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44年ぶり!トレードから分かる巨人原監督の危機管理能力

2021年3月1日(月)に、読売ジャイアンツと東京ヤクルトスワローズの間で、次の選手間トレードが発表されました。


田口麗斗選手(25)投手⇄広岡大志選手(23)内野手


読売ジャイアンツと東京ヤクルトスワローズが選手間トレードを行ったのは、実に44年ぶりです。(1993年に長嶋一茂を金銭トレード読売ジャイアンツが獲得したことはあった。)

44年ぶりというだけでも異例ですが、そのトレードが、シーズン開幕まで1ヶ月を切った3月に行われたのですから、驚きを隠せないファンが多いのではないでしょうか。

ではなぜ、このようなトレードが行われたのか。

そこには、原辰徳監督(兼GM)危機管理能力の高さがあるのではないでしょうか。


きっかけはキャンプ離脱

一軍でそれなりの実績のある田口麗斗選手が、この時期にトレードで放出されることになったきっかけは、間違いなくキャンプ離脱でしょう。


2021年シーズンを、一軍キャンプでスタートさせた田口麗斗選手ですが、キャンプスタートからわずか3日後の2月3日に、右太もも裏の張りで早々にキャンプを離脱しました。

その際、原監督が

「職場放棄だ!」

と苦言を呈したのは、記憶に新しい人も多いでしょう。


原監督からすれば、この時点から田口麗斗選手を、戦力と考えることを放棄したのかもしれません。


横川投手の台頭

とはいえ、いくら連覇を達成しているチームとはいえ、先発ローテーションには苦労しているチームです。

実際、FAで加入して3年でほとんど結果を残すことができなかった野上投手を、大幅減俸という形とはいえクビにしなかったのは、先発投手不足が関係していることは明白です。(実際には菅野投手の動向が不透明だった部分が大きいとは思いますが…。)

となると、先発としてはもちろん、中継ぎとしても適性がある田口麗斗選手を簡単に放出するほどの余裕はなかったはずです。


しかし、そんな不安はキャンプ中にかき消されていきます。

それが、横川凱投手の台頭です。

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2020年11月に、ヤクルト戦でプロ初先発し、5回1失点と好投していたこともあり、2021年キャンプも一軍に抜擢されていたことからも、期待されていたことは間違いありませんが、キャンプでその評価はさらに高まりました。

横川凱投手が年間通してある程度一軍で使える目処が立ったことが、田口麗斗投手の放出に拍車をかけたと言っても過言ではないでしょう。


過去の実績は関係ない

それでも、過去にチームに貢献してきた選手を放出するというのは、他チームではまずありえないことでしょう。

そこには原監督の危機管理能力の高さが隠れています。


プロ野球界に限った話ではありませんが、過去の実績にしがみついてその組織に残ろうとする人は一定数いるのは事実でしょう。

そして、日本ではその文化が“終身雇用”という形で、今も存在し続けているも事実です。

ただ、そういった人間は過去の実績を利用して、その組織に残ることだけが目的なので、チームに良い影響を与えてくれる可能性は、非常に低いと考えられます。

結果としてその組織は弱体化し、やがて消滅していくのです。

原監督からすれば、過去の実績は一切抜きにして、今のチームに必要ないと判断した選手は、問答無用でチームから放出することで、チームの弱体化を防いでいるのでしょう。

これは組織のリーダーとしては、非常に優れたスキルと言うことができます。


ただ、ここまでの文章を読んで“原監督=非情人間”と思われた方がいるかもしれないので、一応断っておきます。

原監督は決して非情な人間ではありません。

むしろ、誰よりも選手のことを考えている方と言っても良いでしょう。


もし、本当に非情な人間であれば、その選手を二軍に幽閉し、オフにそのまま戦力外通告を言い渡すことも可能です。

むしろそちらの方が楽でしょう。

しかし、原監督は違います。

その選手が腐ることがないように、必要としてくれる球団が他にあるのであれば、そのチームに送り出してやろうと考え、行動してくれているのです。


そしてその優しさが、今回の異例トレードへとつながったと言っても良いでしょう。


メジャー流を見据えて

さらに言うと、原監督は日本のプロ野球への警告メッセージを出しているようにも感じます。

実際、これまでに数多くのルール改定の必要性を訴えてきました。


・FA選手獲得による人的補償制度の撤廃

・トレード期限の撤廃

・招待選手制度


日本のプロ野球はには、まだまだ


移籍=悪


の風潮があります。

しかし、それは本当に悪なのでしょうか。

メジャーリーグの世界においては、どれだけの実力選手であったとしてもトレードされるのは当たり前です。

日本人メジャーリーガーで言えば、過去にはイチロー選手がマリナーズからヤンキースにトレードされたこともありましたし、最近ではダルビッシュ有選手がトレードでカブスからパドレスに移籍ました。


そして、メジャーリーグの場合、トレードやFA移籍を悲観的に見る人はほとんどいません。

選手が移籍することは、チームとしてはもちろん、選手にとってもメリットが大きい場合が多いからです。

日本では、“干される”という言葉がよく使われますが、干されたことによって、実力を出しきれないまま引退に追い込まれた例がたくさんあります。


原監督としては、この現状をなんとか打破し、一人でも多くの選手に成功を掴んでほしいと考えているのではないかと思います。

となると、今後もまだまだ、あっと驚くようなトレードが行われるかもしれません。

シーズンがスタートした後の、読売巨人軍の動きから目が離せませんね。


まとめ

このnoteを執筆している著者は、筋金入りのヤクルトファンです。

そして、正直なことを言えば、今回のトレードはかなりショックでした。

廣岡大志選手は、現二軍監督である池山隆寛さんのような選手になることを、ずっと楽しみにしていたからです。


しかし、そんなことを考えた私も、まだまだプロ野球界の発展よりも、個人の楽しみとしての野球ばかりを考えていたのだなと痛感しました。

今回のトレードを機に、私自身もっとプロ野球全体の発展を考えたいと思います。


廣岡大志選手が、環境を変えたことで大化けすること、そして東京ヤクルトスワローズに移籍した田口麗斗選手が、石川雅規選手のように、長きに渡って投手陣を引っ張ってくれるような選手になることを期待しつつ、2021年度のプロ野球開幕を待とうと思います。







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