食卓写真_むうさん撮影_

note酒場に子連れ参加されるみなさんへ届け!大阪親子の赤っ恥

「今週末のnote酒場。子ども連れて参加します」

という投稿を見かけることが増えた。
私はnote酒場に参加しないし、息子は18歳となり「子連れで宴会参加」も卒業した。でも、そんな投稿を度々目にしていたら、うちら親子の「子連れ参加宴会」を思い出した。

ひとつ思い出したら、まあ、出てくる、出てくる。

恥ずかしい思い出が。

一度開いたものの、また箱に入れて蓋をして奥底に片づけようとしたが、いやいや、こんなん、言うてましたやん、自分。

ということで。うちら親子の赤っ恥。
週末、子連れ宴会デビューする方への勇気(残念ながらアドバイスではない)になればと思い、晒してみることにした。


●「全然足りへん!はらへった!」と名誉教授にキレた息子


息子が保育所年中の時、私と元夫は離婚した。その後彼が小学校卒業するまで、世帯主は私、被扶養者は息子という「ひとり親家庭」だった。近くの大学の研究所で非常勤職員として働いていた私。人生で初めて(そして最後となる)「秘書」という仕事をしていた。秘書というても私はグループ秘書。特定の先生や研究室につく秘書ではなく、会計でも総務でもない事務仕事をする、という感じだった。


秘書になって1年。うちの研究所が事務局となる、大規模な国際会議が開催された。開催日が近づくにつれ、うちら秘書たちも残業が増え、会議期間中は会場となるホテルへ泊まることもあった。

当時息子は保育所年長。預かり時間ぎりぎりの午後7時まで、保育所で過ごす日が続いた。直前の2日間と会場泊まり当番の日は、実家に預けた。「マゴワカワイイ」というものの、70才過ぎた父も連日マゴと過ごすのは疲れる。3日で「実家」というカードも使い切ってしまった。


「かまへんで。連れておいで」

国際会議閉会前日に開催されるバンケット(会議参加者とホスト研究所参加の立食パーティ)。この日は息子連れ参加しかなかったので、事前に事務局リーダーの先生に相談したところ、快く了解してもらったのだ。

久しぶりに日が暮れる前に保育所へお迎えに行き、自宅ではなく駅に直行。夕方ラッシュの電車に乗り、神戸へと向かった。

・・・

「秘書のみなさんもおつかれさん。飲んで食べて帰ったらええで」と事務局リーダーには言われたものの、完全なる「お客さん」ではないので、食べながら、雑談しながら、全体を見回す。

「なんか、料理少なくない?」
「それ、僕らも思ってたんですよね」

秘書チームと学生君チームでこそこそ話す。

「これ、うちら食べるん控えといた方がええよね。」
ホストであるうちら研究所所属の学生さん、秘書、若手先生は、お皿に料理を取るのを控え始めた。


とばっちりを受けたのがうちの息子。とりあえず、炒飯、焼きそば、揚げもんなどで満腹にさせておこうとしたが、ケータリング料理の味に飽きてきて、食いっぷりがよくなかった。

しゃーない。気分転換にさんぽしよ、と会場内を息子とふたりで歩くことにした。

・・・

スーツやセミフォーマル姿の大人のなかに、保育所帰りの運動靴に半ズボンの息子が歩くと目立つ。会議も山場を終え、ほっとした先生たちが笑顔で息子に声をかけてくれた。

そして意外な人に声をかけられた。

おお!ボク、お腹いっぱい食べたか?

声の主は、こわい、厳しい、(性格)キツいの3Kが揃った名誉教授の前所長。
偶然にも、彼と海外VIPと思われる方のテーブル横を通ったうちら親子。
職場で話したことは無く、この時が初めての会話だった。
(厳密に言うと、息子に話しかけられたのであって私ではない。)

「はい、、」と私が言うより前に、息子が叫んだ。

全然足りひん!はらへったーー!


2秒ほどの静寂の後、爆笑した名誉教授。

不審な表情を浮かべる日本語を解さない人々。

「あんた、キレる相手間違えてるで」と思った母。

名誉教授は丁寧に、向かいに座るVIPに息子の叫びを丁寧に通訳してくれた。それが聞こえたのか、日本語を解さない人々の表情が、やわらかな笑顔になった。

「そうか。料理少なかったもんなあ。そりゃ足らんわなあ。」
「おっちゃんら、こんなに食えんから持っていき」と、
3K揃った名誉教授が、近所の気のいいおっちゃんとなり、肉や揚げもんをいっぱい乗せたお皿を息子に渡してくれた。

