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三つ子の魂100まで?3歳までに非認知能力を育てる方法とは!ベストセラー育児書を5分でざっくり解説。

育児エッセイ「三つ子の魂100まで?3歳までに非認知能力を育てる方法とは!ベストセラー育児書を5分でざっくり解説。」
BY マタギちゃん

「三つ子の魂は100までにどうすればいいのか?」

こんにちは、親歴やっと3年半のマタギちゃんです。
みなさんは三つ子の魂100までということわざをご存じですか?私も何となく自分で解釈した意味で使っていて、勝手にそのフレーズに呪いのようなものをかけられ、
「人間の人格はおおよそ3歳までに形成されるので、そこまでが親としての勝負だ、そこを超えたらあとは親が介入する余地はない」と思い込んでいました。
よって、必至に親としての権力を振りかざし、「これをしてはいけない、あれをしてはいけない」と口うるさく我が子を攻め立て、気を張っていたように思えます。
そして、3歳の誕生日を迎えたとたん、「もう親としての責務は9割がた果たした。もう私にできることはない」と勝手に肩の荷が下りた気分になっていたのでした。
しかし、正確にはこのことわざの意味は、「三つ子」は正確に3歳までという縛りではなく、大まかに幼少期のころを指しており、幼いころの個性や性質を「三つ子の魂」と呼ぶらしいです。
「人間生まれ持った気質や性格は、何をしても大して変わらない」という意味でして、それが正しいと仮定すると、そもそも親が我が子を真っ当な人間に育てようともがいて教育しても、子供はその生まれ持った個性から大きく変容することはないと受け取れ、私のやっていたことは全くの無駄だったとも受け取れるのです。
でも、0~3歳までは心も脳も激しく発達する重要な時期だということは誰もが理解しています。
その重要な時期に、私たち大人はいったいどうあるべきなのでしょうか?今まさに赤ちゃんを授かり、夢いっぱい膨らませ子育てに挑もうとされているパパ・ママの皆さんは、いったい何を指標にしていこうと考えているでしょうか?

「まだ親ではないメンタリストDAIGOさんの動画で知る育児法」

皆さんは、メンタリストDAIGOさんをご存じですか?一時期テレビで、マジシャンのように芸能人たちの心理を読み解き、世間をざわつかせたイケメンで、早口で歯に衣着せぬ痛快な語りが特徴の実業家さんです。
今はニコニコ動画やyoutubeで自身のチャンネルを持ち、莫大な登録者数を誇る人気の動画配信者の一人ですね。
私もよくダイゴさんの動画を流しながら仕事をしています。
彼の動画はおもに、誰にでも身に覚えがあるような身近な悩みや問題点に、膨大な蔵書の中のさまざまな著書から、肝心な解決策を提示してわかりやすく説明してくれるというのが特徴です。
・恋愛がなぜか長続きしない人へ、長期恋愛体質になる方法
という恋愛の悩みから
・あなたの下っ腹の脂肪が取れない理由
・子供の集中力を4倍にする育て方
などダイエットや子育てジャンルまで幅広くためになる動画を配信してくれています。
それらの課題に、「○○大学の〇年の研究発表論文によると…」とエビデンスを明らかにして、非常に説得力ある解決法を手短に教えてくれるので、私たち視聴者は、時間とお金をはたいて難しい専門書を読破することなく、おいしい部分だけをサラッと学習させてもらえて、お得な気分に浸れるというわけです。
そんなダイゴさんの手腕と、時々画面上に現れる愛猫とのやり取りにいつも癒されたり感心したりしているわけなのですが…
私もそんなダイゴさんに習い、話題のベストセラー育児書を、簡単にまとめて皆さんにご提示してみようかと思います。


