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ワインに宿るテロワール。〈日本(都農ワイン)/シラー〉

こんばんわ(^○^) 3000円ワインの民、ますたやです♪


さて、本日は日本の3000円ワインのご紹介です🍷

日本ワインについて考えるとき、ふと思い返すできごとがあります。
それは、2020年の秋、山梨・長野をぐるりとめぐる、3日間のワイン旅でのことでした。

旅は八ヶ岳のリゾナーレからスタート
ここでは、希少な日本ワインの試飲ができます。
秋深まる安曇野ワイナリー
上田のはすみふぁーむさんのカフェでは、新酒をいただきました。
ワールズ・ベスト・ヴィンヤード2020でアジアNo1、世界第30位に輝いた椀子ワイナリー
いい旅でした!

旅のはじまりから終わりまで、日本ワインを飲み続けた最高の旅だったのですが、実はこの旅がはじまってからしばらくの間、出て来るワイン、出て来るワインに、「共通点」のようなものを感じていたのです。

「さっきから飲んでるワイン、なんかどれも似てない…?」みたいな。

「さっき飲んだやつと、なんか、おんなじ香りがするんだけど…」みたいな。

ところが、これをなかなかうまくつかめないのです。共通している香りを、ハンドリングできない。
なんていうか「青っぽい」ような感じ。でもカベルネのそれとは違う、言うなれば「杉林」のようなどことなくボタニカルな香り。
これをどの日本ワインにも感じていて、うーん、樽の香りかなぁ?などと首をかしげていました。

当時はまだ、ワインの本格的な勉強をはじめる前でもありました。
だから、香りの典型例も、表現のテンプレートも知らなかった。もちろん、品種ごとの香りの違いも明確には知らなかったですし、日本ワインの特徴も感覚的にしかわからない、そういう時期でした。

だからこそ、今これ、なにが起こってるの?と、自分のなかで起こっているできごとを、つかみきれないでいたのだろうと思います。


なんとなくワインの共通点がつかみきれないまま、それでも確かにおなじ感じを抱きながら、次の目的地に向かうために八ヶ岳の森のなかを散歩していたときのことでした。

深紅に染まる森
伸びやかで美しい白樺林

からっと晴れた空気、ペンキをべた塗したような真っ青な空、まぶたを射す強い日差し。
日常の忙しさを忘れ、ゆっくりと過ぎゆく穏やかな午後。

そのとき、ふわ、と鼻先を風がかすめました。

あ!?!?」「??!!

隣にいた夫と、まったく同じタイミングで顔を見合わせます。

「今、ワインのにおいした」「わかる

なんと、ふたり同時に「さっきまで飲んでいたワインの香り」を、風のなかに感じたのです。

八ヶ岳で飲むワインは、八ヶ岳の森の香りがする。

いやいや、嘘やろ?とは思いました。気のせいやろ、と。さすがに思ったんですが、あきらかにワインの香りがしたんですよ。さっきからずっと飲んでたやつの。しかも、夫氏とまったく同時に。

もしかして…… もしかして、これが噂の、「テロワール」なの…!?

ドメーヌ・ミエイケノの飲み比べ。ミエイケノは、八ヶ岳の森の香りがする(ますたや家的に)

このあとの旅路でも我々は、何度もこの香りがするワインに出会うことになります。

今になって思えば、日本ワインの特徴である、葡萄の熟度の低さからくる青っぽさや、それからもちろん樽の香り、若さゆえのキビキビ感などが重なり合っていたのだろうと思うのです。思うのですが、

それでもこの旅に出てからというもの、わたしはやっぱりちょっと、前よりもずっと、信じるようになりました。

その土地には、その土地ならではの、テロワールがある。


土地の影響がどの程度かなんて、わたしにはまだまだ、計り知ることができません。
ソーヴィニヨンブランとリースリングを平気で間違えちゃうくらいのわたしが、テロワールを語るなんて、おこがましいかもしれません。

でも、もしかしたら、ないかもしれないけど、あるかもしれないじゃないですか。
山梨の森で育ったワインに杉林の香りを感じるかもしれないし、新潟の海沿いで育ったワインに、海から運ばれた塩の風味を感じるかもしれない。

それに、なんていうか、そんな風に土地に思いを馳せながら飲むワインって・・・なんかちょっと通っぽくって、楽しくないですか?🍷


都農ワイン 牧内シラー プライベートリザーブ[ ¥3300 ]

<ワインdata>
国:日本 種類:赤ワイン 品種:シラー ヴィンテージ:2018 生産者:都農ワイン インポーター:ー

<バランス>
酸味:★★★☆☆ タンニン:★★★☆☆ 香り:★★★☆☆


こちらの3000円ワインは、宮崎県の都農ワインさんが造る、シラーです。

都農ワインさんといえば、キャンベルアーリーで造った甘口のロゼワインが有名。
以前山梨の醸造家の方にうかがったところによると、キャンベルアーリーは「収穫の時期に畑に入ると、このあまーい香りがする」と言わしめるほどの、ふんわりとしたいちごみたいな甘やかな香りが特徴的。

きちんと酸もあってべったりしすぎずフレッシュに飲める、軽やかな葡萄品種です🍇

ワインを飲み慣れてない女子にもウケがいいと思いますよ、ホワイトデーに向けて覚えておいてください!🍫

ちなみにこちらは、最近いただいたキャンベルアーリーのスパークリング。
いちごちゃんのような可愛い味わいで、ワインを飲み慣れてない女子にもぴったり!

