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夢を叶えてくれたオオゼキ

子どもの頃「一度でいいからお腹いっぱい食べてみたい」と思ったり、「もっとたくさん入ってたらいいのに」と思いながら食べていたものがある。

だいたいそういうものは「晩ごはんのおかずにならん」「腹の足しにならん」と、戦前生まれの親から言われてきたもんやった。

大人になり、結婚して子どもが生まれ、離婚して自分が養う立場になり。自分が買いものして料理をするようになると、親がそう言うたのもわかる。
「おんなじお金払うんやったら」と、「おかずにならん」「腹の足しにならん」食材は買いもの優先順位が下がり、親とおんなじことをしていた。

そして、子どもの頃の夢を忘れてしまっていた。
夢を忘れていたことさえ、忘れていた。

2週間前。初めて訪れたオオゼキ下北沢店。2日後に祐天寺店へ。そして先週2度目の下北沢店。(どんだけ行くねん)
オオゼキさんとの出会いと、そこで買うて食べた美味しいもんのおかげで、忘れていた夢を思いだし、その夢が40年以上経って叶ったというお話。

●初めては下北で。。。

オオゼキなるスーパーを知ったのは、オオゼキヨウコ氏のnote。
その後ヨウコ氏のオオゼキイベントnoteや、
オオゼキを愛するひとたちの熱いツイートを読んでいた。

「そやけどうちの近所にはないし」
「店舗がある沿線は行かへんし」
「そもそも、私が住む横浜市内には一店舗もないし」
と、
私の暮らしにも人生にも、
オオゼキが存在することはないであろうと思っていた。

だがしかし。
人生において「絶対ない」は、ないのである。

台風19号が近づく10月11日。友人と「カレーフェスティバル」目的で行った下北沢。待ち合わせ場所の駅前で「オオゼキ」の赤い看板をみた私たちは、カレーを食べる前にオオゼキに行き、カレーを食べてオオゼキに行き、最後にカレーを食べてオオゼキで買い物をする、という「カレー少なめオオゼキ多め」な1日を過ごした。

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ヨウコ氏のオオゼキnoteに書かれている通り、店内はひとと食材がいっぱいやった。「ええもんで安いもん」、他では見ない「珍しいもん」で溢れていた。その日の店内は「台風のため明日は休業します」というアナウンスと、台風に備え買い出しにきた常連さんで溢れ、通常とは違う感じやったかもしれん。

そんななか、記念すべき初めてのお買いもの。

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常用しているスーパー(主にOKストア)や、最寄駅前の店でも買えるもの、農家さんから毎週宅配してもらう野菜と重なるもん、そして、「これつくろ」とパッと浮かばないものはかごに入れなかった。それでもこんだけ買うた(次から買い物用カートで来る方がええかも)。

楽しかった。

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↑値札の「絶品」のフォントが凄い「どんぐり豚」

ほんで、
美味しかった。

その日から、「オオゼキさん」が私の暮らしと人生に「えろうすんまへん。ちょっとここ、座らせておくれやす」と、ちょこんと腰を下ろしたのだ。

そういえば。大学生の頃、「タカラヅカなんて」とタカラヅカを馬鹿にしていた演劇好きな友人が、1度公演を観て、完全にハマったよなあ。ちょうどこんな感じやったんかなあ。

そして、突然「えろうすんまへん」とあらわれたオオゼキさんが、忘れていた夢をかなえてくれたのだった。

●子どもの頃の夢① お腹いっぱいマスカット食べたい!

初めて行ったオオゼキ下北沢店。入口に「どや!」と並んでいたのは、シャインマスカット980円やった。同行の友人は「これ、ヨウコさんが言ってたやつだよね!」と買う気満々。私は隣にある「種無し巨峰」にちょっと心が動いていた。巨峰は息子の好物なのだ。

「とりあえず。店内見て回って、あとで考えよう。」

と、店内うろうろ。カレーを食べに行き、戻ってきたとき、また悩む。

結果、「今回は、シャインマスカットで!まあ、息子も食べるやろ!」と息子の好きなものでなく、自分の欲望を優先させてた。

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その日の夜。
買うてきたシャインマスカットを洗って、ごはんの用意しながらつまむ。

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え。めっちゃ美味いやん。

止まらん。

息子にも声をかける(一応)。
「皮むかんと、そのまま食べたらええねん」と言うたのに、丁寧に皮むいて食べて、3粒ほど食べて「俺、ええわ」という。

やった(笑)!

