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「王と鳥」(やぶにらみの暴君)

高畑勲がこの作品の最初の公開バージョン「やぶにらみの暴君」(1952)を観てアニメーション監督を志したと言われる世界アニメ史の名作です。この作品はもともと「やぶにらみの暴君」というタイトルで戦後まもない頃に公開されましたが、監督のポール・グリモーのあまりの完全主義にゴウを煮やしたプロデューサーのアンドレ・サリュがグリモーから未完成のフィルムを取り上げて強引に辻褄を合わせて編集、公開してしまいました。

監督の意に反していたとはいえ、作品は世界中で評判になり、ヴェネツィア映画祭で審査員特別大賞まで受賞。日本でも公開され若き高畑勲、宮崎駿に巨大な影響を与えたのですが、グリモーはその後28年かけて作品の権利を取り戻し、新作シーンや作画リテイクを加えて「王と鳥」として完成させます。

物凄い執念ですが、私、旧バージョンの「やぶにらみの暴君」も観てますが、正直な感想を言うなら新作のリテイクパートより旧作の方が作画の出来が良かったのです。

とはいえ、「王と鳥」が名作であることには違いはありません。脚本のジャック・プレビュールは詩人で、セリフのいちいちが詩になっていますし、王様が秘密の部屋でレコードを聴くのですが、それが「ロバと王様と私」という歌なのです。

ロバと王様と私
みんな明日死ぬ
ロバは飢えて
王様は退屈で
私は恋で

なんと言うか、フランス映画ですねえ。そして本作を初めて観る人は、王様の城が、宮崎駿「ルパン三世カリオストロの城」の城にソックリなことに驚くでしょう。そう、宮崎駿はこの映画の城を外観も構造もまるまるパクったのです。

ここから分かるように、世界中のアニメーション監督に影響を与えたアニメです。

新品未開封品。プレミア盤で、販売価格と同じか高い値段で取引されています。

「王と鳥('80仏)」
パスカル・マゾッティ / レイモン・ビュッシエール / ポール・グリモー


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