見出し画像

和解という着地点を選びました

ご報告いたします。

cakes炎上により連載が消滅した件において、「和解」という着地点を選びました。私から提案した条件を、cakesが受け入れたからです。

cakesは、10月の炎上以降続いていた不誠実な対応を認め、私から提案した内容をすべて含んだ謝罪文を、掲載することを了承して下さいました(これまでの経緯については上の記事を、謝罪文については下のリンクをご覧下さい)。

原稿料をもとにした「お詫び」

また、原稿料をもとに算出した「お詫び」を支払いたいというお申し出を受け、いただくことにしました。

cakesには、もともと既定の原稿料というものはなく、掲載された原稿のページビューに応じて、支払いが行われます。今回、私の原稿は実際には掲載されないので、執行役員の方が、1本7000円という額を提示しました。「各作家さんにお支払いしている原稿料の中央値」とのことでした。

ちなみにこれは、私が作家として他でいただいてきた原稿料と照らし合わせれば、失礼ながらとんでもなく安い額です。

ですが、個人的な思いとして、今回の件でお詫びの額を交渉するのは、亡くなった友人に値段をつけるようで抵抗がありました。また、いくらいただいたとしても、嫌な気持ちが消えることはありません。

そこで「額については、お考えにお任せいたします」とお伝えしたところ、

12本分の原稿×7000円

全18回予定で企画書を提出していた、残り6本分×7000円

心労へのお詫びとして20万円

合計32万6000円という額を、執行役員の方が決めました。私は、その申し出をそのまま、受け入れることにしました。

こうしてこの件は、「和解」ということになりました。

なお、原稿の権利は私が有し、cakes編集部からの縛りなどは、今後一切ありません。

温かなメッセージ

今回の一連の件をnoteに書くのには、大きな迷いがありました。

トラブルを公にするというモラル上の問題に加えて、そうすることで「面倒な人」という印象を与え、仕事の依頼が減ってしまうリスクがありました。それでもどうしても解決の糸口が見えず、リスクを覚悟しての決断でした。

ですが実際には、noteを公開したところ、「あさのさんの原稿を出版したい」と、ありがたいことに十数社の出版社さんが、すぐにご連絡を下さいました。

中には、私がnoteで投げかけた、「どうしたらこの結末が回避できたんだろう」という問いに対する、温かく力強いメッセージを添えて下さった編集さんもいらっしゃいました。「逝ってしまった君へ」を読んで、感想を下さった方もいました。

出版社を紹介するよ、と声をかけて下さった方も大勢いました。メールやDM、Twitterで、力になるよと具体的な提案をくれた人。その声がどんなに心強かったか、とても言葉では言い表せません。

なにも言わず、自宅に贈り物を郵送してくれた友人もいました。スタジオで、メッセージつきのお菓子をそっと手渡してくれた人もいました。この場を借りて、感謝の気持ちを伝えたいと思います。本当にありがとうございました。

中には「こんなのは、よくあること」と発信されている方もいらっしゃいました。ですが個人的には、「よくあること、イコール、問題視しなくていいこと」とは考えておりません。とても嫌な思いをしたからこそ、私と同じような立場の人が、今後私と同じ経験をしないことを、願ってやみません。

たくさんのサポート

最後に。

noteを通してサポートを送って下さったみなさん、ありがとうございました。お一人ずつにメッセージをお返ししておりますが、もう一度お礼を言わせてください。

みなさんからのサポートの使い道について、お話しようと思います。

いただいたサポートをすべて使って、私は、クリスマスごろ、亡くなった友人のご実家、つまりお母さまお姉さまのところへ、フラワーアレンジメントを送ろうと思っています。そのときに、今回の詳細な経緯や、書籍化にむけての動きがあるというご報告に加え、温かいエールを送って下さった方々がいたことを、お伝えするつもりです。

お母さま、お姉さまは、そのお花とともに、友人の命日を迎えることになります。

その日が近づくと、どうしても、憂鬱な気持ちが増していきます。私自身も、去年の命日は、友人のことが頭から離れず、一体どんな気持ちで逝ってしまったんだろうなどと、ぐるぐる考え、何度も泣いてしまいました。きっとご遺族は、私とは比較にならない辛い思いで、当日を迎えることになると思います。

でも、そのとき仏前に、サポートで贈ったお花があったら。

もしも、万が一、お母さまお姉さまの痛みを、ほんのわずかでも和らげることができたとしたら――それは、サポートを送ってくれたあなた、応援してくれたあなたの、温かいお気持ちのおかげです。

ここまで読んで下さって、ありがとうございました。

追記

いろいろあった『逝ってしまった君へ』ですが、小学館から出版されました。手に取っていただけたらとても嬉しいです。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?