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2021年共通テスト1日目の話

突然こんなのあげてびっくりしてしまいましたか。それもそうか。就活の話とか出しているnoteに突然共通テストとか出てきたらそりゃあびっくりしますよね。すんません。ほぼ完全に備忘録です。
始めさせていただきます。まっすーです。

今日は2021年1月16日。受験生にとっては一世一代の勝負の日一日目ですね。今は夜の八時ごろなのですが、本当にお疲れさまでした。自己採点は絶対しちゃだめですよ。変えれない結果を知るのは終わってからです。

とまあ過去に受験生だった先輩として言ってみたりするのですが、実は僕も今日受けてきました。といっても再受験とかではないですよ。
「就活の話」を読んでくださった方なら知っていただいていると思うのですが、僕の最終的な到達点は教師です。教師として必要な素養として経験を挙げていたと思うのですが、その一環として今日と明日、共通テストを受けています。

実は僕はちょうど「旧課程移行措置」があった年のセンター試験(共通テストの前身)を旧課程で受けたという経歴を持っているのですが、その時の変化とは全く規模の違う変化が、この共通テストでは起きています。政府が掲げているのは「知識偏重からの脱却」。詳しくは後述しますが、確かに脱却の試みが見られました。
そんな大きな変革をした試験を「家でゆっくりと」しか解いていない教師と、「受験生と同じ空気で」受けた教師ならどっちがいいか。これが僕が共通テストを受けた理由です。しかも偶然にもコロナが重なって、また一つ大事な経験を積むことができました。

このnoteはそんな僕が感じたことを書き留めておくかつ、もしかすると何かこれから先の受験生にもたらすことができるかもしれないという想いから書かせていただいております。時折問題番号なども書いていますので、ご興味のある方は明日の朝刊等で確認してみてください
【注意】(僕個人の意見ではありますが)難化易化など、かなり内容に言及していますので、当該年度の受験生の方はお気を付けください。

日本史B

地歴公民をもっと聞きたいと思った方もいるかもしれませんが、僕は理系で日本史選択だったので日本史しか受けていません。悪しからず。

結論から言うと例年より解きやすい、いわゆる易化なのではないかなと思います。僕らの時の旧センター試験と比べてですが「地理化」したと考えていただけるとわかりやすいかもしれません。

地理はもちろん基礎知識が必要ですが、ある程度その場で読み解く力が試される試験内容ではないかなと思います。僕が受験生だった時のイメージで言うなら「暗記で70点は手堅くとれるし0点は取りにくいけど、100点を取るには素養が必要」な科目。
対して日本史や世界史は(近年どうだったかは存じませんが)、出来事を年代別に並べ替えたり、文章のどの部分が間違っているかを問う問題など知識を問われることが多く、「勉強しないと0点もあり得るが、対策すれば凡才でも100点を狙える」科目。

しかしながら今回解いていて感じたのは、資料を読み解く問題の資料依存度が格段に上がったということです。わかりやすく言うと、無勉でも考えたらわかる問題が増えた。第一問の問1なんかは誰でも解けると思われます。
まあたださすがは大学入試センター。一見正解に見える選択肢に「人物」や「年代」の不正解要素を仕込んでいる問題もあり、完全な知識偏重脱却ではなかったところが賢しいですね。第一問の問4、問6なんかがそんな感じでした。

また、「スライドや意見文の立場」から正解を導く問題が登場しました。第六問の問3、問5がそれに該当します。
この意図の問題は初めて見た形式でした。書き手の立場を文面から考えて、それに合う正解を選ぶ。確かに「考える力」を問うており、いろんなゴタゴタがあったけど、やっぱり入試センターすごいなと感じざるを得ません。

というのが日本史を解いた感想です。問題量としては、60分で十分に終わり、かつ見直しでもう一周できるくらいの余裕をもてる感じでした。
それと資料が増えた分いわゆる「古語」で書かれたものを読み解くことが増えましたので、古文には慣れておくといいかもしれません。

