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岡本喜八「日本のいちばん長い日('67東宝)」Blu-ray

岡本喜八のオールスター戦争超大作「日本のいちばん長い日」です。半藤一利による同名のノンフィクションを岡本喜八が監督したもので、東宝では社員全員がコケることを予想していましたが、公開するや大ヒットになりました。

1945年8月14日から翌15日正午の玉音放送までの24時間に日本の軍部・政権内部で何が起きていたのか? を極力史実に忠実に再現した、まるでドキュメンタリーのような劇映画です。

岡本喜八は太平洋戦争に兵士として従軍した経験があり、強い反戦主義者でした。その人間が戦争を映画化するにあたっては、「事実」をありのままに再現しようという気持ちが強く、この映画もそのように作られています。

公開後、本作は賛否入り乱れ、特に左派からは「戦争指導者を英雄視しているのでは」と疑問が投げかけられましたが、岡本にそのような意図はなく、究極の国難に際して英雄的に振る舞った人間も居れば、そうではない者も居たという当たり前の事実を描いたに過ぎません。岡本喜八はエンディングに「この戦争で300万人が死んだ」というテロップを入れることに固執しました。

24時間の出来事を2時間37分に凝縮した作品なので、非常に濃い内容です。

ポツダム宣言を受諾するか否かの御前会議での降伏派・戦争継続派の激しい論争に始まり、陛下のご聖断を経ていよいよ降伏受諾となり、皇居にNHK職員が来て玉音放送用のレコードを収録する場面。レコードは正副2枚が作られ、放送時間まで2箇所で厳重に保管されましたが、それを奪って破棄しようとする戦争継続派の軍部の内乱、玉音放送を経て阿南陸軍大臣(三船敏郎)が切腹するまでを、まるでその場で目撃するかのようなリアルな映像で描いています。

私は神風特攻隊の生みの親である軍令部大西瀧治郎中将の「あと2000万の特攻を出せば日本は必ず勝てます!」という戦争の狂気を凝縮したような台詞が忘れられません。

太平洋戦争を描いたセミ・ドキュメンタリーの傑作です。

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↑星野之宣「日本のいちばん長い日(上)」


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