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人事評価制度を導入したのにうまくいかないのは何故?(前編)

100年企業に学ぶ働き方改革

社会で「働き方改革」が進むにつれて、人事評価制度に関するお問い合わせが増えています。就労形態が多様化している現在、スタッフの評価について悩みを抱えるのは、至極もっともなことだと思います。
 
 人事評価制度の在り方は、会社によって様々です。社会保険労務士のアドバイスに従っている、システム化している、上司のフィーリングで…など、会社の個性が垣間見える部分でもあります。実は、人事評価制度そのものが存在しないという会社も少なくないのです。
 
 私は「100年企業研究会」という団体組織で活動をしています。日本には100年以上続く企業が世界中で最も多くありますが、これらの企業から経営の本質を学び、他の企業にもフィードバックしていく、というのが主な活動内容です。
 
 その活動を通して分かったことですが、実は、100年企業でも人事評価制度がないというところが多く存在します。その代わり、長い時代を通して地層のように積み重ねられた強固な風土があるので、うまくいっているのです。
 
 もちろん人事評価制度を有している100年企業も多くあります。それらの企業は風土という強固な地盤に、人事評価制度という仕組みをゼロから丁寧に構築しているので、制度がうまく機能するのです。

あなたの会社は大丈夫?典型的な失敗例

では、人事評価制度がうまくいっていない企業にはどんな問題があるのでしょうか。「企業の数だけ問題がある」というのが答えですが、よくある例として以下2つのパターンが挙げられます。
 
①社長のニーズを満たそうとする場合
 
②時流にあわせて始める場合
 
 ①は、社長自ら「人事評価制度を取り入れて、あとは担当に任せたい」と主張して、それを進めるようなケースです。この場合、極端な言い方をすると「社長が経営をやめる」ということになってしまいます。
 人事は会社経営の重要な柱の一つであり、社員にあれこれ説明したくないとか、忙しいから誰かにやってほしいといった要望は、社長が自分のニーズを満たして社員のニーズを考えていないということであり、それを全てお金で解決しようとしているのです。中小企業の社長として好ましい姿勢ではありません。
 
 ②は、働き方改革以降よく見られるパターンです。セミナーや勉強会などで話を聞き、「働き方改革=同一労働同一賃金=人事評価制度」という図式を刷り込まれ、会社の事情を熟慮せずに「ならばうちも…」と制度導入に乗り出すようなケースが多々見られます。
 
これらの結果、多くの人が「人事評価制度を導入したのに、どうしてうまくいかないのか」と相談に来られます。その疑問に対する回答は後編で詳しく述べたいと思います。
(以下後編に続く)