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エッセイ アヤシイ本を読む

吾輩が本を読むようになったのは、コロナ禍で家に閉じこもる時間が多くなったからである。

と言っても、読んでいるのは、森見登美彦氏の作品ばかりである。

「お前は他の本も読もうとしないのか。1人の作品全てを読んでもお前は森見登美彦氏にはなれぬぞ」
内なる虎が我に呼びかける。

しかし我も反抗して、「分かってるよう!プンプン!」と内なる虎を毎日沈めている。

そんなこんなで、内なる虎を飼い慣らすためにも、吾輩は他にも本を読むことをコロナ禍の最中で決めたのであった。

ざっとあげると以下の通りである。

1つ目
「完全宗教マニュアル」

ちくま新書もアヤシイ本を出すなぁとしみじみ思う。宗教は人類を幸福に導くよう教授するのではなく、むしろポイントは逆。「反社会性」にこそ、宗教の本質はあるのだとこの本は説く。吾輩も一通り読んだが、何だか我でも「宗教」を作れそうな気がした。

2つ目
「鴨川ホルモー」
鬼を呼び込んで、京都府内の大学生が争う小説。「ホルモー!」もはや、説明するまでもなくアヤシイ。森見登美彦氏と仲が良いのがよく分かる作品の1つ。

3つ目
「太陽と乙女」
森見登美彦のエッセイ集。おいコラ。森見登美彦氏の本を読んでいるではないか。初志を貫徹する気概はどこにいった? 吾輩は初志というモノは捻じ曲げるためにあるのだと豪語する。掌を超えて手首が捻れるほど、我ながら呆れるばかりである。それほど、この本は面白い。しかし、アヤシイことに変わりはない。

4つ目
「ぐるぐる問答集」
森見登美彦氏によるその他著名人との対談集。もう何も言えない。結局、お前は色んな本が読めなかったのだな。ただ、万城目学氏との対談はやはり面白かった。しかし、アヤシイことに変わりはない。

5つ目
「ザ•万字固め」
万城目学氏のエッセイ集。これは純粋に面白かった。「生活における当たり前」を当たり前に考える万城目氏の姿勢は尊敬の念を抱かざるを得ない。吾輩は大変勉強になった。以上。しかし、物事に対する視点はどこかアヤシサを感じられるのもまた事実。

6つ目
「職業としての小説家」
吾輩は外堀を埋めなければ夜も眠れない人間である。内なる虎との格闘を経て、小説家になると豪語したあの日から、約3日後。吾輩はこの本を読み始めた。そこで、気づいた。小説家になって小説を書くことと、小説家というステータスそれ自体が欲しいこと、これを混同してはいけない。確かに、そうかもしれない。小説家はある日突然なれるかもしれない職業である。しかし、そこから書き続ける体力があるかどうかが小説家としての「資質」の見極めだそうだ。ふーん、なるほどなぁと思った。しかし、表紙の村上春樹の写真がなんかイヤらしくて、アヤシイと思ったので、結果この本はアヤシイということにしておく。このブログでは、世間が白といえども、吾輩が黒と言えば黒なのである。ここは血も涙も無い世界なのだ。

以上である。

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