見出し画像

ひとりぼっちの楽しみ⑥ パソコンに向かう

 ノートパソコン閉づれば闇や去年今年  榮猿丸
 
朝4時に目覚ましが鳴る。ぐずぐず起きて、顔を洗う前にパソコンにスイッチを入れる。立ち上がりが遅いパソコンなのだ。ものを書くのは夫が起きてくるまでの朝が集中できる。
 今回、パソコンのことを書こうと思っても、パソコンを詠んだ俳句が思いつかない。そういうときは、グーグルに「パソコン 俳句」と打ちこむ。
トップに出てきたのは「増殖する俳句歳時記」(詩人の故清水哲夫が主宰したサイト)。クリックすると詩人の松下育男が解説した句が並んでいた。そのひとつが、先の句である。
そういえば、松下氏の本を読んだら、「清水哲夫さんに増殖する俳句歳時記の解説を書かないか、と言われた」という記述があった。松下氏がどんな俳句を選んでいるのかと、ずらずら読んでいく。
じつは松下氏の詩の教室に参加している。コロナ感染予防のために横浜の教室ができなくなり、ZOOMでの教室に切り替えたそうだ。おかげで地方の私にも知らない詩人たちと松下氏の対談が見られるのでありがたい。
さてさて、次は「榮猿丸」とは見たことがある名前だが、どなたなのか、グーグルに打ち込む。澤俳句会の方だ。写真を見るとなかなか男前である。
もう一句欲しいなと検索にもどると、「鷹俳句会」の今年の5月号に次の句があった。
 
 働く気なきパソコンや冬菫  山田 紗由美
 
 小川軽舟主宰の選である。
 わたしは大きなデスクトップとノートパソコンを持っている。デスクトップは日本製でお値段も高かった。それなのにやる気ないパソコンなのだ。のろい。ネットにつながらなくなる。それに比べノートパソコンは外国製で安かった品物。でも、こちらはサクサクやる気ある子だ。デスクトップにイライラしたわたしは、サポートセンターに電話して相談した。電話の女性がリモートで直してくれたら、少しだけマシになった。
「鷹俳句会」の主宰選の他の俳句を読んでみる。なんかよい俳句が多い(当たり前だ!)。こんな俳句を作りたいなあと、バックナンバーも読んだりしているうちに、バイトへ行く時間になる。調べものをするうちにネット・サーフィンとなり、何も書かないで終わることが多い。
 バイトへ行くとまずすることは、パソコンにスイッチいれて、メールチェック。まったくパソコンの電磁波漬けの生活である。
 この8月から9月につい手を出してしまったZOOMの勉強会がある。仙台にある俳誌「むじな」が東北の俳句先人たちを取り上げた勉強会を開くとツイッターに流れてきた。「むじな」は、平成生まれ対象のグループだ。勉強会の主催者にメールしたら、「勉強会は年齢関係ないですよ」といわれて参加することにした。
 取り上げた作家は、久米正雄、安斎桜磈子、佐藤紅緑、大須賀乙字、石井露月。ごめんなさい、ひとりもわたしは知らなかった。だから、勉強のために参加しようと思ったのだ。
この勉強会は毎週土曜日の20時からある。主催者の浅川さんより、たくさんの資料がパソコンに送られてくる。それに目を通し、一作家ずつ好きな句を10句選んで送らないといけない。ふー。
 各俳人の解説と司会は、東北の若手俳人(なにがしかの賞を取っている)たちが担当する。わたしはもっぱら聞くだけだったが、若い人たちの知識がすごい。若いうちから勉強しておけばよかった。
わたし以外の年配の参加者は、渡辺誠一郎氏だけだった。渡辺氏の質問で話がキリっと引き締まり、新しい視点をくれる。さすがすぎる。
 こんなことを書くと、わたしが勉強家のようだが、夕方以降は、ネットで見る映画とドラマ漬け。さすがに最近は反省して減らしているがー。
寝る時間だ。さいごにパソコンの電源を切る。部屋の中は闇となりベッドに入る。せめて睡眠中はネットから逃れよう。
 
 
       
 
 
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?