『日常的ランドスケープ』(6畳部屋の片隅にて) (2000字のドラマ応募作品)
わたし、彩りがある景色って、当たり前の光景だと思ってた。だけど違うんだね。輝く太陽がモノクロに映ってしまうなんて、想像もしてなかったな。
マルボーロの煙に囲まれながら、林原さんは僕に訪ねてきた。
「大野君。海って見たことある?」
不思議な質問だった。僕は「はい」と答える。
「しばらく見ていませんけど、群青色に染まった瀬戸内海を見て心が洗われたことがあります」
「そうなんだ。大野君にとって、海はポジティブなもの?」
「そうですね。ポジティブとまではいかないにせよ、嫌な気