「育児書部門NO.1 ポール・タフ著『私たちは子供たちに何ができるのか』を紐解く」

その尊敬するダイゴさんの動画で、とても興味を持った1冊があったので、さっそくアマゾンでポチって読んでみたのがこの本です。
ダイゴさんの動画の影響か?私が検索したときにはこの本が育児書部門の売上NO.でした。そしてさっき調べたらいまだに1位でした。著書のポール・タフという人は、NYタイムズの編集者・記者などを経てフリーのジャーナリストになった方で、子供の貧困と教育政策を専門に数多くの執筆や講演活動を行っている知識人だそうです。さすがもと記者さんなので、専門的な内容を含めとても分かりやすく説明してくれています。
ダイゴさん自身も、まだ独身ですが、いずれ子供を持ったらこの著者の本を参考にすると決めているそうです。
私もさっそく、どんどん読み進めていきました。

概要は、「幼少期から子供たちの非認知能力を身に着け、何事にも
粘り強く取り組み、失敗を恐れず豊かな人生を歩んでいってほしい。
そのために我々大人(親や教育者)は何をすればいいか」
というようなことが、膨大な研究結果と考察から提案されています。
とってもいい本ですが、1760円しますし、忙しい人は読む時間も作れないと思うので、今日はざっくり要点だけまとめてご紹介できればと思います。


「育児書を買ってみて、それまでの不安が解消」

私がまだ親になる前に、一足先にママになった友人宅に遊びに行った時のこと、彼女の子供はまだ赤ちゃんなのにも関わらず、部屋やトイレなど、いたるところに育児書が散らばっており、私は自分との意識の差に愕然としました。
お互い初めて親になる女性ですが、友人は早くから「子供を育てるうえで勉強しないと」という心構えだったようです。もちろん旦那さんが買った本も混じっていました。
私が買ったのは、本当に初歩の・赤ちゃんの病気一覧・抱っこのしかた・薬ののませかた、などが写真付きで載っている子育て辞典1冊だけだったので、正直焦りました。
私は「こんな風に子供を育てたい」とか「こんな子供に育ってほしい」という理想はほぼなくて、ひたすら「私の赤ちゃんがほしい」という1点のみを切望していたので、産んだ後のことまで頭が回っていなかったのです!
産んでしまえば、「周りの先輩たちに聞いたり頼ったり、保育園で適当に教育してくれるからまあ、大丈夫だろう」という全く主体性のない他力本願な気持ちでいたのです。

育児エッセイ用イラスト

これではいかん、子供が産まれてから少しずつ、「子供を天才に育てるには」とか「頭のいい子に育てる100の方法」みたいなインパクトのある本を選んで読んでみたりもしたのですが、はっきり言ってその手の本は、親もIQが高くて高度な教育を受けてきたインテリみたいな人が書いている場合が多い。
おそらくお受験や東大レベルを目指している人向けなのではと思ってしまいました。
私は99万円の英会話教材を購入しても、使いこなしたり付き合って一緒に勉強してあげる自信もないし、私立の学校に通わせる財力もないので、早々に自分向けじゃないと見切りました。
さらに、私は自分の子供を大学卒業させる自信もないし、天才にしてエリートの道を歩ませたいわけでもありません。(そもそも親の頭のレベルを鑑みれば無理)
私の両親は、地方のまじめだけが取り柄の公務員と高卒の会社員カップルでしたが、夢だけは大きく、まだ幼い私にむかって「医者か弁護士になってくれ」とことあるごとにつぶやいていました。
事情の分からない私も「うん、しょうらいは、いしゃかべんごしになるね」と返答していましたが、大人になった時親の愚かさを知り恥ずかしくなりました。「カエルの子はカエル」という言葉を当時の両親に教えてあげたいです。
そんな思い出もあり、私は子供には、「普通でいい。人を馬鹿にしたり、人の気を引こうと大騒ぎしないメンタルの安定した人生を歩んでほしい。ぜいたくを言えば、悪人からだまされたり搾取されないレベルに賢くはあってほしい」程度の思いです。
メンヘラで周りの大切な人を困らせたり、周りから遠ざけられたりしなければ、自由に平和に生きてほしい、それだけ。

こんなふうに偉そうに書いてみてはいますが、内心ではやはり、頭がいいに越したことはないし、高学歴の方が人生のチャンスは多いに決まっています。
私は育児書を読めば読むほど「こんなことを知っても実践できない自分」に対して罪悪感や無力感、情けなさを募らせていきました。
しかし、このポール・タフさんの1冊を読んでみたところ、これらのもやもや感から解放されて「私がやってきたことは間違ってない。これでよかったのだ」と、お墨付きをもらった気分で安心したのを思い出しました。

