見出し画像

ドヴォルザークの新世界第2楽章で涙が止まらない。 ラドミル・エリシュカさん、88歳でお亡くなりになりました。 ご冥福をお祈りします。

ドヴォルザークの新世界第2楽章で涙が止まらない。
ラドミル・エリシュカさん、88歳でお亡くなりになりました。
ご冥福をお祈りします。

9月1日、チェコの名指揮者のラドミル・エリシュカさんが88歳で亡くなりました。

家には、2012年に札幌交響楽団と録ったドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」があったので聴いてみる。

あまりにも有名すぎて好んで聴かないこの曲が、冒頭から胸いっぱいにさせられる。

第2楽章は、「遠き山に日は落ちて」や「家路」として、また、小学校の下校時間にかかっていた誰もが一度は聴いたことのあるメロディー。

これが新鮮に心にしみてくる。
気がつけば涙が流れていました。

ラドミル・エリシュカさん、地味で有名ではなかったけれど本物の深い指揮者でした。

エリシュカさんは、1931年にチェコに生まれます。

60歳近くまで、共産政権下のチェコ・スロヴァキアで西側での活動制限を受けながら、カルロヴィヴァリ交響楽団の首席指揮者・音楽監督として1969年から1990年まで21年間活躍。プラハ音楽アカデミーの指揮科に招かれ1978年から33年間教えていました。

無名のまま不遇の生涯を終えるかと思われていた2004年に突然来日、73歳で日本デビュー。

それから2年後、札響と運命の出会いをします。

相思相愛した両者は、何度も共演をすることになります。

2008年から札幌交響楽団の首席客演指揮者、2015年からは名誉指揮者となります。
日本での評価は確定して、2009年NHK交響楽団で演奏したスメタナ「我が祖国」が、その年の聴衆投票で1位を獲得。

大阪フィル、読売日本交響楽団、東京フィル、九州交響楽団など、日本の多くのオーケストラを指揮して、圧倒的な評価を得ることができました。

そして、高齢のため来日にドクターストップがかかり、2017年10月に札幌交響楽団との最後の演奏会が行われました。

もともと予定されていたベートーヴェンの交響曲第3番から、札響と初めて演奏した思い出深いリムスキー・コルサコフの交響組曲「シェエラザード」へエリシュカの強い意志で変更されました。

2000席が2日間とも満席。
終演後は、総立ちの拍手が25分も続いたといいます。

なによりも幸運なのは、札響との録音がCDリリースされていることです。

ドヴォルジャークの交響曲第5番から第9番、チャイコフスキー後期3大交響曲、ブラームス交響曲全曲等のCDは、エリシュカさんの遺産です。

人生の最後に日本に素晴らしい音楽を残してくれました。
ありがとうございました。

ご冥福をお祈りします。

札響との最後の演奏会からリムスキー・コルサコフの交響組曲「シェエラザード」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?