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1000万円で家を作るという挑戦をした人の話をしよう

1000万円で家を作るという挑戦をした人の話をしよう。この方は東京都で初めて新規就農者として認められたという人なのだが、ある時会社に1000万円で家を作ることができないかという問い合わせがあったのが初めての出会いであった。農家として作業をしているご両親はいつも広大な敷地で作業しているが、お子様たちは小さな公団のようなところでお留守番。ふとこの状況に疑問を持ったお子さんにどうしてお父さんたちはいつも広いところにいるのに私たちの家はこんなに狭いのと聞かれ、それなら家を作ろうと考えたそうだ。

僕のところにはこういう問い合わせがたまにかかってくるのだが、ただ単に安く家を作って欲しいという方の電話はお断りをするようにしている。でも本当に真剣に自分自身も参加して理想の家を作りたいという思いがある方の場合は、それを真剣に受け止めてご協力するようにしているのである。Iさんの場合は後者であった。だからこそ町田分室の田村につないでこの人のための家づくりを真剣になって欲しいという依頼をしたのである。

そんなIさんだが実際に畑の土地を購入して家づくりを始めるまでには結構苦労したそうだ。そもそも東京都内で購入してすぐに家を作ることができる畑など探すのは大変だろう。簡単に見つかれば誰でも欲しくなる。Iさんも約1年半の時間をかけてじっくりと探し出したのだった。

Iさんの家はログハウスだ。これは素人でもできる工法とは何かということを考えた結果の答えである。実際に海外ではログハウスを素人が組み上げて住んでいる事例はたくさんある。ますいいの枕木階段とも同じ発想だ。

このログの材料は国内にある加工工場から送られてきた。材料自体は国産の杉である。この敷地の一部には防火規制がかかっているのだが、当社が木の家一番協会の会員になっているので、防火認定のあるログ加工材を購入することができた。加工は全てプレカット工場で行っているので現場の加工はほとんどない。作業のほとんどをセルフビルドで行っているけれど、大工さんが10人工だけ作業した。具体的には墨出しと初段のログ敷設、屋根工事の初め、屋根のパネル貼り、家具工事の初めなど要所要所で指導などをしてもらった。

窓はアルミサッシはお風呂の1箇所だけ使用した。そのほかはFIXを多く採用し、開く部分は木製建具を3箇所だけ採用している。床は基礎コンクリートの上に根太を敷き、断熱材を入れて、ムクボードを貼っている。これも全てセルフビルドだ。

設備に関してもそうだ。電気の配線などは自分で行い、器具との接続などだけ電気屋さんに依頼した。給排水はなかなか難しく、外回りの穴掘りなどは行ったが、内部配管はプロに任せた。こうして1200万円ほどで家が完成したのである。

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