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車いすフェンシング編:夏のパラリンピック競技 ルールと見どころ

 パリ2024パラリンピックの競技期間に限定して、競技の見どころやルールを書籍『パラスポーツ事典 夏・冬のスポーツ28 競技のルールと見どころがわかる!』(メイツ出版刊)より抜粋して公開します。
 本記事では28競技のうち「車いすフェンシング」の見どころやルールをお伝えします。

※本記事は2024年9月3日(火)10:00~9/8(日)10:00の期間限定公開です。
※詳細な競技ルールは開催される大会によって変更されることがあります。ご了承ください。


 車いすフェンシングは、金属製の剣(けん)を持った選手が、フレームと呼ばれる台に固定された車いすに乗り、突き技や斬(き)り技で戦って得点を競う競技です。

どんな競技?

 フェンシングは、中世の騎士道(きしどう)に由来するスポーツで、後に車いす競技へと派生しました。
 一般のフェンシングのように足を使って移動することができないため、選手は上半身だけを使って剣を素早く巧(たく)みにさばきながら、至近距離にいる相手と攻防を続けます。剣を扱うテクニックはもちろんですが、相手の一瞬(いっしゅん)の隙(すき)をつく高い集中力も勝負を左右する重要なポイントです。

どんな歴史があるの?

 「パラリンピックの父」とも呼ばれる、ドイツのルードウィッヒ・グットマン医師によって導入された車いすフェンシングは、特にヨーロッパで盛んに行われている競技です。1960年の第1回ローマパラリンピックから正式種目に採用され、日本選手は1964年の東京大会で銀メダルを一個獲得しています。その後のメダル獲得はありませんが、2000年のシドニー大会から2008年の北京大会まで、3大会連続で出場を果たしました。

どんなルール?

 剣やマスク、ユニフォームといった用具や、勝敗の判定に使う電気審判機は一般のフェンシングと同じですが、大きな違いは選手が乗る車いすが、フレームと呼ばれる台に固定されていることです。
 クラスは選手の障がいの程度に応じて、AとBの2つに分かれます。種目には、胴体のみを突く「フルーレ」と上半身を突く「エペ」、上半身の突きに斬る動作が加わった「サーブル」の3つがあり、「フルーレ」と「エペ」は男女別の個人戦と団体戦、「サーブル」は男女別の個人戦のみを行います。

見どころは?

 選手は体をいっぱいに伸ばしながら、常に一定の距離にいる相手と激しく素早い動きで攻撃と防御(ぼうぎょ)を繰り返します。スピーディーで息詰まる試合展開からは、一瞬たりとも目が離せないことでしょう。

対象の障がいとクラス分け

障がいがあっても競技ができるための工夫

フレーム

 試合中に車いすを固定する台をフレームと言います。車いすに装着されているタイヤは、すべてフレームの上に乗っていなければならず、後方の大きな2つのタイヤは留め金で固定し、前方にある小さな車輪はフレームの前面の内側に触れる場所に配置します。

アームレスト

 選手は、剣を持っていないほうの手でアームレストを掴み、体のバランスを保ちながら腕を伸ばした攻撃や、腕をたたんだ防御を行います。クッション車いすの座面には、座高を調節できるように、厚さ10cmまでのクッションを置くことができます。

固定ベルト

 体を車いすに固定するためのベルトも装着します。

金属製のスカート  

 ポイントの判定には、電気審判機を使用しますが、種目のひとつである「エペ」では、上半身だけでポイントを判定するため、下半身を剣で突かれても反応しないよう、金属製のスカートを身につけます。

試合の流れ

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点数の数え方/ルール

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 書籍では夏のパラリンピックで行われる競技のほか、冬のパラリンピックで行われる競技も含めた全28競技のルールや見どころを紹介しています。

 本記事は書籍『パラスポーツ事典 夏・冬のスポーツ28 競技のルールと見どころがわかる!』の内容を、noteの体裁に合わせて再編集したものです。書籍とは段落等の並びが異なる場合があります。
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