歩き遍路の話19 野放しの犬ぅぅぅ!
9月28日 続き
前回は横峰寺の登りがめちゃくちゃつらかったことを書きました。今日はその続きから。横峰寺を下りるところ。
横峰寺から下りる道はいくつかあって、例のごとく山道から下りたかったのだけど、雨だったので急な下りの山は怖いなと思って、お坊さんに尋ねたらそっけない返事をされて落ち込んだ。
その後休憩しながら考えて、結局林道を通ることにした。
ところで、私は犬が大の苦手だ。
というのも子供の頃、隣の家の幼馴染が飼っていた犬におもいっきり噛まれたことがある。噛まれる前から犬は怖かったのだが、幼馴染の家なんてしょっちゅう遊びに行くし、いつも怯えながらその犬の前を通っていて何もなかったので、次第に慣れてきた頃。その日は気を抜いて犬に「やっほー」と話しかけて普通に通った。
すると突然その犬が私の足首に嚙みついてきた。それもかなり勢いよく。
私は近所じゅうに響き渡る大声で「ぎゃーーーーー!」と叫び声をあげ、自分ちに逃げ帰った。声を聞いてかけつけてきた親と幼馴染の兄。
足首を見ると、肉がもげ、赤い血に混ざって、青白い骨のようなものがうっすら見えていた。相当深く噛まれていた。気がする。
その後どうしたかはまったく記憶にない。(今度親に聞いてみよ)
ともかくそれ以来、元々苦手だった犬がさらに苦手になった。
別の友達の家の犬にも噛まれたことがある。それはそんなに大きな怪我しなかったけど、とにかく小学生の頃から犬はトラウマだ。
そんなトラウマと犬への絶大なる恐怖を抱いている私。
聞くところによると、犬はどうやら怯えている人間が分かるらしく、そういう人間には強気で来るという。だから普通の人や犬好きな人、また強い人が「全然大丈夫だよ」と言っていても、私にとってはアテにならないと思っている。
そして歩き遍路では、結構頻繁に野良犬や放し飼いの犬に出会った。
下の写真は、横峰寺から下りる道中の民家で、放し飼いにされていた4匹の犬。
私は50メートルほど手前で立ちすくみ、動けなくなった。どうしよう。でもここを通らないと先に進めない。意を決して行こうか、人が来るのを待とうか、決めきれず、何分、いや何十分かそこに立ち止まっていた。
待っても待っても人は来ない。どうしよう。行こうか。多分大丈夫だ。全然普通に行けるはずだ。・・・・・・・でも万が一、怯える私にだけ反応して噛みついてきたらどうしよう。山だからすぐに病院にも行けない。
そんな感じで半泣きで、その場に足止めされること、多分、何十分。
やっと向かいから軽トラがやってきたので、意を決して、軽トラのおじさんに話しかけた。
「すいません、犬が怖いので少し先まで乗せてもらえませんか?」
それで優しいおじさんに乗せてもらい、向かいから来たので方向転換せずに、そのままバックで50メートルほど後進してくれて(笑)私は無事そこをやり過ごすことができた。
歩き遍路のルートの中で、唯一地に足をつけずに乗り物に乗って歩いた区間。(笑)
おじさん、ありがたや。「ここの犬が人を噛んだって話は聞いたことないけどな」っておじさん言ってたけど、私は噛まれるかもしれないので!というか普通に犬怖い人もいると思うんですけど、今時放し飼いってどうなのよ。まぁでも田舎で山だからな。
無事この場はやり過ごしたわけだが、この後も石鎚山を下る道中ずっと、周りの山から犬の鳴き声がしていた。近かったり遠かったりで、猟犬がたくさんいる地域なんだろうな、と冷静に思いつつも、ずっとビクビクしていた。
林道を下っていくと、登山口にいる警備?のおじさんに出会った。
トイレを借りた後、少し話をした。おじさんはおもむろにヒマワリの種を取り出してきて、種を持った手を伸ばしたら、そこに鳥がやってきた。
ヤマガラという野鳥らしい。
私は驚いて興奮して、私もエサやりたい!!と、子供のようにはしゃぐ。
ヒマワリの種を手に、携帯のカメラを構えて、高速連写した。その一枚。
それがあまりにも楽しすぎて、あ!私はこのために今日林道を選んだんだな!と思った。めちゃくちゃうじうじ道を悩んでたけど、結局これが正解だったんだ!と。
まぁそれが結果論であれ何であろうと、自分がそう納得すればいいのだ。それがすべてなのだ。
単純だけど。
単純だけど、道も、人生も、結局そうなんだと思う。
(そしてこれ以降、ヤマガラは結構いたるところにいるのだと知った。どこでもしょっちゅう見るので、「あ、ヤマガラだ」とよく気が付くようになった。それが少し嬉しい)
そしてこの日は小松という地域の旅館に泊まったのだけど、40キロも歩いたので、宿に着いたのはかなり暗くなってからだった。宿の人が心配して「今どのあたり?」と電話してくれたような記憶もうっすらある。
ちなみに、もはや足の痛みのことは最近書いていなかったけれども、このあたりは最初の頃に比べて痛みの種類が変わってきていた。
最初は歩くのが辛くてすぐ疲れていたのが、この頃は、歩いている最中は楽で、宿に着いたりして普通の生活の動きをしようと思うと、それがめちゃくちゃ痛かった。
山を登るのは別として、平地なら歩き続けているほうがラクだった。ちょっと休憩しようと思って座ったりするのが痛かった身体。
この日も宿に着いて、スリッパに履き替えて歩くのがめちゃくちゃ痛かったり、股関節が痛かったり、座ったり立ったりが痛かったり、お風呂に入るのも一苦労という感じで宿での時間を過ごしていた記憶がある。
横峰寺の日を2回に分けて書きました。前回、「横峰寺が一番つらかった」と書いたけれど、書いたものを読んでみると文章は意外とあっさりしていて、その辛さはあまり伝わらないな、と思った。もっと精進します。
いや、リアルタイムでInstagramに書いてたときは、もっとリアルだった気がするので、後から振り返って書いているからきっとどうしてもその熱量が減ってしまってるんでしょうね。しかたないか。
今回も読んでくださってありがとうございました。今回は写真が少なかったですね、すみません。
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