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場当たり的に見る花火大会

筆者は、地元の花火大会で有料席を子供用に一部値下げを行うとのニュースを見て、首をかしげた。

子供すなわち小学生から高校生ぐらいまでの学生に対し、有料席を設けること自体、ナンセンスだと考えるからだ。学生があらかじめ席を予約して行儀よく花火を見るのか甚だ疑問である。

学生は基本、花火を「行儀悪く見る人たち」だと思った方が良い。

筆者の経験上、学生たちが花火大会を見に行くかどうか決めるのは3日前ぐらいではなかろうか。スケジュール管理がずさんなのである。

例えば花火大会が近づくにつれ、「あれ?誰も花火大会の話題をしない? もしや、もう恋人と行く約束をしているのか?  それはいかんよ!」などと教室の休憩時間中に心中穏やかではない輩が1人や2人はいるだろう。筆者がもれなくそれだった。

そして、恋人がいないもしくはできなかった連中は、家にいると敗北感に苛まれるため、束になってでも花火大会に足を運ばざるを得ない。ギリギリまで恋人と花火を見る妄想を描き、それが幻影だったことに気付く前日あたりに、ようやく「花火大会行く?」と誰かが言い、「ああ行くか」と誰かが答えて、ようやく行くことが決まるのである。

当日は「屋台の食い物買うなら、ローソンで買った方が安くね?」と場違いな感情を抱えつつ、ダラダラと会場に集結。汗とかき氷シロップがベタついた手でスマホを取り出し、見返すことがないにもかかわらず、写真を10枚ぐらい撮って帰っていく。

席は有料席のような見晴らしの良いところでは決してなく、終わったらすぐ帰れるように、帰路に通ずる橋のたもとが多い。そこで手すりに腕を下ろし、ぼけっと眺め、「目の前の街灯の鉄柱、邪魔やな」とか、炭酸しか飲んでこなかったため喉が無性に渇いて「あー自販機ねえかな」とか考えているのである。

余談を記すと、帰りはどっかのスーパーにあるフードコートか、ファミレスなんかでよく分からない反省会なるものを開いて解散するのである。これが敗残兵にとって意外に盛り上がる。


ということを踏まえると、学生がわざわざ金を払って有料席を予約するとは考えにくい。計画的とは無縁で、場当たり的に見るのが学生の花火ではなかろうか。有料席で彼らをコントロールできると思うなら、それは大変身の程知らずと言い切れる。

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