そんな都農ワインさんですが、今回はシラーをいただいてみました。

もともと、冷涼産地から比較的あたたかな地域まで作られている、シラー&シラーズシスターズ。
こちらのワインは宮崎産ということで、日本のあたたかな地域で造られるシラーって、どんなテロワールを感じるんだろう?というのが、今回のお楽しみテーマです🥰

さてまずは外観ですが、すこしオレンジがかった薄めのラズベリーレッド色をしています。
イメージのなかのシラーは、どちらかというと「濃い紫」をしていることが多いので、一見すると「おや?ひょっとしてきみは、ピノ・ノワールかな?」と、久しぶりに会った親戚のおじさんみたいな声をかけちゃいそうな色合いです。

グラスを落ちる雫もさらさらとしていて、どうやら軽やかな酒質のよう。
「しばらく見ないあいだに、綺麗になったねぇ!」

さて、香りを取ってみます。うんうん、ふんわりとした樽香、ほんのりとしたバニラみたいな香り。あとからラズベリーみたいなチャーミングな香りも漂ってきて、ちょっと嬉しくなってきます。
「はは、おじさん小さい頃のきみも覚えてるよ。こーんなに小っちゃくてね、よく泣いてたんだ」

実際、飲み口も優しくフルーティ。アタックは穏やかで、渋みも控えめです。全体のバランスが柔らかいので、結果的にやや酸が前に出てきているように感じますが、たぶん、そんなに強くないんじゃないかな?
「知的な娘さんに育って… 母さんはさぞ、喜んでるだろうな」

アーシーなニュアンスもありながら、基本はクリーンで素直な印象。無理せず、ありのままに作りました、っていう感じが伝わってきて、ああ、いいなあ…と、癒されます。いいなあ、この感じ。
たぶん親戚のおじさんも、一緒に癒されてくれるでしょう。あ、泣いてる。


そして、こういった柔らかな味の奥に、これもまた日本ワインによく感じる特徴である、「出汁感」がじゅわあとにじみます。

出汁感―― 実はわたし、日本ワインのこの感じに、ほんのつい最近まであまりピンと来ていなかったんです。

むしろどちらかというと避けているほうというか、たまたま出汁感を感じるワインに苦手さを覚えることが続いたことがあって、それ以来「出汁っぽい」と表現されているワインには、あえて手をつけて来なかったのです。

しかし、これまた「樽ドネ」とおなじ感覚で、その味の上位互換であるおいしいワインを飲むと、ハッとおいしさがわかるってことが、あるんですよね・・・

▶ 樽スランプを克服するまでの軌跡はこちら

ちなみにわたしが、なにでこの「出汁感」にハッと開眼したのかいいますと、まあ、その…

ドメーヌ・タカヒコって言うんですけどね・・・・・・(出汁感の最高峰

▶ 年末年始、贅沢しました…

そんなわけで、今年にはいってようやく「出汁感」香る日本ワインの世界に足を踏み入れたますたや。

いやあまだまだワインの世界は、広く、奥深く、冒険のしがいがありますなあ…!(おじさんが腕まくりする絵文字)


ということで、こちらの都農シラーは我が家のなかで「出汁感香る、薄旨系シラー」と呼ばれることになりました。親戚のおじさん(架空)も、おいしいって言ってた。

口当たりの軽やかさと、透明な素直さ、そしてじゅわっと香る出汁感。無理をしない静かさに、ほっこりと胸を打たれる癒し系ワイン。

うーん、いいなあ。宮崎弁ののんびりした響きが聴こえてくるようです。
宮崎のテロワール、ばっちり感じた気がしますよ!


これからも日本中のテロワールを探しに、旅に出たいと思っています🗾

日本中にお住いのみなさん、みなさんの街を四足歩行で闊歩するピンク色のアルパカを見かけたら、どうぞおいしいワインを、お知らせください♪ よろしくお願いいたします!


それでは、ここまでお読みいただいてありがとうございました♪ 今日の記事はここまで^0^また次の #3000円ワイン か、 #ワ活 でお会いしましょう!3000円ワインの民、ますたやでした♪

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■ ますたやとは:

関東在住の30代、3000円ワインの民(たみ)。ワインは週に約5本(休肝日2日)。夫婦で1本を分けあって飲みます。3000円ワイン以外のワインについては、Vinicaにて夫が更新中。2021年、夫婦でJ.S.A.認定ワインエキスパート取得。夫はワイン検定講師もつとめます。これからもおいしいワイン、いっぱい飲むぞ~!

twitter:@3000wine_tami
Instagram:@3000wine_no_tami

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