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日記⑧(2019.09.10)

 集合は20:45だった。

 前日に決めていた焼き肉屋へ行き、九割ほど腹を満たして夜パフェ専門店でいささか大きすぎる――少なくともその時の胃事情を鑑みるとその言い方はむしろ加減が足りないような気もするが――ピーチを主題としたものを食した。その店は味と同じくらい見た目に気合いを入れているらしく、そのせいか食べづらかったが、まあ楽しんだ。一緒にいた長井はもっとボリューミーなものを頼んでいた(長井という名前は、この人が長月生まれ、つまり今月に誕生日があることからそう勝手に名付けた)。

 続いては恒例となりつつある玉撞きをしに行った。が、決めていた店は平日の営業時間が零時までらしく断念し、代替の店は外まで漏れる騒々しい声でひどく内輪な空間であることが判明し、結局同じ道を二往復ほどしていつものチェーンに入店した。

 しかし、この日のぼくは考えられないほどうまくやれなかった(ただしいつもが上手いという訳ではないが)。結局長井相手に甚だ不本意ながら惨敗を喫し、またもや恒例のカラオケへ行くため精算をしてあとにした。

 枯らしはしない具合に歌い、あの二回の食事からも時間が経っていてすこし腹に余裕少しずつが生まれてきていた。とはいえ”いっぱい”から”普通”になっただけに過ぎない。だが、もう帰りかと歩いていると、シャッターの下りたラーメン屋などを横目にして、つじつまの合わない食欲をかき立てられた。

「ねえ、モーニングだってよ」

 長井は文脈などいっさい無しに言った。が、小説でもない現実では、文脈などないことが当たり前なのかもしれない。あるいは、長井のなかではしっかりと伏線まで張り巡らされた”文脈”が在ったのかもしれなかった。

 ぼくはそれにわざわざ抗う気も起きなかったから、通りがかった喫茶店に入った。まあ、ぼくはその喫茶店が三回目だったこともあり、自分のおすすめを強く推したせいでモーニングではなく普通のセットメニューを注文することになったのだが。

今まで一度も頂いたことがありません。それほどのものではないということでしょう。それだけに、パイオニアというのは偉大です。