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実家行脚の福岡で、うっかりワイン三昧の旅

台風による延期を経て、無事に福岡に行ってきました。

そもそも今回の旅の目的は、夫の両親に会いにいくこと。つまり普通に、一般的な日本人としての、お彼岸のおつとめです。

金曜日の夜に福岡に着き、日曜日の早朝に出発する、やや弾丸旅程の2泊3日。
今回は両親に会うことが目的ですので、あまり下調べもせず、期待もせず、(ワイン的には)大した旅になることはないだろうと、完全に油断してました。

というわけで、今回はこんなつもりじゃなかった福岡旅、いや、福岡ワ旅。
嬉しい誤算と重たい荷物(※ワイン)を抱えた旅、よろしければお付き合いくださいませ。

1日め:食の桃源郷で、駆け付け1杯

さて、1日めの9月23日(祝)は、雨のフライトとなりました。中部地方に近づく台風が、勢力を拡大していたためです。

今回の旅のもうひとつの目的は、切れかかっていたJALのマイルを消費すること。このため、どうしても飛行機に乗らなければならないのですが、わたくしますたや、雨の日のフライトはちょっと苦手……

なぜなら、揺れるから。

遠くの夕焼けと、宵闇に染まる雲のコントラストは美しい(でも揺れる)
博多の街の光に照らされた、雲の連なりは幻想的(でも揺れる)

国内線は高度も低く、機体も小さくなりがちなので、国際線よりも揺れやすいんですよね(※諸説あります)。それが、台風の接近中とくればなおさら。

かつては窓が見えない席に座って、歌いながら目をつむっておくのが定石でした。
妹とふたりで行ったシンガポールからの帰り道、「今から2時間半揺れます」というアナウンスののち本当に2時間半揺れ続けたときはつらかった。
スイスからクロアチアに飛ぶ小型機が、衝撃的な雨の中を1時間ジェットコースターしたときもなかなかスリリングだった。もうこうなったら、歌うしかない。

最近では、窓から景色を見ていた方が、自分が安心することがわかりました。意外と揺れても、外の景色ってふつうなんですよね。こうして人は、ひとつずつ大人になっていきます。

そんなビビりなわたしのために、外からの映像が見られるんですって!JALさんさすがっす。

・・・などと言っていると、あっというまに福岡に到着しました。フライト時間、わずか1時間15分。近いな。
こんな多少の揺れなんか、わざわざフランスまで行って帰って来るような人間がこぼす文句じゃないですよ、まったく。航空関係者各位のみなさん、本日も安全運航、ありがとうございます。(反省)


福岡のいいところのひとつ。それは、飛行場が都会に近接しているところ。

というわけで、空港を出てわずか15分でホテルにチェックインして、さっそく夜の街へと繰り出しました。時刻は夜の8時。飛行機の遅延も考えて、どこにも予約は取っておりません。
颯爽とGoogleマップを開き、「ワイン」と検索して、出て来たお店に飛びこんでみます。

行き当たったのはこちら。窯焼きビストロ博多NUKUNUKUさん。

まずは駆け付けの1杯!…ですが、おやおや?メニューを見ると気になる「すりきりスパークリング」の文字が。

お姉さん、この、すりきりってやつ、お願いします!

お、おおぉぉ~~~ッ!(思わず声が出る)
確かに「すりきり」だ~~~!!!

あまりに美しく注ぐので、思わず「これ、零したりしないんですか?!」とお姉さん(年下)に絡むますたや。まだ飲んでもないのに。

お姉さん、「昔は結構こぼしちゃってました。でもうちのお客さんたち、こぼしても優しいんですよ♡」とにっこり教えてくださいました。か、解答が100億点満点………!

たぶん同じようなうざい客に絡まれてるんだろうなぁ…と、この店をおとずれた歴代のうざい客に一種の連帯感を感じつつ、料理を選んでいきます。お店のこの、そこはかとない居心地のよさ。これは期待が高まります。

かぼちゃとベーコンのシュークリーム仕立てという謎のメニューが、まずむちゃくちゃ美味い。
にんじんステーキという謎のメニューも、とろとろ触感がべらぼうに美味い。
ゲヴェルツとソーヴィニヨン・ブランがアッサンブラージュされた、オーストラリアのナチュラル系オレンジワイン(左)をグラスに1杯

料理は全部美味しいし、ワインもなかなかおもしろい品ぞろえで、かつ良心的なお値段。わたしも嬉しくなってきて、赤ワインをボトルでいただくことにしました。

品種はシラーズ&ヴィオニエという、ローヌブレンドのオーストラリア赤ワイン。果実味しっかり、じゅわっとくる酸味もあり、フルーティだけどエレガントというハッピーなバランス。いい。

