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TRPGにおける、「できる」ゲームマスターの主な行動10

 こんにちは。TRPG好きの山内剛(マッチ棒)と申します。
 好きなTRPGはトラベラー、T&T、ウォーハンマーRPGです。CoCは数度しか経験がありません(誰か誘ってください、なんちゃって)。

 TRPGにおける、「できる」ゲームマスターの主な行動を10個、リストアップしました。
それぞれについて紹介し、その行動の良い点、悪い点について整理してみましたので、共有します。

 この文章は、TRPGなんでも Advent Calendar 2022 - Adventar のために書き下ろしました。飛び込み参加を許可されていた、ひとしろ(@shiro_333)様に感謝致します。

 それではリストの紹介からいきましょう。続けて、その詳細についてお話しします。

TRPGにおける、「できる」ゲームマスターの主な行動10

シナリオを柔軟に書き換える
プレイヤーの意見を取り入れる
プレイ中に発生した問題を急いで解決する
モンスターやNPCの挙動を活かしたプレイを提案する
パーティーの力不足を補うために、ノンプレイヤーキャラクターを登場させる
シナリオのクリア条件を柔軟に調整する
シナリオを進行させるために、ヒントをプレイヤーに提供する
ゲームの舞台を変更することで、プレイを再び楽しくする
プレイ中に発生したトラブルを、適当な脚色でまとめる
プレイ中に発生した問題を、別の章や場面で解決させる

1.シナリオを柔軟に書き換える

 TRPGでは、ゲームマスターがシナリオを柔軟に書き換えることで、プレイヤーが望む展開や、想定外のプレイをサポートすることができます。そのため、ゲームの興奮度を高めることができます。
 一方で、ゲームマスターがシナリオを柔軟に書き換えることで、元々の筋書きが崩れてしまう恐れがあります。また、プレイヤーが楽しむためには、ある程度の展開や話の筋書きが必要なため、柔軟に書き換えすぎると、プレイを混乱させてしまう可能性があります。
 ゲームマスターは、プレイ中に発生する問題やトラブルを解決するためには、シナリオを柔軟に書き換えることが必要ですが、元々の筋書きや展開を無視してしまうことは避ける必要があります。

2.プレイヤーの意見を取り入れる

 TRPGでは、ゲームマスターがプレイヤーの意見を取り入れることで、プレイヤーが望む展開や、プレイヤーの想定する展開をサポートすることができます。
 これにより、プレイヤーがゲームを楽しむことができるため、ゲーム全体の興奮度がより高まることが期待できます。
 一方で、先ほどのシナリオを柔軟に書き換えることと同じ問題が生じる可能性があります。プレイヤーの意見を取り入れることはある程度は必要ですが、元々の筋書きや展開を無視してしまうことは避ける必要があります。

3.プレイ中に発生した問題を急いで解決する

 TRPGでは、しばしば意見の食い違いや、想像している内容のずれがゲームを止めるほどの問題となる事があります。 ゲームマスターはこうした問題に、その場限りの判断を下し、皆に共有することで、プレイ中に発生した問題やトラブルをすばやく解決することができます。
 これにより、プレイヤーはゲーム中に発生した問題を解決し、ゲームの流れに復帰することができます。
 一方で、ゲームの復旧を急ぐあまり、ゲームマスターの裁定に納得できないプレイヤーを残置する場合があり、これは後にトラブルを生む場合があります。問題を素早く解決することはある程度は必要ですが、より重要な事として、参加者がお互いに敬意を払い、払われる場を維持する必要があるでしょう。

4.モンスターやNPCの挙動を活かしたプレイを提案する

 TRPGでは、しばしば強力なモンスターや敵対的キャラクターに対してプレイヤーが攻めあぐねる場合があります。このようなとき、ゲームマスターはモンスターやNPCの挙動を活かしたプレイを提案し、また、受け入れる事ができます。
 これにより、プレイヤーは強力な敵対者をトリッキーにやっつける快感を得ることができ、ゲームの興奮度を高める事ができます。
 一方で、ゲームマスターによる提案が唯一の正解のように取り扱われる場合、ゲームの面白みをそいでしまう場合があります。
 プレイヤーが楽しむ為には、プレイヤー自身の創意工夫している感が必要なため、ゲームマスターの提案が押しつけになりすぎると、プレイヤーの取り組みが萎縮してしまう可能性があります。

5.パーティーの力不足を補うために、ノンプレイヤーキャラクターを登場させる

 TRPGでは、しばしばプレイヤーの人数不足などの対策として、ゲームマスターがノンプレイヤーキャラクターを登場させて力不足を補うことがあります。
 これにより、プレイヤーが適正な戦力でゲームを楽しう事ができるため、ゲーム全体の興奮度が寄り高まることが期待できます。
 一方で、ノンプレイヤーキャラクターが有能に働き過ぎることで、プレイヤーキャラクターの活躍の場を奪ってしまい、プレイが混乱してしまう可能性があります。
 ゲームマスターは、ノンプレイヤーキャラクターを必要に応じてプレイヤーの味方として登場させることはあってもいいですが、そのノンプレイヤーキャラクターはそこそこに有能で、かつ、プレイヤーキャラクターの活躍を盛り上げる事を主軸としたキャラクターとする必要があります。

