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伝わったのかな【短文】

ある作家さんが ご自身の父親の事を書かれた作品を朗読させて頂き、
その作品への感想と、自分の父親への想いを音声配信アプリで収録した事があった。

ある日 父親が、「あれお前だよな?」と私に尋ねてきた。
カーラジオから流れる私の朗読を聴いたというのだ。

カーラジオで聴いた?そんな事あるのか?
配信で使っている名前を知らないはずだし、声でわかったのか?
色々疑問に思ったが、
父親が言う配信者名、作者名、内容は私が収録したものに間違いなかった。

とても気まずく、バツが悪かった。
なぜならその収録で私は、普段なら絶対に口にする事の無い、
父親への想いを涙声で語っていたからだ。

照れている事を悟られたくない私は、
マンガ雑誌を読むふりをしながら、「そうだよ」と、素っ気なく応えた。

その後 何の会話もなかったが、
父親の機嫌がなんとなく良さそうなのが伝わってきた。

、、、という夢をみた。

10年以上も前に亡くなった父親の夢だった。
わたしは父親とあまり会話することのない人間だった。
ましてや、感謝を伝えることも、親孝行らしいことを したことも無かった。
父親も、そんな私とどう接して良いかわからない所もあったのだろう、
いつか笑って話しをする時が来る事を願っていただろうか、

亡くなってからも、父親の話しを誰かとする事は殆どない。
母親からは、
「アンタはお父さんの事を何も知らない、知ろうともしなかった」と言われた。
親に感謝を伝えず、無関心な人間を貫いてきた私は、
今更 父親の事を誰かに訊くこともできず、
このまま何も知らないで終わるのだろう。
後悔の気持ちが少しだけある。

ちょっと照れくさい夢だったが、
父親が聴くはずもない、朗読と想いを
伝える事が出来たような気がした。

夢の中で懐かしい人に会わせてくれた
作者さんと素敵な作品に感謝している。

これからも
素敵な作品にいっぱい出会って、
心を浄化させてもらおう。
朗読、続けていこう、、

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【後記】
1、2年くらい前に朗読した作品と、
某収録で語った事が混ざってみた夢、、

素直で懐かしい気持ちにさせてくれた、作者さんと作品に感謝です\(//∇//)\

↑って書くと実話っぽいでしょw

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