食べたことない「スペインのレンズ豆のシチュー」を思いつきアレンジしてつくってみた
noteとTwitterでご縁いただいた塩梅かもめさん。
スペイン在住のスペイン家庭料理家。そして、3人のお子さんを立派に育て上げた大阪のおかんである。そう。スペインと日本。会ったことはない彼女と私の共通点。
大阪のおばちゃん。
この共通点ひとつで距離が縮まる。さすが世界最強と言われる大阪のおばちゃん。そんなかもめさんが、noteで世界の台所から『つくルンバ』というサークルをつくった。
私も参加し、サークルに自己紹介を書き込むと
このひと、めっちゃ面白いです。
と、最高の紹介を他メンバーにしてくださった。
大阪人にとって「おもしろい」は、子どもの頃から最高の褒め言葉だ。
かもめさんはたくさんのレシピをnoteに掲載している。そのなかで、私がいちど作ってみたいと思っていたひとつがレンズ豆のシチューだった。
レシピエッセイとあるとおり、ドラマを観るようなかもめさんちの1日が綴られている。「シチュー、いつ食べるんやろ?」どきどきしながら読み進めると、最後にあったかいシチューが登場。レシピも掲載されていた。
家族引きこもりの日々が続く日、つくってみようと改めてレシピをみた。
チョリソか。ないなあ。
チョリソがなければパプリカ、スペアリブを多目に。豚耳、豚足も可
なんて?豚耳、豚足でもええの?
そしたら牛すじでもイケるんちゃう?
ふっと頭に浮かんだ思いつき。
私はこのレンズ豆のシチューを食べたことがない。「正解」がわからないのに、いきなりアレンジしても大丈夫か。そもそもこれは、作り手への冒涜ではないか。悩んだ結果、結局下ごしらえしていた牛すじを使うことにした。
牛すじ。茹でこぼした後、長ネギ、干し椎茸、生姜、梅干しの種、塩で2時間煮込んだ。一晩置いて、上に浮いた脂を取り完成。詳しくはこちらを。
目次の水曜日ぽちっとすると、下ごしらえした様子があるのでどうぞ。
こうしてレンズ豆のシチュー作りを始めた。ストウブを出して、豚スペアリブを用意。ここでまた、思いつく。
スペアリブ、煮込む前に焼いたらええんちゃう?
ストウブでスペアリブの表面全面を焼くことにした。
あとはレシピ通りだ。トマトや水洗いしておいたレンズ豆、パプリカなどを入れる。そして、レシピ通りではなく、牛すじとその煮汁少々も入れた。水の量はわからないが、ひたひたくらい水も入れた。
鍋の蓋を閉めて、再度レシピを見るとこんなことが書いてあった。
小さなフライパンにオリーブオイルを注ぎ、軽く叩いたニンニクをローレルの葉と共に火にかけ、香りが立ったらすぐにパプリカを加える。さっと全体を合わせ、素早く鍋に移し入れる。
これ、テンパリングやん。
テンパリング。
チョコレートのテンパリングが有名だが、私が思いついたのは、南インドカレーを作る時によく出てくるテンパリング。
熱した油にホールスパイスやニンニクのみじん切りを入れて、ええ感じになったらカレーを煮込んでいる鍋に入れてジュっといわすやつである。
フライパンの中がスペインを離れ、インドに行ってしまった気がする。でもまあ、ええとしよ。
1時間ほど煮込んだだろうか。
できた。かもめさんの写真と色が違う。しかもシチューでなくスープ寄り。でもまあ、食べてみよう。
うまい。味付けは塩だけなのに、めちゃめちゃうまい。
「これなに?」と不安そうに器を見ていた夫が、これは美味いと絶賛。
夫より不安そうだった息子も、「これ、しる(彼はスープを全て『しる』と呼ぶ)めっちゃ美味い」と言いながらお代わりしていた。
サークルに投稿。かもめさんにも見てもらったが、やはりスープが多かった。
翌朝。
おおー! トロトロになってる! 色も濃くなってきた。
食べてみると、前日より濃厚。さらに美味しくなっていた。
サークルに再度投稿。
それです、それ! いい感じ!
と、かもめさんにコメントいただき、正解が見えた気がした。
前夜は牛すじを食べると干し椎茸や生姜、長ネギの香りがふわっとして、スペインのなかに1ヶ所だけある日本人街のようになっていた。だが一晩置くと、日本的香りがしない。一夜にしてスペインの風土にすっかり馴染んだのだ。牛すじの適応力、素晴らしい。
無事スープを脱却してシチューとなったレンズ豆のシチュー。その翌日きれいに平らげた。美味しかった。美味しいだけでなく、食べると滋養になってるなあと感じられるスープだった。
また作ろう。次回は美味しいハムとソーセージのお店で、チョリソ買ってきてつくろう。
そしていつか。スペインの地でレンズ豆のシチューを食べてみたい。
かもめさん、美味しかったよ。ごちそうさまでした。
美味しいはしあわせ「うまうまごはん研究家」わたなべますみです。毎日食べても食べ飽きないおばんざい、おかんのごはん、季節の野菜をつかったごはん、そしてスパイスを使ったカレーやインド料理を日々作りつつ、さらなるうまうまを目指しております。