デザイン事務所のお客様(11)~何様飲食チェーンオーナー編~
こんにちは。田舎の小さなデザイン事務所で働くたまです。
年末は事務所の仕事が忙しく、大変お久しぶりの更新となってしまいましたが、どうぞ今年もよろしくお願いします。
さて、今回お話しするのは、とある飲食チェーン店のオーナーです。
徳島県内に3店舗?4店舗?くらいあって、一応私も名前は知っていました。というか、県内のあちこちに看板があるので嫌でも目にする感じです。
ことの始まりはうちの事務所の取引先の方Yさん。Yさんがその飲食店のオーナーDさんと仲が良く、その紹介でホームページのリニューアルのお話がやってきました。
私はホームページのリニューアルは正直あまりやりたくなかったのですが(新規に作るよりかえって面倒なので)、Yさんには日ごろからお世話になっているため、断れずとりあえず打ち合わせに行くことになりました。
打ち合わせ場所は本店の事務所。
メンバーは代表と私、紹介してくれたYさん、飲食店オーナーのDさん、本店店長のAさんの5人でした。
Dさんは一見したところ飲食店オーナーには見えない……というか、あまりにも癖のある見た目の方でした。
もじゃもじゃのロングヘアー、ぎょろりとした目から発せられる刺すような視線。服装は着古した感じのTシャツと作業着っぽいパンツ。
「あ、苦手なタイプ」と反射的に思いました。だってなんか怖いんだもん。
その予想は当たっていて、名刺交換の際、Dさんは店長Aさんに向かって顎をしゃくると、
「おまえ俺の名刺渡しといて」
と言い放ったのです。
ええええええ、自分の名刺を部下に渡させるかああああ?めっちゃ失礼じゃんこいつ!!
AさんがDさんの名刺を渡してくれるので、私は自分の名刺をAさんに渡し、AさんがそれをDさんに渡し……。普通なら相手より先に自分が名刺を差し出し「〇〇事務所のたまと申します」と言いながら渡すわけですが、誰に向かって言えばいいのかわからず口の中でむにゅむにゅしてしまいました。
続けてAさんが自分の名刺を渡してくれるので、私はまた同じ名刺をAさんに渡し……。
何これなんでそんな面倒なことしてるの。
その間Dさんはずっと椅子に座ったまま立ち上がりもせずパソコンのモニターを見ていました。
そして打ち合わせが始まったわけですが、打ち合わせというより面接でした。
「今までどこのホームページ作ったことあるの?」
「うちのホームページ見た?」
「うちのホームページの問題点どこだと思う?」
そして
「うちの店来たことある?」
と聞かれたのですが、私も代表も来たことはなかったので正直にそう言いました。すると、小馬鹿にしたように鼻で笑い、
「俺なら仕事するかもしれない相手の店はちゃんとリサーチしとくけどね」
いやだって遠いもん!3店舗か4店舗かあるけど全部事務所からも家からも遠いんだもんよ!!
Dさん「うちの看板は見たことある?」
私「はあそれはあります。あちこちにありますよね」
Dさん「あれ全部うちの社員とバイトが描いてんだけど。設置も自分たちでしてる」
私「へえーそうなんですか、すごいですね」
何気なく言った感想だったのですが、そこでDさんはギッと仲介してくれたYさんをにらみました。
Dさん「あのさあ、そういうこと先にこの人たちに伝えておくべきじゃない?そこにもこだわりがあるって伝えるのが仲介する人間の役割じゃないのかよ」
はい???
ちょっとおっしゃってる意味がよくわからないのですが……。
そんなん打合せでおまえが直接言えよ!!なんで何もかも他人に言わせたりやらせたりするんだよ??
その後Dさんは自分のお店のこだわりを滔々と語ってくれたのですが、私はもうこの時点で聞く気ゼロ。
絶対この仕事やりたくねえなあ……と思いながら意識を遠くに飛ばしていました。
Dさん「じゃあもしおたくにお願いするならYさん通して連絡するから。連絡なかったら縁がなかったと思って」
切実に縁がないことを祈る。
代表は「食べたことがない」というのを気にしたのか、帰り際にテイクアウトの品を二人分買い、ひとつ私にくれました。
事務所に帰って食べてみましたが……可もなく不可もなく、まあ普通の味でした……。
結局Yさんからの連絡はなく、ご縁はなかったようで代表も私も一安心。
世の中にはすげえ人がいるなあ、という笑い話になりました。
ただこの飲食店には絶対行く気になれないし、友人にも「絶対行くなよ!」と伝えています。
仕事上で会う業者もプライベートではお客様になる存在だということを忘れないでいてほしいですね。
ちなみに徳島の方は「どこのお店?」と気になるかもしれないので、ヒントはヘッダ画像、ということだけ書いておきます。
さて今回のお話はここまで。
皆様最後まで読んでいただきありがとうございました。
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