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運命の日

筆者はいよいよ明日、運命の日を迎える。エライコッチャ半島との別れを告げることになるやもしれぬからだ。

筆者が動揺していると、同半島にいるはずのないベーシスト野郎がふと姿を現し、ちょっかいをかけてきたのである。「え?もしかして、もうオサラバですか?へへへ」と捲し立てるヤツに苛立った筆者は、ベースの弦を使いヤツをポンレスハム状に巻き付け、近くの漁船に積んであったドラム缶の中に放り込んだ。

今頃、ヤツはマグロ遠洋漁業のエサになっているだろう。南無南無。


ベーシストのことはともかく、当たり前だった環境が、ふと消えていく現実は受け入れがたい。惰眠に勤しんだ休日の自室のアパート、古民家カフェの店主、あの日散ったアバンチュール…今思えば甘美な日々であった。

少々表現をZ世代風に言うなれば、高校最後の部活の大会が終わり、部室の片付けをする感じである。夕焼け空のグラウンドで次の後輩たちが練習するのを尻目に、どこかのJKが「ああ、もう終わっちゃたんだね…」と自転車を押しながら呟く具合だろうか。

筆者は現在、精神衛生が極めて悪いため、パルプフィクションを見ながら、桜蘭高校ホスト部を見ている。頭をあえて混乱させることで、余計な思考を介入させない荒技だ。

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