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12/27 放屁者

図書館に行ったのですが、かすかに破裂音が聴こえてきてのです。それも少しのインターバルを挟んでまたしても。それが数回続きました。

もう長い事生きているのでそれが放屁の音だという事はすぐわかりました。向こう側が見える棚からおじいちゃんが見えるのですが、周囲に他に人がいないのでその人だとわかりました。静かな空間の代表格ともいえる図書館で放屁をするというリスキーな行為を事も無げにするのが驚きでなりませんでした。

しばらくするとかすかに変な臭いが棚の隙間をすり抜けて漂ってきました。おそらく数十秒前まであのお爺ちゃんの体内にあった気体が私の鼻腔に入り込んできたのです。

音を聴かなければこの臭いを嗅いでも体から出たガスだとは思わないかもしれません。とは言え離れた場所でも漂ってくるという事は、もしかしたらあのおじいちゃんの近くはかなりの臭気判定結果が出るのでは。

あの放屁は無意識なのか!否、おそらく自らの意思で肛門を小刻みに開閉してガスを小出しにしているのではないか!最初に少しだけ出してみた所さほど臭わなかった事で増長してそれを繰り返したのではないか!しかし年を重ねるといろいろな部位に締まりがなくなるというではないか!ならばあれはこらえ切れず出てしまったものなのか!

気付けば棚の向こうのお爺ちゃんに釘付けになっていました。放屁をしたであろう事に怒りが込み上げたわけではありません。人間観察を好む私は格好の対象物を発見して目が離せなくなってしまったのです。

しばらくして奥様らしき女性が来たので、そこで私のイマジネーションという本のページは閉じられてしまったのですが、割と個性的な人が多いと感じている図書館で放屁者との出逢いは今までなかったので、まだまだ奥が深いなと感じ、その熱が冷めないうちにこちらに書きつけたという次第です。

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