「ぜひ早めに知っておいてほしい理由。非認知能力はだいたい3歳までに形成されやすい」

「非認知能力」とは何でしょうか?聞きなれない言葉ですが、最先端の育児書にはよく出てきます。
「非」なので、「認知」できない能力のことの様です。
「認知」できる能力というのは、知識、記憶、判断力などの知的な能力のとこで、算数や読み書きなど、テストをすれば数値となって現れ、その子供の能力を目に見えてはかれるもののことです。IQ測定などもこれに含まれます。
「非認知能力」の方は、数値ではかれず一見して周りがみてもわかりにくい能力のことを指します。
・忍耐力(粘り強く何かをやりぬく力)
・社会性(周りとうまくやる能力)
・感情のコントロール
などのことです。
ポール・タフ氏の本著では
・やりぬく力(グリッド)
・好奇心
・自制心
・楽観的なもののみかた
・誠実さ
・ストレスに対処する力(弾力性・レジリエンス)
・粘り強さ
であると定義しています。これらは、子供各々の「性格の強み」であり「気質」になります。
これらは、生まれ持った性質も大きいとは思いますが、ポール・タフ氏はこれらは0~3歳までの間の「子供をとりまく環境の産物」であると考えています。
要するに、乳幼児期の子供と携わる大人や環境が、これらを子供に作り出せるということです。
「親も飽きっぽい性格だから、子供も飽きっぽいんだ」は通用しないいいわけになりますね。環境次第では粘り強くやり抜く子供に成長させることが可能なのです。

「認知能力を鍛えるにはまず非・認知能力から」

英才教育と謳い2歳からピアノ、英語、数学、文字などを習わせても、最初のうちはみんなからすごい、すごいと言われるかもしれませんが、そのうち小学校に上がったあたりから周りに追い抜かれることがしばしばあるそうです。
じつは、運動分野も同じで、4歳ごろなどから野球やサッカーなど使う部位に偏りの生じるスポーツを早くから始めさせてしまうと、10代で筋肉の付き方に不均衡が生じてしまい、一流選手にはなれない場合もあるそうです。人間の筋肉は9歳ごろまで均衡的に鍛えなければゆがむらしく、それまでは水泳・体操などまんべんなく鍛えられる運動をして、そこからバレエや野球などを始めるほうが、長期的にみて十分に才能を発揮できるらしいです。

それと同じで、脳にも発達過程があり、脳の発達に見合った能力を鍛えなければ無駄どころかとても大きなストレスや負荷をかけることになり、結果脳を委縮させてしまいかねません。
そこで、まず学習能力をアップさせたいのであれば、「学習を受け入れられる土壌」を作っていかなければならない、ということの様です。

「非・認知能力はどのようにして育てるのか?」

想像してみてください。自分の子が、何かに好奇心を持ち、チャレンジしていき、失敗しても楽観的にとらえて粘り強く取り組み、さらに失敗してブチ切れたくなるところをぐっと我慢し(自制)、なにかに邪魔されてもはじき返し(レジリエンス)、そのチャレンジを不屈の精神でやり遂げる子供に育ったら……
そんな子供、絶対その後の人生成功が約束されるんじゃないの?
成功しなくてもそれなりに社会の中にもまれても、誰かの助けを借りたり自力で解決したりして実りある人生を送れるに決まってませんか?それが非認知能力をまんべんなくパーフェクトに積み上げた人間です。
そうなってくれたら親としては安心して先立ってゆけますよね。
では、その非認知能力を育てるために、子が0~3歳の間にいったい親は何ができ、何をすればいいんでしょう?というのがこの1冊の命題です。

まず、その前に乳幼児に大切なことをあげます。
・栄養価の高い食事=健康
・質の高い医療
・知的刺激(本やおもちゃ、図書館・ミュージアム・コンサートなど文化的体験、たくさんの言葉かけ)
・親のケア(とりみださない)

