宣孝くんとまひろちゃん。

再放送で観直す。

藤原宣孝のリアクションの最初だけだと、まひろが誰の子を懐妊してるかわからないうえで、喜んでいるように見える。
最後までシーンを見届けると、左大臣の子だとわかっていることが伝わる。

藤原宣孝は自分の子でもなく左大臣の子でもない子だった場合、祝福できただろうか。

たぶん祝福できたろう。

藤原宣孝はまひろとの忌憚ないやり取りを楽しんでいる。
懐妊自体より、そのことで殊勝な態度になっているまひろのことも、これまた面白いと思っているフシが有る。

そもそもが左大臣と恋仲だったまひろを横取りしたとも言えるし、
進んで引き受けたとも言える藤原宣孝の態度。
まひろの才覚を買っている。左大臣との知己が有るどころか通じている。
左大臣が薬籠中のものとしないなら自分のところに連れてきたいと思っても不思議ではないし、充分に時間をかけていたので左大臣の不興を買うこともないし、まひろも納得の嫁入りだった。

藤原宣孝は上役の恋仲だった人をわざわざ側に置くのは人助けとか出世のためとかいくらでも理由はつけられるけれど、
左大臣との恋が終わりかけのところを藤原宣孝は救済したとも言えるし、
生木を割いたとも言える。
まひろは立場が微妙なところになっていて藤原宣孝の妻として迎え入れられることはかなりいい話だった。

下世話に藤原宣孝の見方をすれば、上役である左大臣の昔の恋人まひろを嫁に迎え「不実者同士、仲良くやろうぞ。」と契り。
ややあってからまひろは左大臣の子を身籠り、まひろは正直に夫藤原宣孝に伝えると「誰の子でもいい」そして左大臣の子だと見抜いて居た。
懐妊から考えると藤原宣孝は不倫されているといえるが、
まひろとの婚姻自体が左大臣からまひろを奪ったという見方もできる。

ここまでで
まひろを左大臣から婚姻という形で奪い、
まひろは左大臣と私通して(夫藤原宣孝ではなく)左大臣の子を生むという、まひろを通してキャッチボールになっている。
このやり取りを藤原宣孝は楽しんでいるように見える。

よく鷹揚な態度の藤原宣孝と感じている人が感想からして多い様子。

そうではなくて人の恋人を奪ったり、自分の嫁と私通されたり
子をもうけられたり、イレギュラーなことを楽しんでいるという方がしっくり来る。
余裕があるとか鷹揚だとかじゃなくて、変態なんだろう。
でもそこがいいと思うんですよね。
まひろの業の全肯定。全て良しとした上での通い合い。
藤原宣孝はそういう描かれ方をしている。
まひろの思うままをさせていく。その上で夫である自分とどう接してくれるのか。まひろの考えや行動を受け入れたい藤原宣孝。
非常にユニークで目の離せない人物。それが藤原宣孝。

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