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エッセイ 芥川龍之介風の不安に駆られる

ここのところ、私は芥川龍之介風の不安に駆られて、しわ少なき脳みそで己の人生の生末を思案していた。しかし、そんなことをしても、意味がないことにすぐ気づいたので、とりあえず本を読むことにした。

「資本主義の終わりか、人間の終焉か?」—厳かなタイトルに見えるが、なかなか勉強になったと感じている。

しかし、不安は拭えない。なぜなら、私の不安に比べて、スケールが大きすぎるからである。悪化した精神衛生状態が一向に良くならないので、鎮静化を図ろうと、森見登美彦『四畳半神話大系』を読む。

やっぱり、安心する。ステキなお話や、と感心する。

しかし、不安は消えない。なぜなら、腐れ大学生モノのお話だからである。私も体毛が鬱蒼と茂ったいい年齢である。今更ながら、薔薇色のキャンパスライフへの妄想に血道を上げるわけにはいかない。

体を動かしたいと考えたので、映画館に足を運ぶことにした。「もののけ姫」が上映しているとのことなので、作中に登場する山賊が作った美味しい雑炊を見て、心を落ち着かせようと画策する。

しかし、不安は胸中に残り続けた。なぜなら、映画館に行かなかったからである。遠すぎるからである。山賊と雑炊を食べるシーンを見たかったなあと後悔する。

仕方ないので、アマゾンプライムビデオで映画「サマータイム・マシン・ブルース」を見ることにする。


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