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エッセイ 中学校のトイレから見た景色
好きな作家である森見登美彦氏が「四畳半タイムマシーンブルース」というオモチロイ小説を発表している。
https://kadobun.jp/
より引用
もし、タイムマシーンでどこか未来か過去に行けるなら、私は中学生のある場面に戻りたい。
私は中学生の時、二階にあるトイレの掃除当番をしたことがあったので、そこの窓から見れる景色をよく堪能していた。
景色を見ていて、
特にハッとさせられるのが自転車小屋である。
部活帰りに自転車小屋付近でたむろっている連中であったり、彼女?や彼氏?を待ちながらモジモジする人がいたり、職員室から先生が顔を覗き込んで「早く帰れよー」と急かす姿だったり、「何気ない日常」があの自転車小屋には凝縮されていたように思う。さらに、夕焼けやチャイムがよりその舞台を整えてくれるのだ。
だからか、掃除時間の昼間にその自転車小屋を見ながら、夕方から夜にかけての自転車小屋を想像するのが、ものすごく心地よかったのである。密かな中学時代の楽しみであった。あの雑然とした風景はおそらく中学生の時にしか味わえないものだと思う。
一見、ただの建物だが、色んな文脈が重なり合うと、今ではそれは「固有の財産」や「思い出」として胸の中に残る。
高校の自転車小屋はどこか閑散としていたし、今の大学の自転車小屋に瑞々しさは感じられない。
やはり、タイムマシーンで戻れる時代があったとするならば、部活帰りに自転車小屋でダラダラしていた中学のあの時だろうか。
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