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今年の研究2024

今年増田が取り組む研究課題を3つご紹介します。
ご興味がありましたら、ぜひご助言ください!

高等学校国語科における推敲の学習手法の基礎的研究
―メタ認知を促す再執筆活動の提案―

 本実践では、国語科の「書くこと」の学習における「推敲」の新たな学習プログラムの開発を目的とする基礎的研究を行います。特に「評価活動」と「再執筆活動」(一度書いた文章を分析して、内容・構成を再検討し、文章を新たに書き起こす「書くこと」の活動)に着目して、学習者自身が事前に共有したルーブリックに照らして、自らの「書く」という言語活動をメタ的に認識する機会が、学習者の推敲の活動にどのように影響するかを明らかにすることを目指します。

 本プログララムの特徴は、学習者や教師による評価活動、文章を一から書き直す再執筆活動、執筆の際の学習者の思考記録である「意図文」(何を意図して表現を選択したのか)によって、書き手の意識をメタ化して表出する活動を関連づけていくことにあります。これにより校正以上のよりダイナミックな推敲になることを期待しています。

単元計画
① 範例となる随筆を複数読みつつ体験を振り返り、アイデンティティーとはなにかを考える。
② 自らの体験やアイデンティティーをもとに、ルーブリックを参照し、随筆初稿を書く。
③ 出来上がった随筆を書いた際の心境等、自分自身を見つめなおし、それを記録した「意図文」を作成する。
④ 教師、学習者同士の交流によるフィードバックを通し、文章を再執筆する。
⑤ 再執筆稿(再執筆した随筆)に対する意図文を作成し、共有する。
⑥ ルーブリックを参照し、筆自体と執筆の過程について自己評価する。

日本語習熟論学会 第3回年次大会(2024年7月)にて発表予定


表現の多様性と可能性を探る冒険〜ことば×ものづくり×多様性〜

頭で考える表現に対して感じる限界。
新しいアプローチを探していたところ、富山大学教育学部の宮城先生、芸術文化学部の渡邊先生と一緒に、ことばが介在したものづくりの表現、ものづくりとの関わりの中で言葉の学習を広げる活動を設計する取り組みをスタートさせることになりました。

ことば→ものづくり・ものづくり→ことばの相互干渉、
表現意図→多様な解釈→ものづくりによる具体化→意図の洗練
のような、言語活動⇄創造活動の行き来をする、探究的な学びを実現したいと考えています。

※まだ構想段階です。ご一緒できる方も探しています。


コーパスを活用したデータ駆動型学習による発見的語彙学習ー枕詞を帰納的に学ぶー

学習者の言語運用能力を向上させるには、演繹的な従来型の指導だけでは十分とは言えないのではないでしょうか。
本実践では、大量の例文を参照できる言語データベース「コーパス」を用いて、学習者が帰納的に、自ら言葉の規則に気づき、発見するような学習方法の開発を目指します。

本実践は、2年前に発表したこちらの研究を受けています。

今年は修士論文で実践した内容をブラッシュアップしてみたいと思っています。
題材にするのは「枕詞」。その言葉が導くイメージがある、というのを説明されても、高校生の時の僕はピンときませんでした笑
そこで、実際に特定の枕詞が用いられている和歌を大量にみて、その言葉が導くイメージを自分自身で形作っていこう、というのが本実践の趣旨です。
修士論文では「ぬばたまの」を使いました。


毎年1つ、のノルマを課して3年目

大学院を出て、教員になってから3年目になりました。
今年は職場も変わって、新しいチャレンジの毎日です。

今年はいいかな〜、なんて思いながらも、こうしてまた何かを形にして残そうともがいる自分を振り返って、3年前「毎年1つ、学会発表か論文投稿をするんだ」と決めた自分に「ありがとう」と思います。

そして何より、僕に教科教育への火を付けてくれる、一緒に学ぶ子どもたち。引っ張ってくれる研究者の方々に感謝しています。
もしご助言やコメント等ありましたら、ぜひ教えてください。

増田 一暁(ますだ かずあき)
栃木県宇都宮市出身 国語科教諭
ご連絡はFacebookまで▶︎
https://www.facebook.com/kazuakimasuda.fb


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