その2

昨日の続きになるけれど、彼氏の歓心のために男を連れ込んだ彼女。
そんな彼女の所業は裏切りにしか見えない彼氏は吐瀉して泣くばかり。
そんなに苦しんでまで愛を育まねばならなかったのか。
灼けて枯れるほどの太陽を浴びせ、浸かって根が腐る程の水責めが必要だったのだろうか。
済んだことは仕方ないね。
割れた器は金継ぎするしかない。金継ぎしたあとの関係しか過ごせなくなっているのだから。
割れを継いでも割れた痕は消えない。決して消えない疵痕。
二人の間にいつまでもわだかまる聖痕。
いつまでもそれと折り合いをつけようとして苦しむ。
苦しみがいつしか気にならなくなる。
それは傷を見ても苦しくならないだけ。ふと寂しくなったときに見つめたら心が遠くに飛ばされる危険な疵。
そうでなくては本物ではないよ。

他人が割り込むってそういう事。

P37
「私犯す人、僕犯される人」二枚貝アサリ


「私つくる人。」「僕食べる人。」というセリフのインスタントラーメンのCMがあった。
嫁がラーメンを作って、夫がラーメンを食べるというのが、当時でも女性団体のクレームが入り、放送中止になった。しかしキャッチーな台詞回しは巷間ではバカウケだった。
男女の役割を規定するかのようなCMが批判されたキャッチコピーに酷似したタイトルで、男女逆転したカップルがまぐわうという内容は出来すぎている。
しかも愛情のない関係。強いて言うなら自己愛が2つ。
並行して並走する一人と一人。

ここで書くことでもないけれどP38三行目の「店内証明」は「店内照明」だろう。
P63七行目の「とてもなく」はたぶん「とてつもなく」だろう。

男性の頃は何度も自分で見ていたのに、今はグロテスクに見えるというのは、客観的にみてなかったということだ。いつ誰がどう見ても大人のペニスは大概グロいだろう。赤ちゃんや子どものが可愛いのは小さいからだ。そして色もきれい。大人のはデカくて色も濃い。形もまさに性器然としていて「露骨」という言葉を形にしてを外部に打ち出しているようなものだ。

最後に悪魔が、女のままでいたいか男のままでいたいかを聞いたときに
「男でもない女でもないなにか」と主人公はつぶやくけれど、
そんなこと言ったらアンドロギュヌス(両性具有)にされてしまうだろう。
男でも女でもないどっちもある者になってしまう。
そのほうが悪魔としても面白いからね。

そのまえの「どうだ、女も案外楽じゃないだろう。男に戻るか?」というけれど「女性の体のままで、腕力は男性をも凌ぐもの」であったなら随分様相が変わるだろう。
体格はどうあれ、腕力で女性が同じか上回れば、閨房での今までの優位は男でも、実力で上回れば女性がこれからはイニシアティブを持てるだろう。
そういう「If」も面白いかも知れない。

一見NTRがないようにも見えるけれど、性別が逆転されて犯されるというNTRだった。
とはいえ一回もしてなかったカップルが、改めてであったときに攻守が逆になってやられるというのは野球の一回も表が0点で、一回の裏で二点取られてるようなものだった。とりあえず九回までやってほしい。
「コールドゲーム」とか「没収試合」というのはエロい隠語として考えると、意味はわからないがとりあえずエロくて面白い。

冷静に考えると悪魔に肉体改造を頼めて、安全で自由に性別や体つきのオーダーができるなんて、夢のようなんだわ。
現時点では不自由なことばかりだからね。
服を着替えるように性別や体つきも選べたらおもしろい。
自分自身のアイデンティティをどうやって維持すれば良いのかわからないけれど。
毎日変わっている自分。自分はそれでも良いかも知れない。
友達や恋人が毎日姿を変えていたらたまらないだろうなあ。

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