そして、この真逆。乳幼児期の成長を阻害するもの
・ストレス
・トラウマ
・ネグレクト(テレビをただ見せ続けるのもこれに含まれる)

これらを見ると当たり前のことばかりですよね、要するにすトレスやトラウマを与えず健康管理をしっかりして、知的刺激をたくさん与えてあげる。これ、ほとんどの親は普通にやってるように思えます。ただ、取り乱さない親のケアって部分、子供に怒鳴り散らしたりしている私はアイタタタと思ってしまいました。

そして何よりも大事なのは「アタッチメント(愛着)」だとポール・タフさんは述べています。


「アタッチメント(愛着)が子供にとっての心の『安全基地』を作る」

アタッチメント(愛着)と言われても、何のことやら?ですよね。
でもとっても簡単なこと、「抱きしめる」みたいなことをざっくり言っています。
子供が泣いていれば飛んで行って「どうしたの?大丈夫?」と声をかける、抱きしめて慰める、失敗しても頭ごなしに怒らず「大丈夫だよ」と励まし寄り添う。だいたいの母親が素でやってることの様です。本能的に備わっている愛情を表現すれば大丈夫です。
そんな、「自分はいつだって親から暖かく守られ応援されている」と安心感を感じることで、子供の自己肯定感やチャレンジ精神が育っていくのだそうです。
最初の3年間を、大人との暖かいやり取りの中で過ごすこと、それが子供にとっての「心の安全基地」となり、非認知能力を育てていきます。

ただ、毎度毎度「大変だったねえ」「とてもよくできました」と抱きしめていればいいわけではなく、親として(または保護者として)持っているべき姿勢というのが
・きっちり日課に向き合わせる
・望ましくない行動をとった時どう対応するか
・子供が感情を管理するのをどう手伝うか
がテーマになってきます。
例えば子供同士の対立が起きた時、私たちのやるべきことは
・気をそらす
・優しく抱きしめて気持ちを落ち着かせる
だったりします。

親としては、我が子の失敗や至らない点が目に付き、「どうしてそんなこともできないんだ!」「なんですぐにやらないんだ」とがみがみ叱ってしまうことがよくありますが、逆に子供の良い点に注目することが大事です。

「集中できてすごいね!」
「最後までやり遂げたね、できるって信じてたよ」
というメッセージを常に発信してあげると、家庭の空気がよくなります。

「大人がとるべき子供への姿勢。メッセージ」

ここまでどうでしょうか?特に特別なことはなく、いままで日常的に子供と関わってきた感じと同じではないですか?
・抱きしめる
・はげます
・関心をよせる
など。私はいつも3年間、自分の子育てにどこか自信がなかったのですが、この本を読んで、「いつもやってきたことと同じやん、大丈夫だったんだ~」とほっとして救われました。
中には望んでなくて子供を持った人で、我が子に関心がない人もいるかもしれない、だけどそんな人はこのサイトでこの記事を読んだりしてないと思うので、だいたいの大人や教育者は、特別自分の信念を大幅に変えなくてもいいように思えます。

ポール・タフさんが強く発しているのは以下のことです。
「君は安全だ」
「先行きは明るい」
「ガードを下ろせ、周りの人が守って養ってくれる」
「好奇心をもて、世界は素晴らしい驚きにあふれているぞ」
という前向きなメッセージをつねに子供に発信してゆけ
そして
「困難にそなえろ」
「警戒をおこたるな」
も同時に発していくことが大事だそうです。
最初のメッセージ「君は安全だ」「先行きは明るい」というのと相反するような気もしますが、確かに「困難には備えておいて損はなし」だし「警戒をおこたるな」は、本当に交通事故や不意のケガなどを防ぐために絶対必要ですね!

余談ではありますが、自分も運よく人生折り返し地点を過ぎても平和で安全で創造的な暮らしを持続できてはいます。
でもそれはけして当たり前のことではなく、「本当に運がよくてラッキーだっただけだ」と思うようにしています。
周りを見渡せば、事故や病、人為的な悪意にさらされてピンチな目に遭っている知り合いがいるし、若くして人生を終えてしまった友人たちも数人います。
子供を自分が完全に持続的に守っていくことができない現実をふまえ、子供自身がこの危険や誘惑いっぱいの世間で生きていくうえで本当にこの2つは特に言い聞かせて生きていきたいなと思いました!


