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2022/05/13 「自殺報道について思うこと」

上島竜兵さんのニュースを知り、昨日はとてもショックでした。

さらに自殺の手段を報じたり自宅前から中継をしたりという番組があったと知り言葉を失いました。自死遺族としては、そのような報道によってご家族がどんな気持ちかを考えて胸が苦しくなります。

 自殺の「手段」を報じる
 自殺で亡くなった方の自宅前等から中継を行う
 自殺で亡くなった場所(自宅)の写真や動画を掲載する
 街頭インタビューで、市民のリアクションを伝える

以上のような報道や放送は、とりわけ子どもや若者、自殺念慮を抱えている人に強い影響を与えかねません。実際に、一昨年は自殺報道の影響とみられる自殺者数の増加がありました。メディア関係者各位におかれましては、自殺報道が自殺の増加を招くことになりかねないリスクをご理解いただき、WHO『自殺対策を推進するためにメディア関係者に知ってもらいたい基礎知識 2017 年版』(いわゆる『自殺報道ガイドライン』)を踏まえた報道・放送を、あらためて徹底していただくよう、お願いいたします。

自殺に関する報道にあたっての再度のお願い(令和4年5月11日)
https://www.mhlw.go.jp/content/000937620.pdf

最近は自殺についての報道の最後に相談先を紹介するようになってきましたが、相談先を紹介さえすればあとはどう報道しても構わないという感じになってきているので、いま一度報道のあり方を考え直すべきです。

相談先としていのちの電話が紹介されるのですが、相談員不足もあって繋がらないケースがあります。電話をする人に対して相談員が慢性的に不足している状態が続いているからです。

相談しようかと考えて意を決して電話をして繋がらなかった、その時どういう気持ちになるでしょうか。

また相談員の不足によって受付時間の短縮、深夜は対応できないという所もあります。消えてしまいという気持ちに押しつぶされそうになる夜中などに電話ができないというのもかなり厳しいと思います。

人の心に寄り添うお仕事で誰でもできる、すぐにできるというわけではないので、明日から増員というのは当然できません。

だからこそこれからの事を考えて、どうしたら相談員不足が解消されるのか考えて速やかに対策をして欲しいです。

いのちの電話相談員はボランティアです。相談員になるためには1年半ほどの養成研修があり、その受講料や合宿参加費などは自分で出さなければなりません。

今の日本は給料が上がらないのに物価や税金は上がる一方です。相談員をしたい、人を救いたい志があっても、自分の生活の事考えるとお金と時間をかけるのは難しいという人もいるのではないでしょうか。

国は本気で自殺対策をするのであれば、しっかりとお金を出してほしいです。

いのちの電話相談員をはじめ、こども食堂とかヤングケアラー、教員不足などもそうですが、善意とか遣り甲斐、家族の絆などの言葉でやらせて、お金を出さず何のケアもしてこなかった事が問題のひとつだと思っています。

そこにコロナも物価上昇も加わった事で、生活に行き詰まったり将来への不安などを感じたりする人が増えています。すると心を病み、死を選ぶ人も増えていくでしょう。

報道の仕方を正しく行う、相談員をひとりでも増やす、相談時間を1時間でも増やすようにしていく、生活を支える対策をうつ、そうした事を根気よくずっと続けていかなくてはならないのが自殺対策です。

無神経な報道を一度する事でそうした努力が水泡に帰す、その事をテレビ局はきちんと考え、勉強し直さなければなりません。

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