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スペードのAをさがして #1 『サバティカル』紹介

はじめに

アセクシュアルやノンセクシュアル(ロマンティック・アセクシュアル)を取り上げている作品を紹介する【スペードのAをさがして】第一弾は、2019年に発表された中村航の小説『サバティカル』を取り上げようと思う。

https://www.amazon.co.jp/サバティカル-中村-航/dp/4022516038

今回は、作品のあらすじと、アセクシュアルに関する注目ポイントだけ説明していく。

作品あらすじ

「旧約聖書では、神が六日間働いて世界を創り、七日目を“sabbaticus ”、すなわち安息日とした。サバティカルはそれにちなんだ制度である」(中村航『サバティカル』朝日新聞出版、2019年、p.22)

大人になればなるほど、子供の頃漫然と過ごしていた夏休みの時間が戻ってくればいいのにと思ってしまう。『サバティカル』は、突然降ってきた5ヶ月の休暇をどのように過ごすか悪戦苦闘する男性の物語である。

主人公の梶は、新卒から11年勤めてきた会社を離れ、転職することになった。転職先で働き始めるまでの空白期間は5ヶ月。この再出発のための充電期間を、少しでも有意義なものにしようと、梶は、古墳めぐり、スケッチ、ギター、料理……といった風に、今まで出来なかったことを一つずつこなしていく。

ある時、梶は、公園で出会った吉川老人に将棋を教わることになる。将棋をしながら、離婚によって離れ離れになってしまった娘について語り、彼女の現在を気にかける吉川に、梶は「じゃあ、僕が捜してきますよ」と申し出る。

自分の思いに意味はあるのか。自分の行動に意味はあるのか。娘捜しとその先の出会いを通して、梶は己と向き合っていく。

大人になってから手に入れた夏休み。彼が向き合う人生の宿題とは……?

♠︎注目点

『サバティカル』には、アセクシュアルの人物が登場し、その思いを吐露する場面がある。果たして、それは誰なのか。吐き出される思いとは、どんなものか。ぜひ、あなたの目で確かめてほしい。

次回予告

次回は、『サバティカル』におけるアセクシュアルの描写について、私自身の感想を述べていく。そちらはネタバレが多分に含まれると思うので、作品を純粋に楽しみたい方は注意してほしい。後編にて、お待ちしております。

最後に、【スペードのAをさがして】では、引き続き、アセクシュアルやノンセクシュアル(ロマンティック・アセクシュアル)を取り上げた作品を紹介していく予定です。オススメの作品等ありましたら、コメントで教えていただけると嬉しいです。

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