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お花見

「さて、今日は昼から公園のお花見でもしましょうか」
午前中に座敷童子としての仕事をあらかた終わらせ、私はみんなに提案しました。
「おぉ、いいのう」
超狼が答えます。

彼女は最年長クラスの幽霊で、座敷童子の資格を取り、ここに就職しました。
ここではお互いをコードネームで呼び合います。
最年長…つまり長老なのです。
しかし、座敷童子なので見た目は子ども、しかもカッコよくないという理由で『超狼』なのです。

「いいね、お花見大好き」
少女が言いました。

彼女は最年少なのでコードネームは『少女』なのです。
近所の神社に住んでいて、本名は美子ちゃんです。
座敷童子の資格は私が勧めて、取ってもらいました。
そして一緒に勤務です。

今日の勤務は私含めて3人。
昼食後、外に出ます。
この公園には花壇の端に、一本の桜があります。
そこに行くまでには

菜の花がたくさん咲いています。
「菜の花はいいのう」
超狼が言いました。
少女も言います。
「菜の花もきれいだよね」
そう言うと二人でじっと菜の花を見つめていました。
「あ、ちょうちょ」
菜の花の周りにモンシロチョウがひらひらと飛んで来ました。
「菜の花の黄色に蝶の白は映えますね」
私は言いました。
「さ、お茶が温かいうちに行きますか」
といっても数メートルなのですが。

菜の花と桜の木の間にシートを広げ、3人でお茶を飲みます。
みんなで、他愛のないことを話しながら。

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