「なりたいようになればいーじゃん」 私の抱負

気づけば年が暮れ、明けていた。初詣にも行くことなく家で過ごすお正月は、何だか不思議な感じがする。今年はますます大変な一年になりそうだが、ぼちぼちnoteも続けていきたい。

今回は今年の抱負と交えながら、私が好きな漫画の話をしようと思う。私のお気に入りの漫画、それはPEACH-PIT先生の『しゅごキャラ!』(2006-2010年、全12巻)だ。

『しゅごキャラ!』は、なりたい自分が形を得た妖精のような存在「しゅごキャラ」と少年少女が織りなす、笑いあり涙ありバトルありの、魅力満載の少女漫画だ。

あらすじ

主人公の日奈森亜夢(ひなもり あむ)は、聖夜学園に通う小学4年生。彼女はクールでカッコいい言動により、周囲から一目置かれていた。しかし、実際には口下手で素直になれないだけで、評判が独り歩きする現状に悩んでいた。

ある日、彼女が「どうかあたしに、なりたい自分に生まれ変わるために勇気をください」と願うと、翌朝ベッドの中に3つのたまごを見つけた。すると、たまごの中から、ラン・ミキ・スゥの3人のしゅごキャラが誕生し、自分たちはあむの「なりたい自分」が形になった存在だと告げる。

しゅごキャラが生まれたあむは、同じくしゅごキャラの持ち主である生徒で構成された聖夜学園の組織・ガーディアンから、×たま(ばつたま)を浄化する特別な役職・ジョーカーに任命され、×たま浄化に奔走する。さらに、あむたちは何でも願いを叶える特別なたまご・エンブリオを狙うイースター社との戦いにも巻き込まれていく。戦いを通して精神的に成長したあむたちは、それぞれの「なりたい自分」に向き合っていく。

『しゅごキャラ!』の魅力


『しゅごキャラ!』の魅力は、なんといっても作品全体が発している「なりたいようになればいーじゃん!」というメッセージだ。

こころのたまごから生まれるしゅごキャラは、なりたい自分の象徴であり、未来の自分の可能性だ。あむちゃんの3人のしゅごキャラ、ラン・ミキ・スゥは、それぞれおてんばなチアガール、クールな芸術家、おしとやかなメイドさんと三者三様で、特技もそれぞれ異なる。あむちゃんはキャラチェンジ(しゅごキャラの力を借りてパワーアップすること)を駆使して、さまざまな課題に立ち向かい、自分に秘められた可能性に気づいていく。

基本的には1人の持ち主に対して1人のしゅごキャラが発現するが、あむちゃんや一部の人物は複数のしゅごキャラを持っている。内なる自分とも言えるしゅごキャラが、1人の持ち主に対して複数いる描写は、人間の可能性が無限であることを示すと同時に、色々な「自分」が存在することの肯定でもあると感じた。

複数のしゅごキャラを持っている登場人物のエピソードで、最も印象に残っているのが、ガーディアンの1人、藤咲なでしこにまつわる話だ。

なでしこさんのしゅごキャラは、大和なでしこを体現したようなてまりと、ヒップホップ調の服装のリズムだ(リズムの登場はストーリーのかなり後半から)。

なでしこさんは日本舞踊の名家に生まれ、後継ぎになるべく厳しく育てられていた。なでしこさんの周囲の期待に応えたいという思いからてまりは生まれる。一方で、なでしこさんには、女の子らしくおしとやかに振る舞うのではなく、周囲の友達と同様にスポーツに打ち込みたいという欲求もあった。そんな内なる願いに応え、リズムが誕生する。

誰よりもおしとやかに、美しく振る舞い、理想の美を体現する自分と、フィールドを駆け回り汗を流す自分、なでしこさんにとっては、どちらもなりたい自分であり、「ホントの自分」だった。なでしこさんは、どちらの自分も否定することなく、正反対な性質を肯定しながら前へ進んでいく。

『しゅごキャラ!』は、夢を追う姿を、成長と共に変わっていく理想像を、自分が持つ様々な性質を肯定してくれる物語だと思う。最後に、『しゅごキャラ!』にまつわるある曲を紹介しよう。それは、アニメ版1期のOP曲「こころのたまご」だ。

この曲の歌詞には、『しゅごキャラ!』の中のメッセージがぎゅっと詰まっている。特に、サビの「なりたいようになればいいじゃん」や「やりたいようにやればいいじゃん」は、明るいメロディと共に、迷う人の背中を押してくれる。

今年の私の目標は、まさしく「なりたいようになる、やりたいようにやる」だ。私の中にもきっと何人ものしゅごキャラ、「なりたい自分」がいるはずだ。その都度前に出てくる私は違うかもしれないけれど、その一人ひとりを大切にしていきたい。

2021年がどんな1年になるか、まだ想像もつかないけれど、あむちゃんたちの言葉を胸に、なりたいように、やりたいように進んでいきたいと思う。

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