こうなったらお肉でしょ!と、どこかの某俺のフレ〇チなんかで出て来そうな、フォアグラの乗ったお肉もいただきました。いや~~~絶景、絶景。

写真だけでワインが1本飲める

なにげなく入ったお店でしたが、これが大正解、というか、福岡ってだいたいいつもこのパターンで、なんか適当に入っても、そこが抜群に美味いんですよねぇ…

高級レストランに行ったら美味しいのはそれなりに当たり前だし、もちろん同じくらい美味しいお店は東京にだっていくらでもあるんですが、
なんていうか福岡って、「なにげない居酒屋」とかが、目が覚めるくらいにウマいですよね。適当なお店の味が、全然適当じゃない。

食の桃源郷、福岡の本気を見せつけられた、博多の夜。

なんでアタシこんなに上機嫌なんだろう~~~??と思ったら、この赤ワイン、アルコール度が14.5%でした。それや。


2日め:値付けのおかしいワイン店と、300円ラマンチャ

さて、初日からワインタイムを満喫したわれわれ。翌日は夫の両親に会いに、夕方から移動します。そうそう、それが今回の旅の主要な目的なのでね。忘れないようにしてくださいよ、みなさん。(わたし)

そういうわけで、夜までのあいだ、ちょっと時間があります。
何をしようかと再びGoogleマップを開き「ワイン」と検索。すると、どうやらホテルのちかくに、酒屋さんがあるではないですか。

ちょうど、このあと行きたいお店もオープン前。ということで、時間つぶしがてら見に行ってみることにしました。

それがこちら、シャルム・デュ・ヴァンさん。

店内に入ると、ずらりと洋酒が並んでいます。ウィスキーにラムにジン……ワインも一部ありますが、数は洋酒のほうが圧倒的。なるほど、洋酒に強いお店なのかしら。

気になるワインのラインナップは、新世界系のテーブルワインに、ギガルやポールジャブレといったローヌワイン、そしてコノスルレゼルヴァなんかも置いてあって、ふむふむ、ビギナーでも手に取りやすそう。

などと思っていると、お隣に「セラー」と書かれた部屋が見当たります。
お店の方に「入っていいですか?」と聞くと「どうぞ」と快く扉をあけてくださいましたので、さっそく外の棚にお荷物を置いて、中に入ってみました。

・・・・・・・・なに、ここ(絶句)

扉の中に広がっていたのは、まるで値付けを間違ったのではないかと見まがうようなお値段のワインがずらりと並ぶ風景でした。

端から、シャンパーニュ、ボルドー格付け、ブルゴーニュ白、ブルゴーニュ赤、そして新世界(もちろんハイランクも)。これらのワインがいずれも、見たことのないようなお値段で売られています。

え…店主、フランスワインが高騰してるって、知ってる?(心配)

「今って、2022年でしたよね?」と、肉屋のおばちゃんに尋ねるやいなや、「なァにを馬鹿なこと言ってんだい、2016年だよ!ったく、熱でもあるんじゃないのかい?」などと笑い飛ばされたときと同じくらいのタイムスリップ感。
この扉の外に出たら、時が戻ってるんじゃない?大丈夫?

えー!このワインがこの値段?!うそ…この生産者のこのランクなんかこの値段で見たことない!…などとといちいちびっくりしていたら、なんと1時間も過ぎてました。時間の概念どこいった。

ああ、怖い怖い…ワイン怖い……ふらりと立ち寄ったお店でこれだもの……
なにか恐ろしいものの片鱗を味わった気がしますが、ここは欲を出さず、4本におさめておきました(欲)


さて、思ったより時間が溶けましたが、足早に次のお店へと向かいます。
そのお店とは、以前からうかがってみたかったとどろき酒店薬院stand!さんです。

こちらのお店については、以前渋谷で行われた47winetourismにて、コラボイベントを開催されていたことから知りました。

▶ イベント記事はこちら

とどろき酒店さんは1973年創業の酒屋さん。日本酒や焼酎をはじめとした、様々なお酒が売られています。

ワインはナチュラルと日本ワインをメインに扱われ、福岡のワインカルチャーを牽引する存在でもあります。今回うかがった薬院stand!は2016年にオープンされたそう(その後現在の場所に移転)。お洒落イベントの開催にも積極的で、ますます盛り上がってもらいたいお店です。

▶ 最近ポッドキャストも始められたようです🎧

さて、そんなとどろき酒店さんに、いざ潜入。

ディスプレイもカワイイ

小さな店舗のなかには、所せましと日本酒や焼酎が並んでいます。どうやら奥のおしゃれスペースでは、夕方から角打ちもできるそう。
ワインは別のお部屋に隔離されているようです。この、扉をあけて入る小さなセラー部屋、なかなか心躍る空間となっていました。主にナチュラルワインが並んでいるのですが、エチケットがはなはだしく可愛い…!