日本史:センター試験の過去問は役に立つのか

僕だから提供できる話題に触れて終わりましょう。

結論から言うと役に立ちます
ただし、前述のとおり「資料を読む」問題が増えたこともあり、年代並び替えの各事項の年代の幅が狭くなった点においてはセンターとはちょっと異なっているかもしれません。
これまではだいたい世紀ごとに出来事が並んでいました(例えば「小野妹子」「中臣鎌足」「菅原道真」みたいな感じです)。大袈裟に言うとそれが「徳川家康」「徳川家光」「徳川綱吉」になった感じです。なのでともすると、センター時代より細かい知識が問われるようになってしまったのかもしれません。そこを意識した上であれば、十分に役立つと思います。

また、資料を読み解くという点においては恐らくこれから教育課程の中で養う機運が高まっていくと思うので、そこまで特別な対策は要らないと思います。地理の資料読み取りなんかをやってみて、苦手だと感じるようなら、これから出るであろう「共通テスト対策」をやりこんだ方が良いかもしれません。

国語

こちらも結論から申しましょう

評論:易化(「江戸の妖怪革命 / 香川雅信」および「歯車 / 芥川龍之介」)
小説:一部難化。他は易化(「羽織と時計 / 加能作次郎」および「師走文壇の一瞥 / 宮島新三郎」)
古文:やや易化(「栄花物語」および「千載和歌集」)
漢文:難化(「欧陽文忠公集 / 欧陽脩」および「韓非子」)

というのが僕の感覚です。
まず目に留まるのが出典だと思います。すべての設問で二つの文章が登場しました。漢文は二つとも読ませて問題があるという構成で、それ以外は最後の問題で引用されているという形でした。ここが大きく異なるポイントでしたが、後述します。

評論は構成も難しくなく、考え自体も「なるほど」と思えるものでした。ただひとつだけ難解な概念が登場していたので、そこを正しく読み取れるかがカギとなったと思います。問題構成は「漢字」「内容理解」「要点整理」まではこれまでもあった形でした。
特筆すべきは問5の(iii)。評論の考え方を踏まえて、「歯車」という小説の一節を考察した文章を穴埋めしなさいという問題でした。
問題の意図が正しく理解できていれば選択肢自体は消去法でも直接法でも導けるものでしたが、踏まえるということを失念すると悩ましい問題だったのかなという印象です。とはいっても選択肢から答えは導けます。選択肢が簡単だったのが救いでしたが、これで選択肢が巧妙に作られていたら史上に残る難問になったかもしれません。

小説もかなりミスリードしにくい、ストレートな感情表現が使われた文章で、歴代では簡単な部類だと思います。描かれている感情自体も僕たちが同じ状況なら感じるであろうものだったので、わかりやすかったと思います。問題構成も「表現」「人物の心情理解」とオーソドックスでした。最後の問6を除いて。
問6では題材となった小説の「批評」が示され、その意味することの理解、およびそれとは違う解釈をするならどれかということを問われていました。
「無理やり多角的に見させる」ような問題ですね。おそらく単純に、多角的にものをみることに慣れていたかどうかで難易度がガラリと変わった問題だと思います。とはいっても、一応しっかりと批評を読めば正解は導ける問題だったので、すごく絶妙な塩梅をとった問題だったと評せます。

考えてみたのですが、おそらくこの問題を解く力は「本を読む」だけでは身につきません。読んで、かつ「自分で咀嚼する」ことが必要となります(さらに言えば「議論」も加えることで力の完成に近づくでしょう)。

評論、小説ともに大学入試センターから受験生に向けて「この力を身に付けてくれ」というメッセージのこもった問題が最後に持ってこられていました。個人的にはすごく良問だったと思います。「考える力」という点では、一日目で一番の良問だったのではないでしょうか。
ただ対策は難しいかつ、教師が教えるだけで身につくものでもない(地域社会、家族の意識も必要)なあと、教師目線では思ってしまいました。

