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ジョージ・ルーカス商業デビュー作「THX-1138」('71米)

ジョージ・ルーカスの商業デビュー作「THX-1138」です。最初見た「すごく学生映画っぽい作品だな」と思ったのですが、それもそのはずで、ルーカスが南カリフォルニア大学在学中に大学の課題として制作した短篇「電子的迷宮THX-1138」を劇場作品としてリメイクした映画なのです。

内容は、観念的……と申しますか、人間性を剥奪された未来の管理社会から脱出しようとする主人公の話です。非人間的な地下都市の工場で命令通りの作業をする主人公(ロバート・デュバル)がルームメイトの女性LUH-3417とタブーとされていた肉体関係を結んだことから、地上への脱出を夢見るが、密告によって捕えられる。

なおも諦めないTHX-1138はパトカーをジャックして地上に向かいますが、追うロボット警官は逮捕した場合の利益と現在消費しているコストを比較して途中で追跡を断念。朝日が昇る地上にTHX-1138がたどり着くところで映画は終わります。

観念的なディストピアSFなんですが、今、この映画を観る面白さは、後にルーカスが作る「スターウォーズ」に繋がるであろう要素を見つけることです。

ロボット警官は、明らかに人間がお面を被っただけの出来が良くないコスチュームですが、それでもR2-D2やトルーパーを思わせますし、白い廊下をSW1作目に出てきたような頭から茶色い布を被った一団が歩いていたりします。

そもそもこの映画の冒頭に引用されているのが大昔の連続活劇スペースオペラ「バックロジャース」の映像なんですよ。これ、もろにルーカスが子供の頃に熱中していた古典的なSF映画で、これを最新の技術で蘇らせたのが「スターウォーズ」なのです。

プロデューサーはフランシス・コッポラで、コッポラが作った映画制作会社アメリカン・ゾーエトロープの第一回作品でした。因みにこの会社でルーカスが作ろうとしていたのが「地獄の黙示録」で、余りにも困難な撮影が予想されて中断した作品なのです。

ルーカスが「スターウォーズ」を作ろうとしていた時、コッポラの干渉から逃れるため、ゾーエトロープを辞める代わりに「地獄の黙示録」の企画をコッポラに上げたのでした。


「THX-1138('71米)」
マギー・マコーミー / ロバート・デュヴァル / ジョージ・ルーカス
定価: ¥ 2381

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↑プライム・ビデオ「THX−1138」


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