見出し画像

英雄の旅(ヒーローズジャーニー)を書きたい。:話のスケッチ

 アメリカの神話学者である、ジョゼフ キャンベルは、世界の神話には共通の一連の流れがあると言っていたそうです。それを英雄の旅(ヒーローズジャーニー)と呼ぶそうです。
 大雑把に言うと、ヘラクレスの話とヤマトタケルノミコトの話には似た流れがあるみたいな事です。
 また、ジョゼフキャンベルの著作をジョージ・ルーカスが参考にして、スターウォーズを創ったとか。
 まぁ簡単な事ではないですが、前から自分もそういう感じの話を書きたいと思っていました。
 何かを書くという事に関していうと、この一年ぐらいで、僕は書く体力というか、何かを書ける自信みたいなモノは身についてきました。(出来不出来は別ですが)
 今書いている話(運転手の話とか、Tornとか、短い話など)は、引き続き書きながら、他の事も並行して進めたいのです。
 前までの僕なら、1つの事ですら満足して集中できなかったのですが、今は意欲があるので、そういう感じの事を、ボチボチとやっていきたいなと思っています。
 
 前置きが長くなりましたが、不定期に、話のスケッチみたいなものを投稿しようかと思います。
 今までの感じだと、僕は書き始めながら、話の筋を考えるタイプなのかなと自己分析をしています。
 ある程度冒頭を書いて、筋が固まったら、プロットって言うんですかね。(そういう呼び方の認識がないので、プロットって書くのがなんとなく恥ずかしいです。)それを手書きとか、nolaっていうアプリに書いて、一応オチまで考えて、再びはじめから書き始めるという事をしています。オチとかは、書いている途中で変わる事もあります。

 こういう事を書くのは、一種のお断りみたいな事です。
 というのも、スケッチのような話は必ず終わりがあるとは限らないのです。何となく良さそうなら、話の続きを考えますが、いまいちだなと自分で思ったら、続きは書かないのです。
 自分勝手な事をしようとしていますが、これから先を読んでいただけるのでしたら、その事をご了承いただきたいのです。

それで、話のスケッチ第一弾は下記のお話です。
もしよろしければ、ご覧ください。↓ 

タイトル:ネモ婆さんと僕(仮)

 地平線というのは、本当にあるのだと僕は思った。
 降り注ぐ光線は、地上を目指しているのではなくて、地面と平行にぐるりと回っているような感じがした。車の走る音はまばら。もしかすると、ここに住んでいる人のほとんどは、渋滞という現象を知らないのだはないかというのが、母親の実家に来た僕の印象だった。

 祖母の家には、長い濡れ縁があった。近所の人とおしゃべりする祖母の姿を横目に、僕は弾の入っていない銃を眺めていた。縁側というのは家の一部でありながら、誰でも気軽に迎えてくれる不思議な空間だと僕は思った。
「アンタ、それ、どうやって手に入れたんかい?」
 少し間の空いた僕の横で、祖母と世間話に夢中だった、ネモという、祖母よりもかなり年上にみえる老婆が、突然僕に話しかけてきた。祖母は、彼女の事をネモ婆さんと呼んでいた。
「なんで黙っているんよ?ネモ婆さんにしっかり説明しまれ!」
 祖母がきつい口調でそう言ったので、僕は最低限の説明をする事にした。
「貰ったんだ。本物だってカツユキさんが言っていた」
「カツユキかい。あの『強欲なる小獅子』だね。どれ、見せてみ?」
 ネモ婆さんは僕が持っていた銃を奪い取って、手慣れた様子でシリンダーを取り出して確認した。
「確かに本物じゃないか。弾は持っているんかね?」
「弾はもらってない」
「そんじゃ、意味ないね。何も撃つ事ができないね。アンタ、歳いくつ?」
「13」
「そろそろだね」
 ネモ婆さんがそう言った。おそらく、二つ名のことだろう。それから祖母が、僕の事を話題にした。
「私の娘のガキだ。都会に住んでいる方の。しばらく預かってくれだとよ。一人前のつもりなんだよ」
 祖母は僕たちの名前を口にしなかった。一人前のつもりというのは、母の事を言っていると思う。母にも二つ名があるのに、それも言わない。些細な事だけれども、僕はその事が気になった。祖母からは、僕はあまり歓迎されていない気がした。
「あんた、名前は?」
 ネモ婆さんが無愛想というか、言葉が足りないといった感じで聞いてきた。
「セイイチ」
「12月生まれかい?」
「そうだけど。なんでわかるの?」
「あんたの母親が考えそうなことさ」
 僕はそう聞き返したものの、誰にでもわかることかもしれないと思った。
「都会で育ったガキに、銃は撃てないべ」
 祖母は再び雑な言葉で言った。僕だってこんな田舎に来たくて来たわけじゃない。
「そんなこと言っちゃいけないよ。この子は強いよ。私が面倒をみようか?」
「ネモ婆さんが?このガキにそんな気立てなんてあんの?」
「この子の父親は?」
「わかんね。あの娘がどっかでこさえた子だ」
 僕が目の前にいるのに、祖母には遠慮という概念がないみたいだった。父親の事は、母から一度も聞いたことがなかった。僕も聞く事はなかった。だけど、僕はカツユキさんが本当の父親だったらいいと思っている。
「『強欲なる小獅子』からは、何かを聞いたのかい?」
「何も聞いていないよ。この銃も『あの町に行くならこれを持っていけ』と言われただけ」
「この銃は『世鬼』。名前のある銃なのさ。何を撃つためのモノか知ってんか?」
「知らないよ」
「鬼さ」


これから続かないかもしれません。ご了承ください。

一日延ばしは時の盗人、明日は明日…… あっ、ありがとうございます!