半分以上食べて、晩ごはんに買うてきた「美登利寿司」のお寿司と、鮎の塩焼きいただく。野菜なし!そやけど、食べたいもんばっかりで、かなり幸せ。

晩ごはんのあと、またシャインマスカット食べる。

いや~!!満足!美味しかった!
しかも、特売の果物でちょいちょいやられる、「表からは見えない部分が痛んでて、それをうまいこと見えんようにする」という、姑息なことも一切なし!味もそうやけど、ここにも感動した。

結局、ほぼ一人で一房食べて、ふと思い出した。

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子どもの頃、いただきもので年に2回ほど我が家に来たマスカット。
家族4人で1房食べてたんやけど、

ひとりで一房食べてみたいなあ。
お腹いっぱいマスカット食べてみたいなあ

と思ってた。

マスカットでお腹いっぱいになるって、
めっちゃ幸せなんや。

子どもの頃にやってみたかった、味わいたかったこと。
それ、今、叶ってるやん。
なんともじわじわと、幸せが溢れてきた。

2日後。夫婦で代官山へ出かけ、帰りに寄り道して祐天寺のオオゼキへ。ここでも買うたシャインマスカット。数日前に一房食べていたので、これは、夫と半分こして食べた。ひとりで食べる幸せを十分味わったので、心の余裕をもって、夫と一緒に食べる幸せも味わえた。

●子どもの頃の夢② 栗がめっちゃ入った栗ごはん食べたい!

はじめてのオオゼキから1週間後。オオゼキ下北店へ再訪。出先からの帰り、吉祥寺まで行き渋谷行きの電車に乗る。この日は初めて下北沢で途中下車した。フェイスブックにそのこと書いてたら、「下北と書いてオオゼキと読むんだね」と友達からコメントもらった。

2度目の下北沢店では、シャインマスカットでなく、種無し巨峰。
2階に行き、美味しそうな切り干し大根をかごに入れて、1階へ。
今日は重たいもん買わんとこ。と思ってレジの方へ向かった時、

小布施栗 980円

の前で立ち止まる。

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小布施の栗を使った栗羊羹やきんとんは、子どもの頃から好きやった。
けど、小布施の生栗は初めて見た。

栗と言えば丹波栗。の関西で暮らしてきたが、
小布施の栗もおっきくて立派。
「よし。去年は出来へんかった栗ごはん炊こう」と、買うて帰った。

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おっきな栗15粒。茹でて皮剥いて、炊き上がり直前の炊飯器に入れた。

栗がごろごろ。4合の新米炊いたけど、それでも栗が多いくらい。
ちょっと多いなと栗を取り出そうかと思ったけど、
えい!とそのまま混ぜ込んだ。

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この日の栗ごはんは夫と息子にも好評やった。
「この栗でモンブランつくってほしい」と、息子。
「栗が美味しいなあ。いっぱい入ってて嬉しいな」と、夫。

子どもの頃、私は混ぜご飯が大好きやった。毎年ではないが、母も祖母も秋になると栗ごはん炊いてくれた。二人が炊く栗ごはん、8割が白いごはん2割くらいが栗やった。栗ごはんは嬉しいけど「栗、こんだけ?」と、毎回言うてた記憶がある。

「なんでたくさん栗入れへんのんやろ。」
「栗がい~っぱい入った栗ごはん、食べたいなあ」と、配合は変わらない栗ごはん食べながら思った。

そんなこと思い出しながら食べた栗ごはん。
おいしい小布施栗がごろごろ入った栗ごはん。
子どもの頃の夢が叶った栗ごはん。

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子どもの頃、私と似たようなこと思ってたのか、
夫もおかわりの茶碗に、栗をたくさん入れていた。

●大人になった私の夢も叶えてくれたオオゼキさん

子どもの頃の夢を叶えてくれたオオゼキさん。それだけでも幸せなんやけど実は大人になった私の夢も叶えてくれたのだ。

しかも。初めての出会いで。

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20年以上ぶりに食べた鮎の塩焼き。

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焼き魚するときは、息子の好みと予算を優先させて、鮎を買うことはなかった。だが、このお値段でこの品質。そりゃ買うやろ。

「久しぶりやなあ」夫も嬉しそうに骨と頭だけ残してきれいに食べた。
私は子どもの頃から鮎は身もワタもきれいに食べてたけど、食べ慣れない息子は「身がすくないやん」と文句言うてた。

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こんなにも時空を超えた私の夢を叶えてくれたオオゼキさんだが、我が家の「ふだん使いスーパー」にはならないだろう(不動のOKストア)。
月に1回、あるいは数か月に1回。出先からちょっと寄り道して、webちらしでチェックしたものや、予期せぬ出会いを求めて行くのが、オオゼキさんであろう。

そして。日々の生活のなかで、ちょっと横に追いやってしまった「あ、あれ食べたいな」という小さな望みを叶えてくれるのが、私にとってのオオゼキさんだ。これからも。

最後に。

池袋の駅地下通るたびに、「今日こそは!」と思いながらも、イートインだけでなく、お持ち帰りにも人が並んでいるのをみて諦めていた美登利寿司。

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生魚食べられない息子にはかっぱ巻き。
夫と私はコスパ考えて3パック買うたのだ。

マスカットと寿司。

「うちって金持ちなん??」と、息子が小学生の頃から成長しないコメントを発していた。

美味しいはしあわせ「うまうまごはん研究家」わたなべますみです。毎日食べても食べ飽きないおばんざい、おかんのごはん、季節の野菜をつかったごはん、そしてスパイスを使ったカレーやインド料理を日々作りつつ、さらなるうまうまを目指しております。