春はあけぼの、晩秋のボルドー。〈ボルドー/カベルネ・ソーヴィニョン メルロー〉
それぞれの季節ごとに、飲みたいワインがあります。
たとえば、真夏。ぎんぎらと照りつける太陽、アスファルトから立ち込める熱気。こうなってくると、俄然、泡が飲みたくなります。あわい黄金色に、シュワシュワとはじける泡。フルートグラスにそそいで横から眺めているだけで、体温が1度さがる気がします。
たとえば、冬。金属製のドアノブを触るのもためらうような、きんと冷えた寒い夜。窓に吹き付ける細い風音と、室内に満ちた蒸気。ことことと鍋が歌うのをきいていると、こっくりと深い赤を飲みたくなります。グラスから立ちのぼる重厚な樽の香りは、冷えたからだを芯から温めてくれます。
あたたかい春には淡いロゼを。しめった梅雨にはすっきりとした白を。
こんな風に季節とのマリアージュを楽しめるのは、季節が鮮やかに移ろいゆく、日本ならではの楽しみ方なのかもしれません。
春はあけぼのーーと詠った清少納言の気持ちを、今わたしは完全に、ワインで再現している気がしています。わかる。わかるで、少納言・・・
さて、季節は晩秋にさしかかりました。冬の足音が、もう、ほんの真後ろまでやってきています。あした肩をたたかれてもおかしくない、そんな今日この頃。
夏のあいだ中、「今日はなに飲む? え、こってこてのボルドー?」「いらんわ(笑)」という会話を繰り広げていた近所のワインショップで、今年もついにこの日がやってきたのです。
「今日なに飲む?」
「ボルドーでお願いします」
はい、ということで、こってこての赤、カムバーーーーック!
シャトー・ベルナドット 2008 [¥ 3850 ]
<ワインdata>
国:フランス(ボルドー) 種類:赤ワイン 品種:カベルネ・ソーヴィニヨン メルロー ヴィンテージ:2008 生産者:シャトー・ベルナドット インポーター:アストル
<バランス>
酸味★★☆☆☆ 糖度:★★☆☆☆ タンニン:★★★☆☆
まさか「ボルドーをください」という日が来るだなんて、8月のまっただなかには思えなかったですよね。もう一生、永遠に泡だけ飲んでるんじゃないかと思ってましたが、季節はめぐるものです。
今回飲んだのはこちら、シャトー・ベルナドットです。調べてみると、あのコンテス・ド・ラランドが手掛けるワイナリーであったり、
スーパー・セカンドの筆頭として名高い、シャトー・ピション・コンテス・ド・ラランドが買収し、土壌の解析、ブドウ樹の植替えなどの他、畑や醸造所、セラーの設備を更に改良して以降、「プティ・コンテス」と呼び、愛情と情熱を注がれる秘蔵のワインです。ーーエノテカホームページより
スウェーデン王室の御用達ワインであったりと、
1800年代から続く伝統のシャトーがこのシャトー・ベルナドット。実は・・・スウェーデン王室御用達!ーワインショップ ドラジェホームページ
なにかと箔がついているこちらのワイン。
さてさて、その実力はいかほどなのでしょうか。期待が高まります。
グラスに注ぐと、「ああ、そうそう、これぞ赤ワイン…!」とでもいうような、どこか懐かしい香りがふわあっと立ちのぼります。
現在、「赤ワインって重いものばかりじゃないのね、むしろ繊細さやはかなさを楽しむという方向があるのね…!」というあたりを航海しているますた家、どうしてもピノ・ノワールをひいきしがちになっているのですが、
こうして ”ボルドーの赤” の香りをかぐと、つい嬉しさに心が躍ります。
実際、くちに含んでみると、豊かな果実味が口内を満たします。一方で、酸味は厚く、余韻は長く、全体的にはエレガントな作りとなっています。もちろん、ボルドーらしいタンニンもそれなりにあるのですが、全体としては軽やかで、まとまりがいい。2008年ヴィンテージということで、熟成感も出てきています。
しかも、口当たりはどちらかというとミディアム・・・と思っていたら、それもそのはず、アルコール度数は13%でした。ええ…!飲みやすい・・・!
ということでこちらのワイン、重いこてこてボルドーというよりは、エレガントで上品なボルドー、むしろこの晩秋の季節に、ぴったりの赤だったのでした。
カマンベールチーズとは、なかなかいいマリアージュ。赤みのお肉とも最高でした。
うーん、たまのボルドー、いい。いいですねぇ、わかるで少納言…!
さてーー ちなみに我が家では、2021年が終わるまでにもうひとつ、季節とワインのマリアージュイベントがやってきます。
そう、クリスマスです。
毎年クリスマスに『いいワインを買う』のが、ますやた家のささやかな楽しみ。毎週のようにワインショップに通うようになってからは、ショップカードのポイントがたまるたびに、にやにやしております。
12月はまだ先とはいっても、今からなにを飲もうかとうきうきしています。なんせこのためにポイントをこつこつ溜めてきたのですから、おいしいワインが、飲みたいんだ・・・!
ねえ、そうでしょう? ソムリエ!
えっと、「このセラーのなかで、いちばん安いのどれですか」
・・・まさかの「セラーのなかのなにかを買う」という戦法に出るますたや家。(ソムリエは親切に教えてくれました。親切…)
季節をたのしむ3000円ワインの民が、季節を楽しむサンマンエンワインの民になるには、まだまだ先の長い道のりが、かかりそうなのでした。
あー、親切な石油王と友達になりたい。春はあけぼの、やうやうお金が欲しいますたや!
それでは、今日はここまで^^お読みいただいてありがとうございました♪ また次の3000円ワインでお会いしましょう♪ みなさんよき週末の夜を! ますたやでした(^O^)
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ますたやとは:
関東在住の30代、3000円ワインの民(たみ)。ワインは週に約5本(休肝日2日)。夫婦で1本を分けあって飲みます。3000円ワイン以外のワインについては、Vinicaにて夫が更新中。2021年、夫婦でJ.S.A.認定ワインエキスパート取得。これからもおいしいワイン、いっぱい飲むぞ~!
twitter:@3000wine_tami
Instagram:@3000wine_no_tami
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