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思い出の味

カレーを嫌いな子供を探す方が難しいだろう。ご多聞に漏れず、私達姉弟もそうだった。学校の給食の献立にカレーを見つけると、ワクワクしたものだ。
給食もそうだが、やはり母の作るカレーが一番好きだった。それは弟も同じで、おかわりを2人で争うようにしていた。

昨夜、夢を見た。夢の中の私達は子供で、一緒にカレーを食べていた。
「ねぇちゃん。お母さんのカレーは一番おいしいね」なんて事を弟は言っていた。あまりに鮮明な夢だったので、朝になって母に電話をした。
「そうかい。実は仏壇にカレーをお供えしたんよ」と言う。それを聞くと涙がスーと溢れた。同時に胸が暖かくなった。

弟は、昨年不慮の事故で亡くなったのだ。

一日延ばしは時の盗人、明日は明日…… あっ、ありがとうございます!