、まずは1万円でホームページを作るにあたってのこちらからの要望を伝えました。

・作成にはWixという無料ホームページ制作サービスを利用し、デザインはテンプレートに沿ったものとする。
・1ページのみ、ボリューム的にはA4サイズ1枚程度。
・校正は2回まで。
・写真とテキストはTさんからの提供。こちらで用意する場合は別料金。
・今後の連絡はメールで行う。対面での打ち合わせをご希望の場合は出張料金をいただく。

特に最後の項目大事です。何せ1万円しかいただけない。いちいち打ち合わせに来てたらそれだけで赤字になってしまいます。
ところがこの一番大事な部分で、Tさんはうーんと難しい顔をしました。

T氏「メールなー。メール見れんのよな」
私「は?」
T氏「最近なんでかわからんけど届かんようになって」
私「はあ……」
T氏「あんたそういうん得意ならちょっと見てくれん?」
私「はあ……」

頼まれて見てみると、メールボックスの容量がいっぱいになっていました。いらないメールを消してもらって問題解決。

私「じゃあ今後のやりとりはメールで」
T氏「んー、でもメール滅多に見んけん」
私「は?」
T氏「電話してもろていい?」
私「あのでも、デザインの確認なんかはお電話ではできないと思いますので……」

T氏「FAXで送って」

はっ????

デザインを!FAXで!?
FAXって確かあれですよね?モノクロですよね?しかも線ガッタガタですよね???

私「FAXではちょっと難しいかと思われますが……」
T氏「いけるけん。FAXで」

謎の自信で押し切られました。
てかそれならなんでメールの確認させた??

釈然としないまま打ち合わせ終了。
ちなみに写真やテキストをきちんといただけるかが不安だったのですが、写真に関しては、適当な伝言ゲームをしたあのカメラマンO氏が以前撮影したものを送ってくれるとのこと。テキストは手書きのものをFAXしてくれるとのことで話は落ち着きました。FAX大好きやんこの人。

その後デザインを作って、というかもう面倒なのでいきなり本番環境でページを作って、画面のハードコピー取って印刷して、言われた通りFAXしました。そしたら電話がかかってきて。
T氏「FAXだったらなんのことやらさっぱりわからんけん」
私「ですよね??(食い気味)」
T氏「印刷したやつ郵送して」
私「はっ?」

だから何のためにメールを!!
と思いながらも郵送しました。もう反論しても無駄や……。

まあその後は大した修正もなく無事ホームページは完成し、引き渡しを終え、消費税込み10,800円をお支払いいただいてこのお仕事は終了となったのです。……が。
まだ問題があったのです……。この後恐怖の電話がかかってきます……。
長くなったのでこの話はまた次回に。

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