眠れない夜に

夜の9時前だった。
ぼくは護とゲームに興じており、女神様は入浴中だった。
そして美子は…
「ねぇ、コマ兄、護兄ちゃん、眠れない」
「ん…うるさかった?」
ぼくはゲームの音量を…あれ、イヤホン付けてた。
「いや、何となく」
美子はそう答えた。
「とりあえず、ゲームを止めるか」
そう言って護はゲームの電源を落とす。
「絵本でも読む?」
美子は首を振った。
「うぅーん…子守唄がいい」
「そうか、珍しいね」
美子は大抵絵本を選ぶ。
ぼくは美子の方を向いた。
「じゃ、1曲…

Ride  on time!Go!Decker!
鼓動の10count!
その胸が高鳴るのはっ!始まりを告げるかr
「うるさいよ!」

護はうぅん…と唸った。
「コマ兄って歌は飛び抜けて上手いわけじゃないし、でも下手ってわけでもないんだよなぁ」
「そうだよ、美子。
早く寝ないと」
美子は顔をしかめて言った。
「もう、だから子守唄をお願いしたんじゃない…
今度はもっと子守唄っぽい曲を…」
今度はぼくが唸った。
「うぅ〜ん…どうしようかなぁ…」
すると後ろから護がぼくをつついて言った。
「美子ちゃんを寝かせて早くスパロボの続きをしようぜ」
「スパロボ…そうか!

ガガガっ!ガガ「さっきよりうるさいよ!」

美子がなぜか怒っている。
「いや、ちゃんと子守唄を歌ってるんだけど」
「さっきから歌のチョイスが眠れないのばっかりだよ!」
ぼくはため息をついた。
「美子…いつからそんなわがままになったんだい?」
「わがままじゃないよ!
正当な評価だよ!!」
ぼくはまた唸った。
「うぅーん…じゃぁ」
すると、美子が言った。
「あ、もう大丈夫だよ。
お休みなさーい」
そういうと布団を頭までかぶった。
それならいいのだが、と思っていると護がまたぼくをつついた。
「なぁ…コマ兄…歌ったのはコマ兄だけだよな?
オレは1ミリも歌ってないよな?」
言いたいことはよくわからなかったが、まぁ、その通りだと思った。
「そうだよね。
でも、急になぜ?」
そういうと護は困った顔をして布団にもぐった。
「オレももう寝るから。
お休みなさーい」
変なの、と思いながら振り返ると、怒った表情の女神様が立っていた。
「こんな時間に大きな声で騒いでいたのは誰かしら?」

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?