今回の探訪で、『わたしも、それなりにナチュラルワイン、飲んで来たんだなぁ』とじんわりしました。なんとなく「あ、知ってる」と思うお知り合いワインが、増えて来た感じがします。

わたしは普段、クラシカルなワインを好んで飲んでいます。それは、エチケットや生産者によって、味わいの想像がつくこと自体が楽しいから。しかし、元来わたしはただの酒好き。ナチュラルだろうがクラシカルだろうが、美味しいワインはすべて好きなんですよ。

というわけで、お店のひとにうかがいながら、ベストな1本を選んでいただきました。これもときどき見かけて飲んでみたかった1本、イタリアのカルカリウス、弱発泡のワインです。うむ、満足!

ちょうど #3000円ワイン だったので、これはまた、飲んでご紹介しますね。

千葉から来ましたとお話すると、「千葉にもナチュラルワインのお店、たくさんできてるって千葉の友達から聞きました」とお店の方。
「でも、東京だと売り切れてるようなワインが、うちだとまだ残ってたりするんですよ」と爽やかに教えてくださいました。

うーーんなるほど福岡、さっきのお店といいとどろきさんといい、もしやワイン環境のポテンシャル、相当あるな……?!

福岡のワイン事情に打ち震えながら、福岡の街を歩きます。夫氏なんか、「今後ワンチャン福岡に帰って来るのありだな…」などとつぶやく始末。どういうワンチャンだよ。


移動の前に、さくっと昼ご飯をはさみます。せっかくなので福岡らしいものをと、長浜ラーメンをすすることにしました。

長浜ラーメン「ナンバーワン」の高菜ラーメン

ひとくち飲んだ瞬間、思わず涙がにじみました。え、長浜ラーメン、こんな美味しかったっけ……?!


実はわたくしますたや、大学から大学院の間の6年間を福岡県で過ごしました。

わたしが住んでいたのは、筑豊地域にある「田川市」という治安の悪い……いや、ヤンキーの……いや、かつて炭鉱が栄えたガラの悪い……いや、えーーと、腕っぷしが強く人情にあふれたホットな町でした。

▶ 「田川」の実態については、コテンラジオさんのこの回に詳しいです(湾曲情報)

でも、こう言ってはなんですが、わたし、田川大好きなんですよ。

学生の頃はどっぷり田川に浸かっており、なんだったら地域おこし活動の一環として各地で炭坑節を踊ったりしてました。田川のおいちゃんたちと、田川の居酒屋には相当お世話になりました。
アットホームで伸び伸びとした大学の雰囲気も、祭りになると血が騒ぐおいちゃんたちの陽気さも、宵越しの金は持たないいさぎよさも、今となっては懐かしい。

夫と出会ったのもここ、田川です。あの頃、「替え玉チャレンジ」などと言って何杯替え玉ができるかを競ってグロッキーになったり、「寿司チャレンジ」などと言って回転寿司を何皿食べられるかを競ってグロッキーになったり、「カレーチャレンジ」などと言ってココ壱の1キロカレーを食べてグロッキーになったりしていた夫の雄姿が、懐かしく思い返されます。わたしじゃないですよ。夫です。

そんなわけで、福岡は夫の故郷でもありますが、わたしの心のふるさとでもあるんです。
人生の大切な時期を、大切なひとたちと過ごした大好きな場所、福岡。今でも福岡のことを思うと、懐かしい気持ちと少しの感傷が同時にそっと滲みます。


さてそんな感傷を抱きつつ、美味ぇ美味ぇと泣きながらラーメンをすすり、一路北九州へと移動します。夫のご実家に挨拶にうかがうためです。ようやく本題じゃ!

そんな道中、こんなスーパーを発見しました。その名も、「ラムー」。

初耳

夫「ねぇますちゃん、ちょっとここ寄って行こうよ」
私「うん、ワインコーナーだけさっと見ればいいでしょ」
夫「えっ?!?なんでわかったの?!」

わかるわ。

知らないスーパーがあったらとりあえずワインを探す。ワインスキーの鉄則です。

そしてここで出会ったのが、この、スペインのテンプラニーリョだったのです。

いいですか。これ、いちおうスペインの原産地統制呼称である「DOラマンチャ」もついてます。それでいてお値段、なんと衝撃の298円。
いや、ボトル代とかコルク代とか人件費とかどこいった?

