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【淀川長治生誕100年記念】「淀川長治 映画史」第1集 〜第6集全巻セット

1995年に英国BBCが6回にわたって放送した、映画史の非常に良く出来たドキュメンタリーの日本版DVD。タイトルやジャケットには淀川長治の名前が大きく出ていますが、淀川長治は日本版の総監修を引き受けたものの、高齢で病に倒れており、1998年に89歳で世を去りました。

つまり、このDVDは淀川長治最後の仕事ということになります。同じIVCが出していた映画クラシックのDVDには淀長さんの名解説が付いていましたが、「映画史」にはそれは付いておらず、事実上の名義貸しに近かったと思います。

番組は、大学の映画史の講義に使えるほど専門的で立派なものです。第1集「すべてのはじまり」ではリュミエール兄弟の世界最初の映画「列車の到着」に始まり、第2集「アートシネマの開花」ではサイレント期の名作で、キューブリックの「シャイニング」にも影響を与えたスウェーデンの作家ヴィクター・シュトロウムの「霊魂の不滅」(1922)や、デンマーク映画「魔女」(1922)などの珍しい映画を紹介。

第3集「躍動し 創造するカメラ」ではソビエトの「戦艦ポチョムキン」やドイツの「メトロポリス」などの映画史上有名な大作を取り上げ、映画技術の発展を説きます。

第4集「光のシンフォニー」ではアベル・ガンス「ナポレオン」やカール・ドライヤーの名作「裁かるるジャンヌ」など映画史上の重要作品を紹介。

第5集「失われた機会」ではヒッチコックが最初にその作風を確立したスリラー「下宿人」や、ドイツのトップ女優からナチス御用達の映画監督になったレニ・リーフェンシュタールなどが本人の証言を交えて紹介されます。

第6集「そして映画は語り 歌う」で映画がサイレントからトーキーに移行するところで終わります。

総じてサイレント期の欧州映画中心で映画史を追っていますが、1920年代まで世界の映画の中心はハリウッドではなく、スウェーデン・デンマーク・ドイツなどでした。ディスクにはイングマール・ベルイマン、ルネ・クレール、アベル・ガンス、ドイツや英国で監督していたアルフレッド・ヒッチコックなどの証言を交え、今ではほとんど見られない貴重なフィルムをふんだんに映して映画黎明期の素晴らしさを伝えてくれます。

6巻揃いで中古市場に出回ることはあまり無いと思います。映画の歴史に関心がある人は、ぜひこの機会に手に入れられたらいかがでしょうか。

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