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「ウォルト・ディズニーの約束」

トム・ハンクスがディズニーを演じた「メリーポピンズ」完成までの舞台裏。エマ・トンプソンがメリーポピンズ原作者のトラヴァースを演じています。 

これは、是非「メリーポピンズ」と一緒に観てほしい作品です。というのは、原作者のP.L.トラヴァースはいわゆる「モンスター原作者」で、自作を他人にいじらせるのを嫌がり、映画化にあたっては脚本にダメ出しを続けて映画スタッフを困らせる人物なのです。

 「ムーミン」のトーベ・ヤンソンが日本でのアニメ化に難色を示し、細かいところまで文句を言い立てて何十枚もの抗議文を書き、アニメ会社を困らせた有名な話がありますが、それと同じです。 

この「ウォルト・ディズニーの約束」は、怪物のような原作者のトラヴァースとウォルトがどうやって付き合い、最後に信頼を勝ち得て「メリーポピンズ」の映画化に漕ぎつけたか、その一部始終が克明に描かれています。 映画というものは莫大な予算がかかり、膨大なスタッフが動いて作られますが、どんなに困難があろうが、素晴らしい作品に仕上げる中心に確固とした信念とビジョンを持ったプロデューサーの存在が不可欠です。

ディズニーの場合、制作プロセスの隅々までディズニーの意志に貫かれていて、その意味では限りなくクリエイターに近いプロデューサーと言えます。監督すらディズニーのアシスタントに過ぎず、その意味では製作総指揮者、現代のアニメ製作における「総監督」の立場に近いと言えるでしょう。 

この映画は、映画製作における全権を持った天皇のようなディズニーに対して一歩も引かない、モンスター原作者の格闘の記録だと言えます。 ウォルト・ディズニーを演じるトム・ハンクスは、そんなに顔は似てないのですが、雰囲気はディズニーそのもので、さすがは一流の俳優だと唸らされます。 

開封済みBlu-ray。再生は一回のみ。 「ウォルト・ディズニーの約束 MovieNEX('13米)〈2枚組〉」 エマ・トンプソン / トム・ハンクス / ジョン・リー・ハンコック

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