謎が過ぎて、購入してしまいました。これは、夜の楽しみにとっておきます。


実家のご両親とも1年ぶりに再会し、ひととおりのおしゃべりと近況報告なんかをやりつつ、回転寿司屋でちょっと1杯。

ワインは勝沼醸造さんの「アルガブランカ」(甲州シュールリー)でした。寿司と冷えた甲州、いいですねぇ…!

ご両親とも元気そうで、なによりでした。旅の本題、ようやく達成!
それではまた新幹線に乗って、博多へとトンボ帰りです。


ところで。
博多駅からほどちかい商業施設の中で、ワインが造られているのをご存知でしょうか。その名も、「博多ワイン醸造所 竹乃屋」。

九州初の、いわゆる「都市型ワイナリー」として、東京の深川ワイナリーさんや渋谷ワイナリーさんとも提携し、飲み比べセットなんかが提供されているお店なんですが。

まさにこの9月に、こちらの醸造所での初醸造ワインができあがったというニュースを見かけたますたや。機会があればうかがってみたいと思っていました。機会、すぐ来た。

もうお寿司でお腹はいっぱいですが、ワインだけでもと思い、うかがってみることにしました。

店内は意外とふつうの「おしゃれな飲み屋さん」の雰囲気
とはいえ、確かに醸造設備があります。現在発酵中のワインも二種類!
ちなみに今のところはチリ産ブドウを使っているそうです

初醸造のワインは、カベルネソーヴィニヨン。ワインのテーマは「鶏皮に合うワイン」ということで、さすが博多、博多愛にぬかりがない…!
さっそくグラスでいただきました。

くちあたりは、ミディアム…というかもはやライト。カベルネソーヴィニヨンにありがちな重みや青みはなく、フレッシュさとキャンディみたいな香りがあって、飲みやすさが際立ちます。

そして、たぶんこれは意図してないと思いますが、若さゆえのピチピチした泡が舌の上に感じられるんですよね。なんだったら、ちょっとしたイタリアの弱発泡くらいはありそう。

「ランブルスコみたいだね」

そんな夫のひとことで、ずいぶん飲みやすく、そして美味しく感じられるようになりました。ワイン、捉え方で味が変わっちゃうのほんと面白いよなぁ…!

もちろん鶏皮串にも美味しくマッチして、どちらもぺろりといただいちゃいました。いやあ、地元合わせがやっぱり1番ですね。お腹いっぱいって言ったのどこいった。


さて、ホテルにもどったら最後のひと仕事が待っています。そう。くだんの謎ワインを飲むんですよ…!

謎ワインをそそぐ
さあ、お味やいかに……?!

ひとくち飲んで、「う、う~~~ん?」とうなりました。まずくはない、まずくはないけど、まずくないからこそ、なんていうか、捉えどころというか、持つべきハンドルが見あたらない。

香りはフレッシュな赤系ベリーの系統で、悪くはないのです。というか、こういう香りのミディアムなワイン、あるなーっていう感じ。
で、わたしがひとくち飲んで感じたのは、「酸の強さ」でした。口内がきゅーっと収斂する感じ。それから、飲んだあとに舌のうえがざらついて、前歯がぎしぎしするほどのタンニンも感じました。
香りはカワイイけど、酸っぱくてぎしぎしする、っていうのがわたしのこのワインに対する総合まとめ。

ところが夫は「酸、それほどなくない?」っていうんですよ。タンニンにいたっては、「カベルネソーヴィニヨンのほうがあるよ」とか。えー、ほんと?

しばらくふたりで、「いやタンニンあるでしょ」「カベソーのほうがあるってば」などと言い合いました。わりとワインの好みの方向がちかい我々、今回ばかりは意見が全然合わない。

そうこうしているうち、より狭量なわたしのほうが「いーーや、絶対これは、タンニンがある!あるに違いない!」などと宣言し、あわや一触即発、2022年9月の福岡にワイン事変が勃発しかけた頃、「あれ?」という瞬間がやってきます。「あれ?なんか………美味しくなってない???

