たくらむ技術

本『たくらむ技術』の紹介

アメトーーク!、ロンドンハーツのプロデューサーとして有名な加地倫三さんの本です。何か「たくらむ」(たい、でいる)人には、どこかひっかかるところがある一冊だと思います。

余韻

”あるエピソードが披露されてスタジオ内が大爆笑に包まれ、あまりの面白さに笑いが10秒も続いたとします。ただし、そのうち最初の3秒が大爆笑で、残り7秒が余韻だった。
こういう時に、作り手側はついつい残り7秒の部分をカットしてしまうのです。ここでカットしておけば、時間がストックできて、他の部分でその7秒を使うことができるからです。
ところが、これは不正解。「7秒の余韻がカットされる」ということは、つまり「テレビの前にいる視聴者が、笑い終わって落ち着く時間がカットされる」ということだからです。”(P.25)

相手の反応が見えない中で的確に反応が読めるのは、これまでよく考えながら結果を見続けてきた経験があるからなのかなと思いました。ただ経験するだけでは蓄積されませんし、考えているだけでは、失敗したり成功したりしていなければまた蓄積されません。

デザインの余白が大切なように、人の話、番組の面白さには間や余韻が大切なのだと思います。プロダクトをシンプルに保つということは、こういう余白や余韻という意味で大切なのかもしれないですね。

アイディア

”例えば、10時間の議論の末に出てきた「良いアイディア」があったとします。しかし、それは本当に10時間かけたから出たものだったのか。1時間の会議を1週間の感覚をあけてやっていたら、2、3時間目でとっくに出ていたかもしれない。むしろその可能性は結構あるんじゃないかな、と思うのです。間隔をあけることは脳をリフレッシュさせるだけではなく、その間に様々な角度から考える余裕も与えてくれます。「時間がないから1週間も待てない」という場合は、会議中にいったん違うテーマに話を移すだけでもいい。とにかく脳をフレッシュな状態にした方が良い結論に至ると思っています。”(P.58)

漠然と考え続けるよりも、少し時間を空けて再度考えたほうがいいなという認識はどこかにありました。時間を空けている間もふっと思い返したり、違うものを見た時に派生してアイディアがつながったりすることがあったからです。

最近は企画する機会が増えてきたので、違うテーマに話を移すなど、短時間でいい考えを出す方法としてトライしてみたいなと思いました。

まとめ

たくらむ技術は過去の経験、そしていろいろなモノ、ヒト、コトを観察して得た知見、たくさんの仮説から成り立っているのかなと思いました。そして技術だけではなく、当たり前のことを当たり前にやることや、一つ一つのことに真摯に向き合って向上させていくことが大事なのだと感じた一冊でした。

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