「図説・学習のための積み木」

ここからはすこし専門分野的なことが書かれています。これは、0~3歳までに養った非認知能力を土台に、どのように学習を進めていけばいいかが解説されます。もう親だけでなく、就学先の教師や教育者の領域になりますので、参考までにざっくりまとめていきます。

育児エッセイ添付図


↑の図を見ると、子供が段階を踏んで発達していくのがわかると思います。
そもそもの土台に、今までお話した「非認知能力」がズドンと腰を据えていますね。
それが強固となってはじめて自己認識や社会性スキル、実行機能などが育ち、さらにその上にチーム意識、学校への適応が成り立つ仕組みです。
なのでいかに非認知能力の支えが大事かわかります。


「学習、通学へのモチベーションを育てるには」

子に「勉強しなさい」「宿題しなさい」といっても、肝心な本人にやる気(モチベーション・動機付け)がないと、いつまでも親の徒労に終わってしまいます。
そこで大人は、どうすれば子供のモチベーションをアップできるでしょうか?
コロナ禍の自宅自粛生活で、多くの小学生の親が悩まされた問題でもあると思います。おとなしく学校にさえ通っていてくれたなら、「先生が怖い」「ライバルたちが頑張ってる」「テストがあるから」「授業がおもしろい」などでカリキュラム通りに学習が進んでいたはずなのに、家庭では親をなめくさり、反発し、さまざまな言い訳を駆使してさっぱり勉強しようとしない。そんな親たちの悲鳴、怒号がさまざまな方面から聞こえていました。
自分が子供だったときは、単純に「ほかの子が知らないことを知っている自分かっこいい」「ほかの子は私より馬鹿だ。私は天才と酔いしれたい」というナルシズムを発展させた変なモチベーションで、広辞苑を片っ端から読み漁ったり、難関校対策の問題集に挑みかかったりしていました。
それも地域でトップの進学校に進学し、全く歯が立たない同級生たちに囲まれたとたん、やる気を失い自暴自棄になって遊びまくった青春時代でした。ろくな子供ではなかったので、もうすこしマシなモチベーションがあればと今は思います。

さて、ポール・タフ氏の本では、モチベーション(動機付け)には2種類あると書いています。
・内発的動機づけ
……人が産まれながらに持った好奇心や創造性

・外発的動機づけ
……周りが与えてくれる好奇心や創造性

この二つは行ったり来たりしていて、教師や大人がうまく「外発的動機づけ」してあげることで、子供の「内発的動機づけ」が持続しやすくなるということです。

では教師や大人は、どのようにすればいいのでしょう?
それは以下の3つの要素を与えてあげることが有効らしいです。
・有能感……すこし難しいことをできたときの喜びと達成感
・自律性……自分が自らすすんでやっているんだという実感
・関係性……誰かがみていてくれて、尊敬してくれると感じること

これは私が考えた例えですが、子供が高度な折り紙に挑戦してできた時に
「すごいじゃん、こんな難しいワニを作ることを選んだなんて!(自律性)しかも完成させたんだね、こんな5歳なかなかいないと思うよ(有能感)先生はさいしょ○○が最後までやれるかどうか不安だったけど、やれたんだね~、これなら恐竜も作れるかもしれないよ、チャレンジしたときはまた教えてね?(関係性)」
というような姿勢を伝えればいいのではないかしら?

