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砂塵




 せっかく作った砂の建物が、あっけなく壊れてしまった。それはまるで、この世を表しているようだった。

 昔から、僕らは社会に支配されていた。政治、宗教、教育、メディア・・・。それらは僕らの価値観を形成し、僕ら自身を作り上げていった。僕らは自由だと思っていたけれど、実は籠の中にいる小鳥でしかなかった。

 しかし、僕らを支配しているはずの社会が、ここ最近破壊され続けている。それが因果なのか、何か意味があることなのか、そこまではわからない。ただ、社会が提示したものを享受してきた僕らにとって、社会が破滅する姿には悲哀感じざるを得なかった。

 何事もないと信じていた。平和であり続けると信じていた。だが、僕らが住んでいるこの世は、たった今狂乱している。多分、今年はもっと多くのものが破壊されるだろう。その中には、自分にとって大切なものだってあるに違いない。

 何もなくなった街に、大切だったはずの過去が砂となって舞う。その砂塵を、僕らは耐えられるだろうか。見て見ぬふりなんてできるわけはない。無心でいられるわけがない。それでも、未来へ進むためには乗り越えなければならない。そんな残酷さに、僕らは耐えられるのか。

 わからない。わからないが、時はすでに2024を刻んでいる。
 

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