6.シナリオのクリア条件を柔軟に調整する

 TRPGでは、しばしばプレイヤーの意図する勝利条件と、ゲームマスターがシナリオを運用する上で意図する勝利条件とがマッチしない場合があり、このときゲームマスターはプレイヤーの意図する勝利条件をも達成できるように柔軟な調整を行う事があります。
 これにより、プレイヤーは望む展開を得られる可能性のもと、より高い興奮をゲームで得る事ができます。
 一方で、ゲームマスターがクリア条件を柔軟に調整することで、元々の筋書きが崩れる恐れがあります。また、柔軟すぎる調整がプレイヤー有利に働きすぎる結果として、ゲームが簡単すぎる内容になってしまう場合もあり、プレイを混乱させてしまう可能性があります。
 ゲームマスターは、プレイヤーの意図する勝利条件がプレイ内で達成できる可能性を提示することも必要ですが、元々の筋書きや展開の持つ困難さを無視してしまうことは避ける必要があります。

7.シナリオを進行させるために、ヒントをプレイヤーに提供する

 TRPGでは、しばしば困難すぎる課題に対してプレイヤーが手を出しづらくなる場合があります。このようなとき、ゲームマスターは何者かからの啓示やアイデア・ロールなどを用いて、課題解決を補助するヒントを提供する事ができます。
 これにより、プレイヤーはゲーム上の課題を解決し、ゲームの流れを加速することができます。
 一方で、ゲームマスターのヒントが過剰にある場合、ヒントを得るための質疑がゲームの本筋となってしまう場合があり、ゲームの興奮度を下げる場合があります。
 ゲームマスターは、プレイヤーが楽しめる範囲でのヒントを提示する必要はありますが、ゲームの本筋を変えてしまうほどの困難な課題については、そもそも注意して取り扱う必要があります。

8.ゲームの舞台を変更することで、プレイを再び楽しくする

 TRPGでは、ゲームの舞台がいつも同じであるとき、プレイヤーがだんだん(悪い意味で)慣れてきてしまう場合があります。このようなとき、ゲームマスターは冒険の舞台を思い切って変え、ゲームの新鮮味を取り戻すことができます。
 一方で、ゲームの舞台に対してプレイヤーが親近感を持っていた場合、プレイヤーは冒険の舞台を変えることに若干の拒否感を持つかもしれません。
 ゲームマスターは、プレイヤーがより楽しむ為に冒険の舞台を変える際は、プレイヤーが親しみを持った場所と関係の深い場所を、新たな舞台とする必要があるでしょう。

9.プレイ中に発生したトラブルを、適当な脚色でまとめる

 TRPGでは、プレイ中に様々なトラブルが発生する場合があります。それはプレイ内での困難な課題であったり、ひょっとしたらプレイ外での課題だったり、するかもしれません。
 こうした課題を踏まえてプレイする場合、ゲームマスターはそのトラブルを適当な脚色を入れてゲームに取り込み、プレイヤーの関心をゲームの本筋に戻す事が可能です。
 一方で、こうした脚色付きのトラブル描写は、参加者だけが分かる隠語のような印象を与え、ゲームの純粋さを損なう場合もある、かもしれません。
 ゲームマスターは、プレイヤーが楽しめる範囲で、トラブルを脚色してゲームに取り込むことが可能ですが、その目的はプレイヤーの関心をゲームの本筋に戻すことのみにおさめねばなりません。

10.プレイ中に発生した問題を、別のセッションや場面で解決させる

 TRPGではプレイ中に様々な問題解決を行うなかで、困難すぎる問題に直面する場合があります。ゲームマスターはこうした問題をストックし、別のセッションや別の場面で解決させる事が可能です。
 こうした困難すぎる問題の解決は、プレイヤーに多角的なアプローチを検討させ、ゲーム全体の興奮度を寄り高める事が期待できます。
 一方で、こうした別場での解決が多すぎる場合、ゲームの解決が常に後回しにされる事に慣れたプレイヤーたちにより、プレイが混乱する場合があります。
 ゲームマスターは、プレイヤーがゲームの本筋を楽しめる範囲での困難を用意し、なるべくセッション中の困難はセッション内で解決させるようにする必要があります。

共通して言えること

 共通して言えることとして、ゲームマスターは何でもできる権能を利用しつつも、あくまでプレイヤーの楽しみの為に活動する役職だ、ということです。ゲームマスターはシナリオ作者やプレイヤーらにおもねるだけの存在ではなく、あくまで、プレイヤーのゲームに対する取り組みと、その楽しむ過程を支援する立場である、と理解すると良いでしょう。
 ゲームマスターの、プレイヤーの楽しみを支援する活動はプレイヤーとしてのそれに比肩する、たいへんエキサイティングでクリエイティブな遊びです。ぜひ、あなたもゲームマスターに挑戦してみてくださいね。

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