「小学校からの学校教育のあるべき姿」

とあるアメリカの学校で、読者感想文を子供たちに提出させ、1組は先生が評価のみを、2組は評価のほかにも以下のような一言メッセージを添えました。
「まずまずいい出来でした。でもここにさらに工夫を加えるともっと良くなるように思えます。先生は、○○さんがもっといい文章を書けると信じています。もしやる気があれば、また別の文章を作って見せてくださいね。」

すると、1組の生徒よりも、2組の生徒の方がより多くの感想文wを再提出してきたそうです。
一見当たり前のような実験結果ですが、それをやれる先生、やれない先生に観てもらえた生徒たちの今後のやる気の差は大きいと思います。
教師からの「あなたが成功すると信じているよ」という思いやりと敬意をこめて向けた関心は、無言あるいは無意識なメッセージであったとしても、子供たちには伝わります。
正しいメッセージを受け取った子供は
・毎日教室を楽しみ
・難しい作業にも粘り強く取り組み
・様々な挫折や不満から素早く立ち直る
と著者は語っています。

0~3歳までの、周りから受けた敏感な反応や関心は、知的な物事を習得するための素地となり、小学校時代に教師から受け取る正しいメッセージは、手ごわい学業へ立ち向かうための素地を作るのです。


「子供たちへの正しいメッセージとは」

著者は教育者が子供たちに発すべき正しいメッセージを以下のように提示します。
・失敗は一時的なつまづきに過ぎず、学んだり改善したりするための貴重なチャンスである

それでは、もとの発達段階の図をもう一度見てください。

「学業のための粘り強さ」の背後には、マインドセット(心のありよう)、子供それぞれの姿勢や自己認識がある、とも語ります。

マインドセットを構成する信念として以下の4つがあげられています。
①私はこの学校に所属している
②私の能力は努力によって伸びる
③私はこれを成功させることができる
④この勉強は私にとって価値がある
この4つの信念を持つことにより、「学業への粘り強さ」=忍耐力が育ちます。

●「やがておとなになる子供たちへ」

いよいよ総括です。
我々大人は日々各々の仕事をこなさなければなりません。
仕事をするうえで必要になってくるスキルとは何でしょう?
・チームで仕事をするスキル(能力)
・人前でアイデアを提示するスキル
・効果的な文章を作るスキル
・深く分析するスキル
・別の情報やテクニックを他のところで応用するスキル
とさまざまありますが……

それらを養うために、学校教育では何が必要でしょうか?
・人(相手)と議論して理解を深める
・自ら計画、目標を練り、長期的に実行する
・テストの点ではなく、長期(1年)に渡って得た実績、プレゼン、文章、芸術作品を評価する

これらを実行していくことで、子供たちの間に「他者(同級生)からの批判や改良点を受け入れる気風がうまれるのです。

フィードバックを受ける→ 不満への対処→ やり抜く→ 知識や知力が伸びる→ グリッド(やり抜く力)やレジリエンス(弾力性)も伸びる

ということだそうです。
でも、思い返せば、自分の小学校時代も、これらの内容に似た授業(議論の時間や、生徒たちだけで何かを作り上げる、生徒たちの独自の発想への評価やねぎらいなど)を受けていたような気がします。
特別この本で述べられていることが最先端の教育論なわけではなく、先人の教育者たちがすでに長く取り組んできた伝統的な授業内容なのではないでしょうか?(私の通った小学校が最先端だった?かは明らかではないですが)

「まとめ。簡単にざっくりまとめると……」

・0~3歳までは「学習」ではなく「愛着(アタッチメント)」が大切
・親や保護者からのあたたかな見守りにより「非認知能力」が形成される
・「非認知能力」の土台の上にはじめて「認知能力」を育てることができる
・小学校入学からは、教師のかかわり方が重要
・成長過程に合わせた教育が大切
・教師からの正しいメッセージ「君はやれると信じている」「敬意と関心をもって君に接します」を常に伝える姿勢が必要
・家庭環境と小学校、教育者がタッグを組んで「主体的にとりくみ、あきらめず粘り強く人生にチャレンジしてゆく子供」を育てていくことができる

という本だったと私は受け取っています。
本書のほとんどは、諸外国の現場での実験や大学の研究資料が説明されていて、一見難解な本に思えるかもしれませんが、貧困層の子供たちにも質の高い人生をあきらめない取り組みをしている現場の様子なども垣間見れて、非常に前向きで優しいメッセージを感じました。
もしご興味を持たれた方は、人気の1冊ですのでぜひ読んでみてください。

では、また別の記事でもお会い出来れば幸いです!

終わり


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