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エッセイ 温泉に浸かる

今日は、午前中、刹那的快楽を味わい、午後からは大学の図書館に行き、レジュメを作成していた。夕方からは地元のおじいちゃんらと、仲良く温泉に浸かり、風呂上がりのコーヒーを堪能して、今に至る。

今日の大学はやたらと人が多く、三密空間はどこか遠くへ消えてしまったかと思った。

それにしても、同じような髪型をして、同じようなリュックサックを背負って、同じような顔をした新入生グループを見る度にゲンナリする気持ちになるのはなぜだろうか。

己の精神的不安と、彼らのこれから始まる大学生活への期待。この両者の差が私の精神的減退に拍車をかけているのかもしれない。

しかし、私も1年の時は、ああいう感じであったのだろう。キャピキャピしていたあの日々。怖いものなんて何もなかったはず。緊張するとしたら、初めてのバイトの面接ぐらいなものだろうか。私もひょっとしたら、今と同じくらい当時の4回生にプレッシャーを与えていたのかと思うと、とても申し訳なく思う。

「今の大学に私の居場所はない」
生協で買った缶コーヒーを飲み、私はふと呟いた。
「でも、やり残したことはまだある」

そう言えば、温泉に上がってからは、1冊の本を少し読んだ。『昭和戦争史講義 ジブリ作品から歴史を学ぶ』。「史実」を忠実に描いたわけではない「風立ちぬ」を文献資料をもとに補完しながら紹介していた。返却日までに読むのが当面の目標となりそうだ。


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