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越境の語りワークショップ

開催日時:23年9月23日(土)午前プレエクスカーション、午後報告〜24日(日)午前報告、午後エクスカーション(スケジュール案参照)
場所:日光国立公園・光徳温泉日光アストリアホテル(東武日光駅からバス)
★高原の乾燥した空気が心地よく、温泉のほかも全館天然水利用です。
報告時間:45分以内発表で議論とも1時間
準備すべきもの:まずは発表タイトルとご所属を9月15日(金)まで、発表レジュメ(PPT不可、形式・分量自由)を9/20(水)までにご準備のうえ、舛谷宛お送り下さい。
※準備の都合により、報告または対面参加宿泊の方はお早めにお知らせ下さい。1泊夜朝2食付き自費(相部屋1万+入湯税)ですが、部屋数には限りがあります。宿泊以外ではエクスカーション中チケット、昼食、東武バス利用などが自費となります。

  20世紀末におけるContact zoneや越境への関心の高まりは、対象を物理的な「場」、すなわち境界で区切られた共同体や、中心、周辺、地域などの区分に即して対象を認識する古典的な記述と解釈のストラテジー(Localizing Strategies)の再考を迫り、TransnationalismやTransmigration, Translationなど"trans"を冠した用語やDiaspora, Contact zoneなどの用語を用いて、移動する対象(ヒト、モノ、カネ、カタリ)を記述し、解釈しようとしてきた。一見すると、この転回はその後の学術研究において適度な成功を収めたように見えるが、TransnationalismやTranscultural、Translation、さらにDiasporaやContact zone、in-betweenessといった語が、そうした宙づりの状態にフォーカスし続ける苦悩に耐え切れず、却ってその両側にある種の社会的実体を喚起したことで、これらの用語はその効力を失うこととなった。分析概念としてのDiaspora概念は本来「ここにいることと別の場所の記憶を媒介すること」に関する記述と解釈を要求してきた。しかし、状況に応じて国民ら住民と交流、関係人口を含む移民に擬態する人たちの切実なアイデンティティの希求を記述し解釈するうえで、Diasporaをはじめとする脱領域的な概念群は、なお精微化する必要がある。
  本ワークショップでは、観光から移民まで広義の越境を記述し、解釈する戦略について各報告者が事例を持ち寄りながら検討する。その際、記述と解釈の差し当たりの対象となるのは、移動する「ヒト」(もしくは「ひと」)「モノ」「カタリ」である。対象を「ヒト」「ひと」とし、「人」としないのは、また「モノ」「カタリ」として「物」や「語り」としないのは、記述と解釈以前の段階で、何らの属性や解釈も想定しないためである。また「モノ」や「カタリ」を対象とする場合には、何らかの「カタリ」を語ったヒトや、何らかの「モノ」を使用したヒトを常に意識しながら議論を進めることとする。「モノ」や「カタリ」が、多くの「ヒト」の間を行き交うことはあるにしても、「ヒト」から離れて存在することはないからである。
 今回提示する「類像のポリグロット」とは、脱領域的な概念群が精微化される方向性を漠然と表現したものである。これまでContact Zoneや越境という現象については、クリフォードのDiasporaをはじめ、バーバの「はざま」をめぐる議論やドゥルーズ=ガタリのマイノリティ、ラカンの鏡像段階といった概念によって、脱領域的な研究対象の同定が試みられてきた。そうした議論の方向性に、パースの記号論を関連させ、脱領域的な対象を確定しようとするならば、人類学の古典的な対象であった指標記号と結びついた、近接的なコミュニティと、近年の研究対象である構築され、象徴記号と結びつく構築された文化の間の、類像記号によって特徴づけられる「間隙」が、trans+の概念群が本来、示唆してきた越境の「領域」ということになる。この脱領域的な「領域」は、多声的で、間テクスト的な解釈が交錯するポリグロット的な領域でもある。本ワークショップでは、このポリグロット的な性格が個々の越境の場面で、何に託され、どのように現れるかを意識しつつ「越境とは何を越えることなのか」を改めて問うことを試みたい。

スケジュール:
9/23土
⚫︎東武日光駅10:00集合、プレエクスカーションとして妙智平から華厳滝、中禅寺湖眺望、ホテル昼食(2000円コース)予定
以後到着者は、各自東武バス湯元温泉行き乗車でアストリアホテルへ https://www.nikkoastraea.com/access/
14:00-17:00 セッション1
17-18:00 ホテル夕食
18:00-21:00 セッション2

9/24日
9:00-12:00 セッション3(ルームチェックアウト10時)
12:00-13:00 ホテル昼食(2000円コース)
13:00-17:00 奥日光エクスカーション(中禅寺湖、旧大使館別荘ほか予定)
⚫︎東武日光17:44発けごん46号までに駅帰着

交通情報:
東武日光着発特急 https://www.tobu.co.jp/railway/special_express/timetable/
東武バス日光駅-アストリアホテル https://www.tobu-bus.com/pc/area/pdf/nikko_timetablenatsu.pdf?20230701
東武特急は予約のみ乗車可(たいへん混雑しているので、早めに予約して下さい) https://www.tobu-ticket.jp/guest/

企画:大阪大学大学院人文学研究科 宮原曉研究室
連絡先:立教大学観光学部 舛谷鋭研究室

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