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外側に見えているもの

私は、多くの人と同じようにUNIQLOやZARAなどのファストファッションの利便性にひれ伏している人間だ。だけど、UNIQLOやZARAで買い物をし続けるのがどういうことなのか、ということについてはいつも考えている。こんなこと続けてたら天国に行けなくなるんじゃないかとか。私は無宗教だけど。この一文で色んな人を敵に回した気がするけど。

私は思想の一番外側がファッションだと思っているタイプの人間なので、本当は意思を持って物を選びたい。貧しい地域から原材料や労働力を買い叩いて作ったような服は着たくない。かといってブランド物ならいいのかと言うと、経営者やデザイナーが差別主義者であったり、ハラスメントを働いていたりするようならそこの服は買いたくない。

だけどこうした「政治的に正しい」選択にはとにかくお金がかかる。残念ながら、私には政治的に正しくないものをスパッと切り捨てられるほどの財力がないから、今日もUNIQLOやZARAで服を買う。もちろん、ファストファッションが安いのは、上記のようなネガティブな理由だけでなくて、生産体制が大規模だからだというのも理解している。けどそれはゴミがたくさん出るということだから、サスティナブルではないし。

私はこんな七面倒くさい思いを抱えながら日々買い物をしている。私は日々の買い物も投票だと思っているから、手の届く範囲で「政治的に正しい」選択をしようと心がけてる。でも前に「普段身につけるものにそんなテンション下がることいちいち考えたくないでしょ」と言われたことがあって、それもそうだな、とも思う。

考え方は人それぞれだし、多くの人にとってお金は有限。政治的にどうかよりも、ただ安くて可愛くて、それでいいじゃんって思っている人はたくさんいる。生活のバランスが人ぞれぞれ違う中で、そういう考えを間違っていると非難したり、相手の考えを変えたりすることは傲慢に思う。悲しいけど、日本は、日本人は、どんどん貧しくなっていってるし。みんな余裕がない。だから仕方ない。

でも、そうこうしてるうちに価格崩壊としか思えない「SHEIN」が世界中の若い子の間で利用されるようになった。今日は、もう立派に働いている大人がツイッターで「ファッションは見た目の可愛さだけしか気にしてないからSHEINも使う。政治性については考えないようにしてる」と言っているのを見た。

薄ら寒い思いがした。若い子たちは持てるお金が本当に限られているし、これから知っていけばいい。でもあなたは違うんじゃないの、と言いたくなった。さっきと言ってること矛盾してるんじゃないのって感じだけど。でも頭の片隅、吹けば飛ぶような端っこでいいから、そういうものを買い続けるのがどういうことなのか、考えることだけはやめてほしくないと思ってしまった。だって人間は考える葦だから。思考することをやめたら、何が人間を人間たらしめるのか。

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