古文は今までとまったく変わりありません。文章だけで理解するのは難しいかもしれませんが、問題と選択肢を読みながら内容を確定していく作業はいままでと変わりないですし、和歌解釈も今回は易しめでした。

余談ですが「設問と選択肢を読んで内容を理解していく」ことは意外と知らない方が多いです。
もちろん古語をすべて訳せれば問題文だけでも理解可能ですが、日本語はもともと「主語省略」がめちゃくちゃ多い言語で、古文はさらに顕著です。「え、いつからこの人の話になったの?!」なんてことはよくあります。そこで役立つのが設問と選択肢。選択肢には不正解もありますが、設問には必ず正しいことが書いてあります。なので設問で「傍線部Aのときの○○の状態」と書いてあったら傍線部Aは○○に関するものなんです。そういう風にして理解していくのが古文の基本スタンスです。ぜひ知っておいてください。

漢文は難しかったです。文章が二つあるという点がさらに拍車をかけたかもしれません。ただ形式が新しかったかというと決してそういうわけではなく、単純に文章の難易度が高かったです(あくまで僕の感想なので、普通に解けた方はすごい)。
ひとつだけ挙げるとするならやはり「踏まえる」問題があったことでしょうか。問4です。書き下しと大意を読み違えていなければそれほど難しくはないですが、これまではない(僕の知る限りは)形なので慣れという点で目新しかったかもしれません。

全体として、メッセージが明白だったというのが今回の国語の感想です。「比べる」という言葉に尽きると思います。しかし国語は記述が検討されている段階なので、これから先のほうが大きく変わりそうですね。

国語:センター試験の過去問は役に立つのか

役立ちます。
もちろん上述のように新しい形式の問題はあります。ただ意識して過去問を解けば対策できるものかというとそうではないと僕は思います。逆に言うと、最後の問題以外は今までと一緒です。古文漢文に関しては完全に一緒でした。なのでセンター試験を解くだけでも十分に対策になると考えます。
ただこれから記述が出てくると思われますので、その際にはまた追記したいなと思います。

外国語(英語)*リスニング含

SNSでも一番阿鼻叫喚がありましたね。超絶難化です。
というよりも、もはや別の試験です。これで100点しかもらえないのが不思議でなりません。

まず、日本語は表紙とちょっとしか書かれていません。問題文含めて解答に関わる部分はすべて英語です。この時点で多数の受験生が慄いたかもしれません。共通テストを行うにあたって試行調査というものがあったのですが、その時の問題とも違ったみたいです。

全く別の試験になったと申しましたが、実はその気配はかなり前からしてはいました。
「アクセント・発音・語句整序」は出さない、「読む・聞く」の二技能を問う、「CEFRを参考に A1~B1相当のレベルの問題を出題する」ことが前々から発表されていました。センター試験経験者ならわかるかもしれませんが、従来の第一問と第二問がなくなるわけです。かなりガラリと変わるなというのが予想されていました。
ただ、変え過ぎだなというのが僕の率直な感想です。明日の朝刊を見てくださればわかりますが、現役の大学生でも解けないかもしれません。僕も何問か悩みました。特に度肝を抜かれたのが第二問の問3、問4。fact と opinion の違いを意識しないと正解にたどり着きません。

中身についてイメージしやすい例えでいくと、「TOEICのPart 7」をそのままパクった感じです。TOEICと違って英語がある程度読めれば時間的には多少精読でも大丈夫ですが、作問のレベルはまさに、満点阻止仕様の高校生向けTOEIC Part 7です。
TOEICを受けたことがある方ならわかると思うのですが、あれの一番つらいところって集中が続かないことですよね。全編英語だし、ちゃんと読まないとわからない。でも英語を読むのがつらい、、、。それに慣れることがTOEICの攻略法だったりします。
僕はTOEICをしっかり対策したことがある人だったので、「マジか」と思いながらも解くことができましたが、もし僕が現役生で、無対策であの形が飛び込んできたら第5問を読んでるあたりで試験時間を使い切ると思います。

