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MEDEL Books

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2020年4月の記事一覧

第6話 涙

第6話 涙

マーブル博士はムカデ人間の所へ向かった。
倒れたままのムカデ人間の前に着くとムカデ人間は気配に気付いたのかピクッと身体が動いた。
「ウ、ウ~。」と言うかすかな唸り声が博士の耳に聞こえた。

「すまんかったな。わしらの研究の為とは言え、こんな姿に変えてしまって。本当にすまんかった!」
マーブル博士は目に涙を浮かべた。するとその涙が頬を伝ってムカデ人間の顔に涙のしずくが落ちた。
すると不思議な事に

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第5話 メデタマネー

第5話 メデタマネー

「メデルマネー?!なんかカッコいい名前!」

「本当じゃなぁ!イカしたネーミングじゃよ!」

「あ、ありがとうございます。この通貨のアイデアはメデルさんの手紙がキッカケでした。メデルさんの真似をして考えたお金ということで、『メデル真似』からの『メデルマネー』!なんてどうですか?」

「ぶあっはっはっはっ!!!」
マーブル博士はひとり笑いのツボに入った。

「何よその理由、カッコいい

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第4話 マンドレイク

第4話 マンドレイク

「博士、この部屋はたしか所員すらも立ち入り禁止の部屋のはずですが?」

「そうじゃ。じゃが、もう時は来たようじゃ。芽が出たんじゃよ。」

「芽?ですか?」

マーブル博士は立ち入り禁止の部屋の鍵を開けた。

中に入ると部屋一面に植物の植えられたプランターが置かれている。

「わしは昆虫と植物の研究を長い間してきた。かつてわしの右腕だった植物専門の博士がおったんじゃが、若くして病

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第3話 ムカデ

第3話 ムカデ

「何事じゃ?!他の研究室からのアラーム警報!検体に何か異変が起きたのかもしれん!急いで行くぞ!」

マーブル博士の後に付いてアラームの鳴る研究室へと向かった。

赤いアラームランプが辺りを異様な雰囲気に染めている。

問題の研究室を覗くと、中で何かが暴れている。よく見るとムカデの様にたくさん手の生えた人間がいる。

「あれはムカデを検体にしたムカデ人間じゃ。人化はしたものの気性が荒

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第2話 メッセージ

第2話 メッセージ

メデタは真剣な表情でアイの目を見つめて話し始めた。

「僕ら、デター。いや、人間の呼び方でゴキブリは、遥か昔から子孫繁栄を繰り返し逞しく生き延びてきた。
僕は先祖を誇りに思っている。だけど、人間達は僕らを害虫呼ばわりして忌み嫌ってきた。今でもそうだ。僕らは過去の経験を活かして種が絶えない様に強く進化してきた。ただ一つだけ変わらないものがあった。それはあるメッセージ。」

「メッセージ?」

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第1話 デター

第1話 デター


とある町外れの山道を奥へ奥へと進むと森林の中に突然、だだっ広い開けた場所が現れる。

しかしその場所は辺り一面、手入れがされていないために掻き分けながら進まないといけないほどに雑草がボーボーに生い茂っている。

だがよく見ると丁度真ん中辺りに車の轍によって出来たであろう一本道。

その道を真っ直ぐに進んで行くと少し古びた謎の建物が現れる。

見上げると植物の蔓が這うように伸びに伸

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