そうなんです。このワイン、温度の変化に応じて印象がめちゃくちゃ変わるんですよ。

むやみに福岡ワイン事変を起こさぬよう、対話という外交努力で軋轢を解消した我々がいたった結論は、こうでした。

つまりこのワイン、香り、酸、タンニン、果実味、アルコール度といった、ワインに含まれる要素の「バランス」がガチャガチャしてるんです。特に「果実味」の弱さは目立っていて、そのため「酸」や「タンニン」が妙に浮いて感じられる。

こうなってくると、味や香りへの「着目のスタンスの違い」が浮き彫りになりやすい。たとえば、夫は「絶対評価としての総酸量」の話をしていて、わたしは「相対的なバランスのなかでの酸の印象」の話をしていたので、話が噛み合わない。そういう意味ではこのワイン、確かに「酸っぱい」し、「酸っぱくない」んですよ。

ところが温度があがってくると、果実味「っぽいやつ」がちょっと出てくるんですよね。フルーツっぽい感じというか、ちょっと甘い感じというか。そうすると、バランスが悪かった「酸」や「タンニン」と果実味のバランスがまとまって「あれ?美味い気がする」って瞬間がやってきたんじゃないだろうか――たぶん。

vinicaの評価をみても「ふつうに飲める、ハイコスパ」って言ってるひとと「まずい」って言ってるひとがいて、一体どういうことになってるんだ?と思っていたんですが、なるほど確かにこのワイン、味わいを捉えるスタンスや提供温度によって、全然印象が変わりそうです。特に冷えてるとしんどいかも。

というわけで、こちらの300円DOラマンチャは、さながら古いラジオのような技巧的なチューニングが求められるワインだったのでした。なんやそれ。


ところで翌朝、残っていたワインを味見してみたところ、ずいぶん「とぼけた味」になってました。あれ?きのう一瞬、美味しい気がしたのに……!
300円ラマンチャ、最後まで我々を飽きさせることがありません。これはこれで、楽しい買い物でした。
みなさんも「ラム―」に行かれた際は、ぜひDOラマンチャワインのチューニングにチャレンジしてみてください。


3日め:そして帰国(概念)へ

日曜日。午前10時のフライトで、東の国へと戻ります。トランクに詰め込んだワインが重量オーバーだったりして、空港で慌てて詰め替えたりしました。そうだよ、こんなにワイン買うつもりなかったんだよもともと。

そんなこんな言いながら、台風一過の晴天を飛び、無事に東へと戻ってまいりました。

空のおともは、最近注目のお土産「あまび」
あまおういちごの甘酸っぱさが美味しいわらび餅。きなこをかけると急に信玄餅感出してくるので、プレーンか練乳がけがわたしのおすすめ。

帰り道、雲のうえに抜ける映像が撮れました。「雲の上は晴れてる」のを実際に体感できるのが、飛行機の最高なところですね。

こうして、無事に3日間のワ旅……じゃなくて、実家行脚を終えたのでした。

妹にバレる

ところで今回の福岡行脚、実は予備のワインを持っていってました。なんでかってほら、本当に今回は、「ワインには出会うつもりがなかった」んですよ我々。

「持って行って、持って帰った」だけのワイン。旅に起こりがちなこのような存在(たとえば移動中に読もうと思って持っていった長編小説など)を、我が家では「村上春樹的存在」と呼んでいます。なにかが起こったようでなにも起こっていない、しかし実はあいだに大きな移動を挟んで、戻ってきたところが1ミリだけ横にずれている…みたいなことです。わからなくていいです。

夫が帰り際にそっと「インドミタじゃなくて、フクオカミタだね、ふふ」ってつぶやいたのは聞かなかったことにしました。なにせ、空を飛んで疲れてましたからね。

こうして安寧の我が家に向かって、地面を走る電車に眠気をまかせながら、うとうとと帰路についたのでした。

うん、ワ旅だったな、これ。

間違いない

9月の連休もあけ、秋分もすぎ、いよいよ冬の足音が聴こえてまいります。
みなさまも体調にご自愛いただきつつ、深まりゆく秋の、そしてもうすぐにおとずれる冬の、ワインの楽しみをご一緒いたしましょう!🍷

それでは、ここまでお読みいただいてありがとうございました♪
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3000円台のワインをこよなく愛する、3000円ワインの民がお送りしました^0^

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■ ますたやとは:
関東在住の30代、3000円ワインの民(たみ)。ワインは週に約5本(休肝日2日)、夫婦で1本を分けあって飲みます。2021年J.S.A.認定ワインエキスパート取得、2022年コムラードオブチーズ認定。夫もワインエキスパートを取得、現在はWSETLevel2を英語で挑戦中の、ワイン大好き夫婦です!

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