さすがにそれは、、とオカンモードでなく秘書モードで辞退しようとした私に、

「ええねん。わしら酒飲んどるから、そんなに食えん」
「子どもが『はらへった』言うてんねんから、食べさせとき」
と、実家の父のようなことを言うてくれた。

息子とふたり、おっちゃん、でなく、名誉教授に御礼を言い、気楽にゆっくり食べるため、仲いい秘書さんたちや学生さん、先生たちが座るテーブルに戻ろうと歩いていた。

「あっちにまだフルーツ残ってたわよ」
「大丈夫?食べた??」
と英語で声かけられまくる、うちら親子。

「なんでオイラたちにみんな声かけるの?」
(人気者だと勘違いしていた模様)

「あんたが『お腹減った!』言うたから、ここにまだあるで、言うてくれてはるねん。」と答えたような気がする。

フルーツにデザートも食べて、息子は大満足だった。
秘書の仕事はともかく、「子どもにお腹いっぱい食べさせる」というオカンの仕事は、おかげで務めることが出来た。

帰りの電車で一緒になった、仲よくしてた学生さんと先生たちに、この出来事を話すと、みんな大爆笑。「やるなあ、大物になるで」と言うてもらったが、果たしてどうなのか。


**●「あのおっちゃん、話長いな」で所長の挨拶を終わらせた息子 **


私が仕事に慣れるころ、職場のイベントほぼ皆勤の息子も、私の職場にすっかり慣れた。春はお花見、夏は流しそうめん大会や暑気払い、年末は忘年会と息子も楽しく参加した。そして、小学生になった息子は、学生さん達にめっちゃ遊んでもらった。
(あのときの学生さん、みなさんほんとにありがとう。みなさんの子育てにちょっとでも役に立っていたら幸いでございます、、、)


ある年のお花見。ほぼ全員揃ったところで、所長の挨拶。
年度初めで所長もテンション高めだったのか、話がなかなか終わらなかった。

「まだかな~」「はよビール飲みたいな~」「お腹へったなあ」という空気があちこちから漂い始めた頃、息子がいきなりでかい声で言うた。

あのおっちゃん、話長いな!

絶対聞こえていたのであろう。そこで所長の挨拶は終わり、乾杯となった。

補足説明をすると、大阪の小学生は声が大きい子が多い。
私が小学生の頃から、教室で音読したり発表するときなど、
声が小さかったりすると、先生から、
**
みんなに聞こえるように、大きい声で! **

と注意されるのだ。

3年生くらいになると

「きっこえっませーーーん!!」
と、先生が言う前に子ども同士で言うたりする。

大阪の小学生だった息子。
日々の訓練の成果であろう。
ひとりごとレベルの音量で言うたと思われるが、

あのおっちゃん、話長いな!

は、そのときの参加者全員に聞こえていたのだ。

あ~、、、言うてしもた。と、ため息。だが、前述の件よりはダメージが少なかった私。慣れとはおそろしいものだ。

・・・

お花見が盛り上がってきたころ、いっしょに仕事していた同世代の先生がうちらのところに来られた。

「息子くん、あのタイミングでよく言ってくれたね!」
「あれ言ってくれなかったら、話終わらなかったよ」
「あのひとこと、本人以外全員が思ってたよ!」

と、息子を激褒めしてくれた。

「おっちゃん、話長い」と言われた所長も気のいい、あっさりした先生だったので、そのあと「お、息子君。食べてるか?」とにこにこ笑顔で声をかけてくれてたのだ。
(基本愛想のよくない息子。「ああ、うん」と返事をしていた。ほぼ反抗期の中学生男子である)

●子どもさんも、大人も、楽しいnote酒場時間を!


ここまで長々と赤っ恥(しかも2つのネタだけ)を書いてきたが、果たしてこれで、週末「note酒場に子連れ参加するひと」しかも、「宴会に初めて子連れ参加するひと」の背中をおすのだろうか。

いやあ、、無理やろ!と読み返して思う。

でも、うちら親子の赤っ恥を読んで笑ってもろたり。

うちの息子は、声おっきくないから大丈夫!

って安心して、会場へ向かってもらえたらいいなあと思う。

大丈夫!「3K名誉教授」も笑顔にする、子どもの存在はすごいよ。
ほんで、怒られたり注意されたら、魔法の言葉。

**ほんま、すんません、、、 **

を言いまくったらええよ。

子どもさんたちにとって、そして親御さんたちにとっても、日常で出会うことのない人たちと過ごす時間は、その時も、その後も、きっといい時間になるはず。

今週末のnote酒場。親子参加の方も、そうでない方も、楽しい時間をお過ごしくださいね。


おまけ。お花見の時や忘年会の後、「これ持って帰り!」と、ビニール袋いっぱいにお菓子入れて息子に渡してくれた教授の話は、またどこかで書こう。


美味しいはしあわせ「うまうまごはん研究家」わたなべますみです。毎日食べても食べ飽きないおばんざい、おかんのごはん、季節の野菜をつかったごはん、そしてスパイスを使ったカレーやインド料理を日々作りつつ、さらなるうまうまを目指しております。