だから今年の全受験生に伝えたい。誰もちゃんとあの形式解けた受験生はいないだろうし、いたとしても彼らに勝つ必要はない

ただ、発表通りの作問になったことも事実なので、これから英語はこの形になるのだろうなと思います。それこそTOEICが外部試験として認められた場合には、試験としての互換性を保つために、今回の形にせざるを得ないことを考えると、予想できた変化だったかもしれませんね。

続いて。リスニングは難化です。
一番は繰り返しが第三問からなくなったことですかね。これまでは二回聞けるからという心の余裕がありましたが、今年はそれこそ聳てて聞かないといけないというプレッシャーがありました。しかも配点が100点になったし。

そんななかでも第三問まではおおむね例年通りでした。音声を聞いた感じも、取り立てて速いこともなかったです。
ただ、これまでアメリカ英語のみだった音声にイギリス英語が入ったことで聞き取りにくくなったと感じた方もいるかもしれません。実はここもTOEIC意識だと思われます。

TOEICのリスニングではイギリスアメリカはもちろん、オーストラリア、インドなどの「訛り」も出てきます。さすがにセンターで訛りを出し始めたら要求過多ですが、ダブルスタンダードであるイギリス英語を出すことは、実は前から発表されていました。それで対策を施した学校がどれだけあるのかは不明ですが。

第四問からは会話を聞いて図表を埋めるような問題が多発しました。特にすごかったのが第六問B。声音の違う四人の会話なのですが、今誰がしゃべっているのかを声音で把握しないと解けません
確かに実際会話する時には必要なスキルなのかもしれませんし、四人くらいなら落ち着けば聞き分けれるのですが、咄嗟に対応できる受験生はいたのだろうかというのが僕の感覚です。しかも一回しか流れない。もはや受験生いじめだなと。

全体として会話のスピードはTOEIC×0.8くらいで、単語はある程度明瞭に聞き分けられるであろうレベルなのですが、イギリス英語の登場と繰り返しの廃止によって難化したというのが感想です。

外国語(英語)*リスニング含:センター試験の過去問は役に立つのか

前のセクションを読んでくださったならわかるでしょう。全く役に立ちません。100歩譲って筆記の第五問と第六問は多少対策にはなります。リスニングは「英語に慣れる」ためであれば対策になります。

では何をしたらいいのか。あくまで僕の感覚ですが、TOEICの過去問を解いたほうが幾分か対策になると思います。といっても全部ではなく「Part 7」と「Listening」だけで大丈夫です。単語レベルだけは超高校級ですが、そのうち民間試験導入で高校生がTOEICを受ける時代が来ると思うので、そこは頑張りましょう。

といってもオーバーワークといえばオーバーワーク。なのでこれからたくさん出るであろう「共通テスト対策本」をやるのが一番おすすめです。

その際に意識してほしいのが、自分が「全部解くのに必要な速さ」を把握することです。

人によっては速読で大意を読み取って、問題を解きながら部分的に精読するのが性に合う人もいれば、精読気味に読んで問題は一気に解くのが良い人もいるでしょう。そこに貴賤はありません。大切なのは「今の経過時間でここを読めていれば間に合う」という感覚をつかんで、それでちゃんと解けるように量を積むことです。僕はTOEICでこれを意識して勉強していたので、今回の共通テストでも10分程余裕をもって解き終わりました。信じてやってみてください。

リスニングは「毎日聞くこと」。これに尽きます。YoutubeのCNN 10NBCはほぼ毎日アップデートされて、最新のトピックを配信していますのでお勧めです。
義務にすると毎日できなくなるので、それなりでいいですから自分が楽しめるコンテンツを英語で楽しんでみたりして、慣れていきましょう。

まとめ

一日目は英語に度肝を抜かれました。ニガテな人がどんどんおいていかれる感じがして、教師になるものとして、身を引き締めないといけないなと思います。

明日は理系科目です。二日目もレビューいたしますので、読んでいただけたら幸いです。
読んでくださってありがとう。

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